第11章 ― 溺れることのない心臓
ロボットは、再び動き出した。
腕をもう一度持ち上げ、発射する。
弾体は水を切り裂き、海面を突き破り、数秒のうちに二十隻の艦船が、最初から存在しなかったかのように空から消え失せた。
敵は反応した。
残存する艦船は、利用可能なすべてのセンサーで海を捜索し始めた。
エネルギーの光束があらゆる方向へ海中を切り裂き、暴力的な閃光で深淵を照らし出す。やがて、見えない何かを狙って、休むことなく撃ち続け始めた。
デストロイヤーは、それを嘲笑うかのように応じた。
装甲に守られた腕を掲げ、衝撃を受け止める。
攻撃は跳ね返り、無力だった。実質的な損傷を与えることはできない。
その存在にとって、それらはただの必死な足掻きに過ぎなかった。
それでも、圧力は代償を要求する。
巨像が海底を進むにつれ、装甲には小さな亀裂が生じ始めた。
わずかな水量ではあるが、内部区画へと水が流れ込み――恐怖を呼び起こすには十分だった。
重い警報音が鳴り響く。
中枢。
「将軍!」
兵士が叫ぶ。
「中枢に水が侵入しています! 直ちに浮上しなければ!」
キラは手を上げた。
止まれ。
「落ち着け。医療班を呼べ。」
兵士は瞬きをし、困惑した。
「医療班ですか? ですが……彼らはロボット技師ではありません。」
キラは声色を変えずに答えた。
「違う。だからこそ、彼らを選んだ。高度な医学、外科、重篤外傷の治療知識を持つ、構造修復技術者だ。」
沈黙がキャビンを支配した。
「そ……そんな人材が?」
別の兵士が呟く。
キラはゆっくりと顔を向けた。
「いる。二つの分野を極められる人間は存在する。大半は平穏に生きたいから、一つしか選ばない。」
「彼らは命を賭ける道を選んだ。」
震える手で、兵士はマイクを取った。
「全医療班に通達。直ちに中枢エリアへ向かい、修復作業を開始せよ。繰り返す。中枢エリアだ。浸水は拡大している。今すぐ行動せよ。」
医療区画で、空気が変わった。
負傷者は自動治療モードへ移行される。
そして医師たちは白衣を脱ぎ捨てた――その下から現れたのは、黒と赤の強化装備。肩にはデストロイヤーの紋章。
彼らは、ただの医師ではなかった。
戦争の技術者だった。
六百九十九名が隊列を組み、壁や内部通路を駆け抜ける。
異常な速度。
磁気ブーツが金属に吸着し、傾斜と圧力の中でも不可能な動きを可能にしていた。
中枢に到達する。
水はすでに流れ込んでいた。
躊躇はない。
数名が高出力溶接装置を起動する。
他は隠されたレバーを引き、極限状況専用の金属装甲板を解放した。
秘匿プロトコル。
緊急時用の対策計画。
そのすべてを、キラは想定していた。
極限の圧力下で修復が行われる一方、司令キャビンでは将軍が動かない。
沈黙。計算。冷静。
周囲では兵士たちが汗を流し、脚は震え、限界で下された判断一つ一つが疲労となって積み重なっていた。
だが、キラは微動だにしなかった。
外部では、デストロイヤーが海底を進み続ける。
防御し、姿勢を調整し、沈むことを拒みながら。
機械の心臓は傷ついていた。
それでも――まだ、鼓動している。
そして鼓動が続く限り、
この戦争は終わらない。
――次章へ続く。




