第4章 ― 灰の記憶
戦車は、すべてを踏み越えて進んでいた。
何ものも、それを止められなかった。道路、瓦礫、放棄された車両――すべてが、全長127メートルに及ぶその巨躯の下で押し潰されていく。絶対的な力を象徴する、移動する記念碑。
ためらいはない。選択もない。ただ、前進あるのみ。
五か月前、日本の空は侵略によって引き裂かれた。
それ以来、この国は二度と沈黙を知ることはなかった。夜は炎に照らされ、朝は死者の数を数えることから始まる。確かに、いくつかの異星船は撃墜された――だがその代償は、血と犠牲、そして都市丸ごとが瓦礫へと変わることだった。
その現実の中で、日本は最後の決断を下した。
禁忌の戦車が承認されたのだ。
存在してはならない兵器。
守るためではなく……報復するために創られた存在。
そして、そのすべての先頭に立っていたのがキラだった。
構想者。指揮官。
あらゆる結果の重さを背負う責任者。
今、デストロイヤーは都市へと到達していた。
――かつて都市だった、残骸へと。
真っ二つに裂けた建物。死体で覆われた通り。煙と遠くのサイレンの中を、負傷兵たちが這うように進んでいる。混沌が支配する光景――そこへ、機械の影が落ちた。
一人、また一人と、全員が空を見上げる。
そして、数か月ぶりに……笑みが浮かんだ。
それは純粋な希望ではない。もっと暗い感情だった。
ようやく、地獄が自分たちの側に立ったのだという感覚。
戦車は進み続ける。人間の感情など意に介さず。
鋼と計算、そして積み重なった憎悪でできた、歩く全能の存在として。
そのとき、再び空が動いた。
十隻の異星船が出現し、獲物を待つ捕食者のように、その一帯を包囲する。
「将軍」
兵士が警告する。
「十隻です。」
キラは瞬きすらしなかった。
「混沌陣形を起動しろ。」
機械は即座に応答した。
六門の主砲が分離し、それぞれ異なる軸で動き始める――あるものは上昇し、あるものは下降する。地面が揺れ、空気が震えた。キャタピラの下部では、隠されていた区画が開き、誘導ミサイル発射装置が姿を現す。最後の瞬間まで敵を欺くために、そこに秘匿されていたものだ。
異星船は兵装の充填を開始する。エネルギーが脈動し、空を歪めていく。
「撃て。」
地獄が、解き放たれた。
砲が咆哮し、ミサイルが空を切り裂く。爆発が雲を引き裂き、何隻かの艦船は空中で粉砕され、死んだ星のように墜ちていった。
だが、すべての攻撃を防げたわけではない。
エネルギーの光線が混沌を突き抜け、一直線にデストロイヤーへと向かってくる。
「将軍! こちらに向かう光線です!」
一人の女性兵士が叫んだ。
キラは声を荒らげることなく答えた。
「シールドを起動。」
戦車は、自らを閉じた。
巨大な装甲板が動き、回転し、主構造を覆うように噛み合っていく。数秒のうちに、デストロイヤーは生きた要塞へと変貌した――避けられぬ衝撃に備え、ダンゴムシのように完全に身を固めた、絶対の防壁。
異星の光線が、シールドに直撃した。
――そして、抑え込まれた。
キャビンの中で、歓声は上がらなかった。
誰もが、ただ一つのことを理解しただけだった。
この戦争は、もはや生き延びるためのものではない。
過去を語る者として、誰が残るのか――それを決める戦いなのだ。
――次章へ続く。




