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ヤンデレ妹の拷問 水責め編

 朝目覚めると、俺はベッドに仰向けで縛り付けられていた。手脚がベッドの四隅に固定されており、身動き一つ取れない。

「な、なんだ!」

 混乱しつつも、冷静に記憶を探る。

 そうだ、昨日部活動が終わった後、疲れて帰ってきて風呂に入ってそのまま寝てしまったのだ。だからなのか、俺の恰好はパンツ一丁という何とも情けないものだ。

 と、その時だった。ガチャリと扉が開き、誰かが入ってきた。

「お兄ちゃんおはよう」

 妹は制服姿だった。

「おい、おい! もしかしてこれお前がやったのか!?」

「うん。でも、お兄ちゃんが悪いんだよ?」

「はあ? 何がだよ。こんな拘束するなんて、流石にやり過ぎだろ!」

 それの発言を聞いて、妹は「はぁ……」と大きくため息をつき、それから言った。

「だって、お兄ちゃんがさ、私を裏切るのがいけないんだよ?」

「は、裏切る?」

「うん、そう。裏切り」

 意味が分からない。俺がいつどこで妹を裏切ったというのだろうか。いや、そんな記憶はない。「なあ、俺がいつお前を裏切ったんだよ」

「え? 何言ってるの?」

「だから、俺がいつお前を裏切ったかを聞いてるんだよ」

 その返事を聞いて、妹はわなわなと震え、それから俺をキッと睨みつけてきた。

「ふざけないでよ! 裏切ったのはお兄ちゃんでしょ!」

「だから俺は何もしてないだろ!」

 妹の謎の怒りに思わず俺も怒鳴ってしまう。

「お兄ちゃん大きな声出さないでよ……怖いよ」

 妹のその発言で、俺は少しだけ冷静さを取り戻した。妹は口調こそいつも通りだが、やはりどこかおかしい。もしかしたら何かあったのかもしれない。

「なあ、一回話をしよう」

「……うん」

 妹は少し落ち着いたのか、ベッドの横にちょこんと腰かけた。

「それでさ、俺は何かお前を怒らせるようなことをしたのか?」

「……本当に、わからないの?」

「ああ、全く身に覚えがない」

 そう答えると妹はまた大きくため息をついた。そして、突然拳を握り込み、俺の胸を殴りつけた。

「自分の胸に聞いてみなよ!」

「うぐっ」

 俺は突然の衝撃に思わずうめき声をあげた。

 それは、ポカポカとかそういう擬音が似合いそうなかわいらしい攻撃ではなく、例えるなら、心臓マッサージでも受けているような衝撃だった。

 妹は、再び拳を大きく振り上げる。

「おぉごっ、がぁ」

 俺はその衝撃に、またうめき声をあげた。

「思い出せた?」

 妹はそう言いながら、何度も何度も俺の胸を殴りつける。

「がぁ……ごゃぁ」

 俺はそんな妹に抵抗することもできず、ただ黙ってその衝撃を受け入れるしかなかった。

「さすがに思い出したよねぇ?」

 妹は繰り返し聞いてくる。俺は、ガクガクと何度も首を縦に振りながら答えた。

 すると、妹はにっこり笑って俺の腹の上に馬乗りになった。

「よかったぁ。じゃあ、ちゃーんと謝ってね?」

 妹はそう言うと、俺の顔を手のひらで優しく包む。

「お兄ちゃんごめんなさいは?」

「ごめん……なさい」

「うん、ちゃんと謝れて偉いねぇ。じゃあ、次は私の質問に答えてくれる?」

 俺は再び首を縦に振った。

「お兄ちゃんは、どうして私を裏切ったの?」

 そう言いながら、妹はスマホの画面を見せてくる。

「は?」

 その画面に映っていたのは俺と最近仲良くなった女の子で駅ナカのカフェチェーンで談笑している姿だった。

「これ、どういうこと?」

 妹は声を低くして俺に聞いてくる。

「いや……それは」

 そこで俺は妹の目からハイライトが消えているのに気が付く。

「お兄ちゃん、私ね? お兄ちゃんが他の女の子と仲良くするのは嬉しいんだよ?」

「え」

「でもさ、これは違うよね? これじゃあ、ただの浮気だよね?」

「いや、違う。そうじゃない」

 俺は必死に弁解しようとするが妹は全く聞く耳を持たない。

「言い訳するの? それとも私にお仕置きされたい?」

 そう言いながら、妹は拳を俺の腹の上に振り下す。

「ぐぁ……おぇ」

 俺はその衝撃に思わず胃液を吐いてしまうが、それでも妹は手を止めなかった。

「お兄ちゃんが悪いんだよ。私を裏切ったんだから……」

 そう言って妹は部屋から出ていく。

「おい! これ外してくれよ!」

 俺は必死に叫ぶが、妹は返事をしてくれなかった。


 ほどなくして、妹が部屋に戻ってくる。

 ホースをもって。

「お兄ちゃん、喉乾いたよね?」

「おい……まさか……」

「うん、お察しの通りだよ」

