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26話 召喚祭の真相

 エルから、外出の許可を取りました。


 浄化の儀式が終わったあと、マミア様が頃合いを見て戻ってきた。

 その第一声がこれ。

 なんだか“やり切った顔”をしているあたり、ただの許可取りじゃなかった気がする……。

 エルヴィスさん大丈夫かな?


 不安が残りつつも、私服に着替えさせてもらい、車椅子に乗せられ、

 一日ぶりの外へ、繰り出すことになった。



「召喚祭? なんのお祭りなんですか?」

「歴代のメシア様と護りし戦士に、感謝の祷を捧げる日よ。祭りは三日間。メシア召喚する際には、日時が決められていてそれが二日目と言われているの」


 たまたま目に止まった大きなポスターを指さすと、マミア様がざっくりと答えてくれた。

 それは異世界ならではのお祭りに納得するも、“弔い”と言う言葉が妙に引っかかる。


 そう言えばメシア関連のことを、無関係だったから詳しくは知らない。


「弔い……?」

「ええ。古文書によると、最終決戦で命を落としたメシア様も、護りし戦士もいたみたい。でも多くのメシア様は護りし戦士と結ばれて、元の世界へ帰ったらしいわ」

「メシアって……大変なんですね?」


 思ってたよりずっと過酷な使命に、胸が痛んだ。

 と言っても私にはやっぱり“他人事”でしかないから、小説を読んだ感想に近いもの。


 本当に私じゃなくてよかった。と心の底から思ってしまう私は冷たい人なんだろうか?


「そうね。もう二度とメシア様に頼らないようにしたいんだけどね」

「それが一番よね」


 二人はふと神妙に呟き、私もこれには深く頷いた。


 自分の世界の危機なんだから、自分たちでなんとかしてほしい。

 そしてなんで少女たちは異世界のそんな過酷な使命に立ち向かうんだろうか? 正義感が強い子を選んでいる? 

 まさか世界を救わなければ帰れないから、渋々引き受けただけ?

 

「話は元に戻るけど、初日と最終日は式典があってね。毎年リーサが代表して聖歌を捧げるの」

「そろそろ世代交代したいんだけど、後継者がなかなか現れなくって……仕方がなく……」


 いやいや。

 あの歌声を聞いしまったら、年齢なんて単なるお飾りに過ぎない。

 苦笑して困ってるリーサさんには悪いけれど、きっとあなたは生涯現役。

 後継者が現れないと言うか、誰も探さないんだと思う。


「何を言ってるんですか? そんなことをしたら皆が悲しみますよ。リーサ様の歌声は女神様からの贈り物なんですから」

「そうですとも。それにリーサ様はまだまだお若い!」


 突然老夫婦が私たちの会話に割り込んできて、満面の笑みで称賛してきた。


 やっぱり、私の考えは正しかった。


 それにしても、どこから聞かれていたんだろうか?

 最初っから聞かれていたとしたら、絶対にヤバいよね?

 きっと感謝祭なんて子供でも知っている祭りなのに、いい年した女が知らないなんて知られたら変に思われる。

 メシアではない異世界人がバレたらどうなるか分からないけれど、王様に知られたら何かされそうで怖い。


 内心ガクガクしながら様子をうかがう。

 リーサさんは、顔を真っ赤にして恐縮している。


「ありがとうございます。でも……私は来年で四十になりますし、娘も六歳で……」


 最後の方は小声でゴニョゴニョ。多分老夫婦には聞こえてないだろう。


 その控えめな仕草が可愛らしくて、見た目も若々しいし、全然“子持ち”に見えない。

下手したらエルヴィスさんより、わかく見られるかも?


「当日は楽しみにしてますね。友人との会話を邪魔して、悪かったのう」

「頑張ってくださいね。それじゃあ私たちはこれで」


 老夫婦は満足したのか、会釈をして人混みに消えていった。


 どうやら私のバカな質問は聞かれていなかったみたい。


 ――よかった……心臓止まるかと思った。


 安心した私は深く息を吐き、肩の力を抜く。

 しかし


「リーサの人気は相変わらずね。……?」

「お姉さま……もしかして?」

「ええ。ちょっと敵対派閥の人を見かけたから、つい警戒しちゃったわ。ごめんなさい」


 突然マミア様の視線が何かを捕らえ表情が険しくなり、リーサさんもそれに気づいたのか眉間にしわを寄せる。

 明らかに誤魔化された発言に、私は何かが起こったことを察した。 

 何が起こったと聞いたところで、教えてくれないのは目に見えている。私には関係がないことで、教えても意味がないからなんだろう。

 だとしたら私が大人になって、素直にその言葉を信じて置こう。


 車椅子が再びゆっくりと動き始める。

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