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第12話:『完全自滅』古竜の巣に飛び込んだ愚か者と、英雄の甘美な裁定

魔改造要塞のリビング。リリは、クロノの指示通り、レオンたちが最も確実に破滅する依頼を選定した。


「マスター、解析結果です。最高の舞台は、Sランク級高難度依頼『王都北東・古竜の巣の危険因子排除』です。古竜の巣は、Sランクパーティでも一週間かかる難攻不落の場所。レオンたちがマスターを狙うなら、必ずこの依頼に『裏から』潜り込みます」


「古竜の巣……さすがに危険すぎる依頼だね」クロノは、壁に投影されたダンジョンの立体図を見つめた。


「危険だからこそ、レオンたちは功を焦り、マスターへの憎悪で思考停止します。そして、彼らが最も対処できない『情報不足』と『物資不足』が、彼らを内部で自滅に追い込むでしょう」シヅクが、紅茶を優雅に淹れながら冷たく笑った。「マスターの『雑用係』時代の知識は、この巣の最も安全で、最も危険なルートを全て知っていますわ」


「マスター。私が、古竜の巣の結界魔法を王都のギルドへ生中継できるように仕掛けます」リリが提案した。「レオンたちがマスターを襲う瞬間、その醜態を王都全体に公開して、ざまぁをお見せしましょう」


「流石はリリだ。それが、彼らが僕に与えた屈辱への最高の返礼だ」クロノは頷いた。


クロノは、四人の英霊を伴い、古竜の巣の依頼を受注した。その情報は瞬時にレオンたちの耳に届いた。


「よし!古竜の巣か!あのクソ雑用係は、必ずそこへ行く!セレス、リア!俺たちも追うぞ!奴が古竜に殺される前に、俺たちの手で殺す!」


レオンは、もはやギルドの体裁も気にせず、半狂乱のままダンジョンへ強行突入した。


古竜の巣の内部。クロノたちは、リリの知識と、シヅクの雑用(事前に設置した隠しルートのマーカー)を頼りに、安全なルートを迅速に進んでいた。


「マスター、この先の空洞で、レオンたちの魔力反応を捉えました。彼らは、マスターが通るであろう唯一の主要ルートで、卑怯な待ち伏せを企てています」リリが、クロノの耳元で囁く。


クロノは、その言葉を聞き、静かに笑った。 「愚かだね。僕が、彼らが知っているルートを通るはずがないだろう」


クロノは、レオンたちが待ち伏せするルートの真上にある、極めて薄い天井の隠し通路へと進んだ。その通路は、かつてクロノが『緊急時の脱出路』として、細心の注意を払って隠蔽した場所だ。


レオンたちは、クロノが来ないことに焦り始めていた。


「くそっ、なぜ来ない!?あの雑用係が作ったルートは、ここしかないはずだぞ!」


その時、リリが仕掛けた魔力映像の結界が起動した。王都アルカンディアのギルドの巨大モニターに、古竜の巣の内部、レオンたちの醜態が、クリアな魔力映像で生中継された。


「な、なんだこれ!?俺たちの姿がギルドに映っているのか!?」レオンが叫ぶ。


「マスター。この映像は、このダンジョン全体に仕掛けられた『古竜監視結界』を、私が『知識』でハッキングし、王都に転送しています。これで、王都の誰もが、彼らの惨めな末路を見届けますわ」リリが、クロノの頬にキスをする。


その瞬間、古竜の巣の深部から、巨大な古竜の咆哮が響き渡った。


「バカな!古竜の巣の中心は、まだ奥深くのはずだ!」セレスが顔色を変える。


クロノは、天井の隠し通路から、レオンたちを見下ろした。 「レオン。君たちが待ち伏せているその場所は、僕が古竜の『縄張り意識』を利用して、餌の運搬ルートとして設定した場所だ。つまり……」


ドスッ!!


巨大な古竜の鉤爪が、待ち伏せ場所の岩壁を突き破り、レオンの目の前に叩きつけられた。古竜は、侵入者であるレオンたちを、自分の餌だと認識したのだ。


「うわあああ!古竜だ!なぜこんなところに!?」レオンの顔は恐怖で歪んだ。


セレスとリアは、古竜の強大な魔力に怯え、戦意を喪失。特にセレスは、アイテムボックスが空であることに絶望した。クロノが管理していた回復薬や予備の武器が、一つも残っていなかったからだ。


古竜は、レオンたちを『餌』として追い詰めるが、クロノの指示で、イージスとアステラが動いた。


「イージス。古竜を殺さずに、『盾』でレオンたちから引き離せ!」


「御意に、マスター!」 イージスは、隠し通路から地上に飛び降り、純白の肌着姿のまま、古竜の巨体に体当たりした。彼女の絶対の守護結界は、古竜の咆哮すら無力化する。


「アステラ!レオンたちを、彼らの武器と魔力回路だけを破壊し、無力化せよ!」


「フフフ、流星剣の斬撃で、愚か者の希望を全て絶ちます!」 アステラは、トレーニングウェア姿で、一瞬のうちにレオン、セレス、リアの武器を破壊し、魔力回路を断ち切った。


ギルドのモニターは、純粋な裸身で古竜を抑え込む幼い少女イージスと、露出度の高い服装で超高速の剣技を披露する美少女アステラ、そして、絶望に顔を歪ませるレオンたちの映像を、鮮明に王都中に流し続けた。


クロノは、無力化されたレオンたちの前に降り立ち、静かに見下ろした。


「レオン。君たちの『役割』は、もう終わった。僕の『雑用』と『知識』、そして僕の英霊たちの『献身』の前で、君たちの存在価値はゼロだ」


クロノは、リリに指示を出す。 「リリ。古竜の巣の依頼完了と、彼らを『王都の英雄の足を引っ張った犯罪者』として王都に引き渡す手配を」


「マスター、最高の『ざまぁ』です」


王都へ帰還後、報酬と共に、レオン、セレス、リアは、『英雄クロノへの暗殺未遂』と『騎士団の依頼妨害』の罪で投獄された。彼らの冒険者としての地位は永遠に剥奪され、その醜態は王都の恥として語り継がれることになった。


魔改造要塞へ戻ったクロノを、四人の英霊たちが一斉に囲んだ。


「マスター!私の『盾の役割』は、マスターへの愛の証明!今夜も、マスターの生命力を私の身体で感じ取りながら、守護させてください!」イージスは、クロノの首に抱きついたまま離れない。


「マスター!我が剣を振るう最高の喜びを、この身体で味わってください!」アステラは、訓練の成果を確かめるように、クロノの胸にしなやかな体躯を押し付ける。


クロノは、英霊たちの熱狂的な愛と献身に包まれたまま、勝利の喜びと、レオンたちへの甘い復讐の達成感を噛み締めた。


「レオン。僕を追放した罰だ。君たちの全てを失うことになったね」


最強の美少女英霊ハーレムを率いたクロノ・アークライトの、英雄としての成り上がりは、今、王都の頂点に立った。そして、彼の次の目標は、英霊たちと共に、この世界の真実を解き明かすことだった。

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