 妹はホースの先を俺の口にねじ込もうとする。

 俺は、口を必死に閉じてホースの侵入を拒もうともがく。

 そのことが、妹は気に入らなかったらしい。

「お兄ちゃん、私に逆らうんだ」

 そう言って妹は俺の腹の上に馬乗りになり、拳を振り下した。

「がぁ! 顔はやめてくれっ」

 俺は必死に懇願するが、妹は「ダメ」と短く答える。

「お兄ちゃんが悪いんだよ?  私の言うこと聞いてくれない悪い子には、ちゃんとお仕置きしないとだもんね?」

 そう言う妹は、俺の顔を殴る。

「がぁ! ごぉ」

 俺は、痛みに耐えかねてうめき声をあげることしかできない。

 妹のアッパーが俺の顎にクリティカルヒットする。

「――ぜひゅ!」

 そして、あごの痛みに耐えかねて口を大きく開いてしまう。

 その隙を逃すことなく、妹はホースをねじ込んできた。

「ようやく口空けてくれた。じゃあ、レバー引くね」

 妹はそう言ってレバーを引いた。すると、ホースの先から水がすごい勢いで噴射されてきて、あっという間に俺の口を満たす。

「おごぉぉ」

 俺は必死に息を吸おうとするが、口に入った水は一向に減らず、それどころかどんどん量が増えてきているようだった。やがて、肺の中に水がたまり息が出来なくなる。

「ごぼっ、おぇ」

 そんな俺の様子を見て、妹はホースを引き抜く。俺は、大きくせき込んだ。

「げほっ、げほっ! ぉえ……」

 咳とともに若干の吐しゃ物が口から漏れる。

「汚いなぁ、キレイキレイしようね?」

 妹はそういうと、今度は俺の顔に水をかけ始める。鼻と口に激しい水量がかかり、俺の呼吸を阻害する。

「ごぼっ! おぇぇ」

 あまりの苦しさに俺は再びせき込んだ。

 俺は、陸で溺れかけていた。

「あはは、お兄ちゃんが溺れてる。かわいいなぁ」

 そんな俺を、妹は楽しそうに見つめながらそう言った。そして、まるで水で遊ぶかのようにホースから噴射される水を俺の顔にかけ続ける。

「ごぼっ! ぐぇぇ」

 俺は、酸素を求めて、必死に喘ぐが口から入ってくるのはただの水である。苦しくて仕方が無い。そんな俺を見て妹は、「あははは」と笑う。

 そして、しばらく水をかけた後、妹は言った。

「お兄ちゃんがちゃんと反省したらやめてあげるよ?」

 そう言って、妹は俺のスマホを差し出してくる。

 俺のスマホなのに、自分のものかのように慣れた手つきでロックを解除し、メッセージアプリのトーク画面を俺に見せつけてくる。

 その画面は、昨日俺が最近仲良くなった女の子とのチャットルームだった。

「今から電話かけるから、私の指示に従ってセリフを言ってね?」

 そう言いながら妹はスマホを操作し、電話の呼び出し音が部屋中に鳴り響く。

「電話出ないね。ほんとは嫌われてるんじゃないの?」

 妹は笑いながらまた同じように操作する。そして、今度は3回目のコール音が鳴り終わったところで相手が出たようだった。

「あ、やっと出た」

 妹はそう言って、スピーカーモードにして俺に渡してきた。

「もしもし? どうしたの何度も」

「え、いや、特に……」

「え? まあ、でも、電話とかかけてくるの初めてだし、嬉しいかも」

「ああ、そう?」

 俺の妹は俺と女の子のそんなたわいもない会話を黙って聞いている。

「で、用件は何?」

 その時だった、妹が俺の耳元で

「お兄ちゃん」と囁く。

 そして、

「『お前みたいなブスとは二度としゃべりたくなんだよ。キモいから話しかけてくるな』って言いなさい」と、命令してきた。

 俺は驚いて妹の方を見るが、妹は微笑んでいるだけで何も答えない。

 だけど、俺は……

「何でもない、ごめんだけど切るわ」

「え?」

 俺はそう言って、黙る。俺と妹の問題に他人を巻き込むなんてできなかった。

「え、あ、うん。じゃあね」

 そう言って電話が切れると、妹は俺のスマホを見つめながら、数秒間固まっていた。

 そして、そのまま無言で俺の口にホースを突っ込んでくる。

「ごぼぉぉ!!」

 突然のことに反応できず、俺はまたもや水を大量に飲み込んでしまう。

「おぇぇぇ」

 必死に水を吐き出そうとするが、入ってくる水圧の所為で吐き出すことができない。

「あはははは」

 そんな俺の姿を見て妹は壊れたように笑い続ける。

 そして、一分程経っただろうか、突然ホースが引き抜かれた。

「おぇ」

 俺はようやく解放された口で必死に酸素を取り込もうとする。

 そんな俺を見下しながら妹は言った。

「お兄ちゃんは、本当に優しいんだね。その女の子のこと、傷つけられなかったんでしょ」

「はぁ、はぁ」

 俺は何も答えられない。

「でもさ、それって私への裏切りだよね? なんでお兄ちゃんは私には優しくしてくれないの?」

