第9話:『公開ざまぁ』冒険者パーティ再募集と、剣聖の肌の触れ合い指導
魔改造要塞の内部、広大な訓練場。アステラによるクロノへの剣術指導は、日に日に激しさを増していた。
「マスター!今の剣筋は、以前の『雑用係』の千倍以上の鋭さ!しかし、それではまだ甘い!流星の如き鋭さと、敵を断ち切る熱意が足りません!」
アステラはそう叫ぶが、その指導は、もはや剣術の範疇を超えつつあった。彼女は、クロノの剣を矯正するため、甲冑を脱ぎ、動きやすい薄い革のトレーニングウェア姿で、クロノの身体に密着する。
「貴方の『剣の役割』の才能を最大限に引き出すため、私の身体の全てで指導いたします!特に、体幹の動き!私の腹筋に、貴方の腰の力を連動させるのです!」
アステラは、クロノの背後に回り込み、彼の手を握って剣筋を矯正する。そのたびに、クロノの背中に彼女の胸が押し付けられ、トレーニングウェア越しにも体温と鼓動が伝わってくる。
「くっ……アステラ、集中できないよ……っ!」 クロノは、動揺と訓練の熱気で全身から汗が噴き出る。アステラの熱狂的な指導は、剣術の献身と、クロノへの身体的な愛慕が完全に混ざり合っていた。
訓練が終わると、クロノはほとんど脱力状態だった。そこに、完璧な『雑用』を誇るシヅクが、優雅に現れる。
「マスター。アステラの無粋な熱で、マスターの聖なる肉体が汚れてしまいましたわ。すぐに浄化しなければ、マスターの健康に支障をきたします」
シヅクは、クロノを半強制的に要塞内の広大な大理石の浴場へ連行した。浴槽からは、シヅクが特別に調合した芳しい薬草と魔力の湯気が立ち昇っている。
「私の『雑用』は、マスターの安寧のため、最も詳細かつ、徹底的に実行されますわ」
シヅクは白いメイド服のまま、濡れるのも構わず浴槽の縁に跪き、クロノの身体を洗い始める。その指先は、皮膚の奥の疲労までを把握しているかのように、完璧なマッサージを施す。
「まずは頭皮の浄化ですわ。マスターの艶やかな黒髪を、このシヅクが、髪の根元、頭皮の隅々まで、丁寧に揉みほぐします。ああ、マスターの生命力の魔力が、この指先に伝わってきます……」
シヅクの手は、クロノの肩から胸元へと滑り、胸板の筋肉の凝りを解していく。
「そして、この胸板。アステラと訓練で硬くなった部分ですわ。私の『雑用』で、全てを緩め、マスターの呼吸を楽にいたします。マスターの全身の細胞が、私に『もっと』と求めているのが分かります……」
シヅクのその奉仕は、あまりにも丁寧で献身的であり、そして、クロノの本能を刺激する。彼女の濡れたメイド服が、湯気の中でさらに透けて見えるのも、クロノにとっては試練だった。
(「いかん、シヅクはあくまで『雑用』だ……!しかし、この完璧な指の動きと、肌の密着は……っ!」)クロノは、心の中で必死に理性を保った。
翌朝、リリはギルドの情報ネットワークを完全に掌握し、クロノに報告する。
「マスター。【神銀の誓い】は、本日、王都の冒険者ギルドで、『新たな雑用係(下僕)』の公開面接を行います。これは、マスターの公然たるざまぁを行う絶好の機会です」
「公開面接か……。彼らは僕の役割を、あんなにも公に侮辱したんだ。今度は、僕が彼らの惨めさを公にする番だ」
クロノたち一行が再びギルドを訪れると、会場は黒山の人だかりだった。クロノがフードを脱ぎ、レオンの前に姿を現すと、レオンは嘲笑する。
「なんだ、クロノか!貴様、誰の許しを得てここに来た!?お前のパーティ募集は、ここじゃないぞ!相変わらず、変な女どもを侍らせてみっともない!」
レオンの傲慢な言葉に、四人の英霊たちの殺気が、一斉にレオンに向けられた。
クロノは、静かに首を横に振った。そして、レオンに向かって、冷たい声で言った。
「レオン。僕の『雑用』の価値は、君たちが思っていたものとは違う。そして、僕の新しい仲間の価値もね」
クロノは、リリの合図で、イージスに指示を出す。
「イージス。レオンが、僕の『聖域』に二度と近づけないよう、絶対の壁を示してやれ」
「御意」 イージスは、クロノの前に立ち、重装甲の鎧の金具を一気に解除した。
ガシャン、ゴトリ……
重厚な甲冑が床に落ちる。イージスの素顔は、幼く可愛らしい少女のままだが、彼女の下に着ていたインナーは、白い極薄の魔力繊維の肌着のみ。その幼い身体から、規格外の守護魔力がほとばしった。
「私の『盾の役割』が、マスターの聖域を守る!この裸の防御力は、マスターへの私の甘美な守護の誓い!この私を越えねば、貴方はマスターに指一本触れられない!」
イージスは、その純粋で幼い肉体を晒しながら、観衆の前で、クロノへの忠誠と守護の決意を叫んだ。観衆は、突然のイージスの露出と、その裏に隠された絶大な魔力に、完全に沈黙した。
レオンは、イージスの幼い裸身と、その裏に隠された絶大な魔力に、戦慄した。
クロノは、静かにマントを翻した。
「セレス、リア。君たちが本当に求めているのは、僕の『役割』だろう。だが、それはもう二度と、君たちの手には届かない。せいぜい、その惨めな面接を続けるんだね」
クロノは、四人の英霊に囲まれながら、ギルドを後にした。彼の背中は、もはや王都の誰もが『支配者』と認識する存在になっていた。
レオンは、全身を震わせ、屈辱と敗北感に打ちひしがれていたが、その瞳には狂気に近い憎悪が宿っていた。彼は地面に拳を叩きつけ、絶叫にも似た呻きを上げた。
「クロノ、どんな手を使ってでも絶対殺してやる...!」
レオンのその殺意に満ちた言葉は、ギルドの観衆の耳にも届いたが、クロノはその憎悪の声を聞き流し、魔改造要塞へと帰還した。
こうして、元パーティのリーダー、レオンは、受けた屈辱を許せず、クロノたちを抹殺しようと復讐者へと変貌したのだった。
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