一昼 新田 浩一
「……あったま痛ぇ」
昨日、飲みすぎたと自戒の意を込めながら立ち上がる
どうしても、飲み会には参加したくなるものだ。
「まぁ、自分の店だからいいんだけど。」
と顔を洗い流した。
BARの雰囲気には似つかわない。
酒臭い20歳になりたての友人が酔い潰れているのを無理矢理起こす。
「オイ、起きろ。」
これで起きなかったらどうしてやろうかと考えていたが、起きたので良しとする。
「センパァイ、昨日やばかったっすねw」
「昨日の記憶ねぇわw」
「やべぇーwww」
後輩と言葉を交わし、店を片付け、景観を整える。
俺の綺麗で雰囲気最強のBARをジジ臭くしたくない。
起きた頃が時間も時間なので開店の札を置くのと同時に、タバコを吸うために外に出た。
「……寒ぃ」
冷たい風が耳と頬を通り抜ける。
冬は好きだ。
タバコが映えるからだ。
ポッケのhi-liteを取り出し、火をつけ、煙を取り込む
「ふぅーーーーー」
深い溜め息と同時に、開店の札を店の前に置く。
店の前でタバコを吸うのが辛くなり始めた頃、
BARの中に入る人間が居る。
後を急ぐ、店主の責務を全うする為に。
「いらっしゃい」
フランクに話し掛け、顔を見た時に絶句した。
「……晶か?」
驚いた。本当に驚いた。
高校の頃から音信不通の親友が俺のBARに来たのだ。
女を連れて。
「晶、そっちの女性は誰だよ」
と聞く。
意外過ぎる返答が来た。
「だから、晶って誰ですか?」
「…は?」
おかしい。自分の名前を忘れる人間がどこにいるんだ
もう一度、顔を確認するが、認識された顔は
どこからどう見ても、比島 晶そのものだった。