 妹は、ベッドの上に登ってくる。そして、俺の腹に片足を乗せ、全体重をかけてくる。

「ぐぇぇ、おぇっ! おえええええ!」

 俺はその重みに耐えきれず、大量の水を吐き出してしまう。

「あはは、たくさんお水吐いちゃったね」

 妹はそういうと、完全に俺の腹の上に乗った。

 そして、俺の腹の上で飛び跳ねる。

「ぐぇ、がぁっ! ご……がふっ」

 そのたびに、俺の口からは大量の水が吐き出される。

「苦しい? でも、お兄ちゃんが私にしたことはもっと苦しかったはずだよ?」

 妹は俺の目を覗き込んでくる。だが、ほぼ意識を手放していた俺には、その言葉の意味がよく分からなかった。

「ほら、もっと反省しないとね」

 そう言って妹は勢いをつけて俺の上でジャンプした。

「あ、がはぁ!」

 瞬間、点滅する世界。

 今までで、一番大きな衝撃に思わず大きくせき込む。それと同時に大量の水が口からあふれ出る。

 そして、そのまま俺は意識を失った。


「お兄ちゃん、起きて」

 そんな声で目を覚ますと、俺は湯舟にいた。相変わらず、手足は縛られている。

「え?」

 状況を呑み込めずにいると、妹が俺の顔を覗き込んできた。

「どう? さっきは反省が足りなかったみたいだから趣向を変えてみることにしたよ」

 妹はそう言いながら、思いっきり蛇口をひねる。

 そこからは、冷水が勢いよく飛び出した。

「冷たっ!」

 あまりの冷たさに思わず声を上げてしまう。

 すると妹はそんな俺の様子を見ながらクスクスと笑った。

「お兄ちゃんって、時々面白い反応するよね。だから大好きなの」

「な、何を言ってるんだ」

 俺は妹に恐怖を覚えながらもそう返す。だが、妹はそんな俺の反応なんて気にも留めない様子で言った。

「ねえお兄ちゃん、私のこと好き?」

「それはもちろん……」

 妹は俺を冷たい目で見てくる。

「じゃあさ、なんで私以外の女の子と仲良くするの?」

 俺は何も答えられなかった。

「じゃあ、ここで一晩、いや一日反省してね」

「え?」

 俺は、足元に貯まりつつあった冷水を思わず見てしまった。

 すると、妹はそんな俺の顔を見てにっこり笑った。

「これから一日かけてじっくり反省してもらうから、そのつもりでね」

 そんな妹の笑顔に俺は恐怖しか感じなかった。

 そして、俺は湯舟の中で冷水漬けの刑にされた。


「お兄ちゃん、起きてる?」

「おお、おおおおれがわるかったたたた」

 あまりの冷たさに、俺は思わずそう口走ってしまった。

「え? 何、よく聞こえな~い」

 妹はそう言って、笑う。

「じゃあ、もっと楽しくしてあげるね」

 そういうと、妹は冷凍庫から持ってきた大量の氷を湯舟にぶちまけた。

「お兄ちゃん、今寒いでしょ」

 そう聞いてくる妹は当然のごとく服を着ていてとても暖かそうで羨ましかった。

「ざざざむぃよ」

「あはは、大丈夫?」

「もうゆるじで」

 俺は必死にそう懇願するが、妹はそんな俺の様子を笑いながら見ている。

「お兄ちゃんって、本当に面白いね」

 そして、妹は俺に顔を近づけてくる。

「どう? 妹にいじめられる気分って」

 そんなことを言って、妹は俺の頬を優しく撫でる。その手はとても暖かくて思わず俺は顔をすり寄せてしまう。

「お兄ちゃん、かわいい」

 妹はそういうと俺の頭を優しく撫でてくれた。

 そして、そのまましばらく俺は妹に頭をなでられていた。

「ねえお兄ちゃん、私のこと好き?」

 突然そんな質問を投げかけてくる妹に俺は反射的に答えてしまう。

「すきぃ」

 すると妹は笑いながら言った。

「ありがと、私もお兄ちゃんのこと大好きだよ」

 そう言って妹は俺の手をぎゅっと握ってくれた。そこから伝わる体温は何よりも温かくて、俺は幸せだった。そしてそのまま意識が遠のいていった。


 次、目覚めると俺は妹の部屋にいた。

「あ、やっと起きた」

 妹はそう言いながら、俺の顔を覗き込んできた。

 今の俺は、手足を縛られていなかった。

「さっきはごめんね」

 そう言って妹は俺を優しく抱きしめてくれた。俺は思わず泣き出してしまう。

「お兄ちゃん、もうこんなことしないって約束できる?」

 そんな俺の頭を撫でながら妹は尋ねてきた。

 俺は、泣きながらも必死に答えた。

「うん」

 すると妹は嬉しそうに笑って言った。

「かわいい私のお兄ちゃん、ずっと、ずーっと一緒にいようね」

「うん!」

 俺は、屈託のない笑顔でそう答えたのだった。

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