21話ー『魔法剣』
「世迷い言ォッ!! グレゴリオ・バーン・スラァアアアアシュッ!!」
グレゴリオの機体が手にしたロングソードが、ピカピカと真っ赤に燃え上がる。
それと同時に駆け出したグレゴリオの剣型の魔導戦機ネオが、砂埃を立てながらぐるぐると外周を回り始めた。
「クッ!! まるでアーシャの遠距離攻撃魔法にそっくりだッ!!」
連続して幾重にも拡がる、視認ができるほどの衝撃波の光。
その一つ一つの炎の刃が、すべて魔法で編み出された剣撃だ。
「クハハッ!! どうしたターニャ・クライリスッ!!
ーーこの私の魔法剣に手も足も出ぬかッ!?」
「ーーチッ!!」
一発一発の魔法自体にそこまでの威力は無い。
(ーーだが、とにかく厄介だ。
これだけの物量を連続して射出されるとは……ッ!!)
機体の損傷ダメージが次々と増え続ける。
熱を帯びた熱波の刃に、装甲が削られ溶けはじめて来る
(大破する程のダメージはないが……ッ!!)
このまま素直に食らい続けるのは厄介だ。
一つ一つは、ボクシングのジャブのように軽い魔法の剣。
ストレートほどの威力は持ち得ないし、何度撃ち出されたところでその一発で倒れることはない。
(クソッ、魔法剣の射出速度がかなり速いッ!!)
肝となるのは、その攻撃速度と連続性だ。
視認がしづらく、避けづらいッ!!
加えて言うなら、この攻撃は蓄積ダメージが重要な点になる。
(ヴァルナゴン装甲の自動回復(小)より、機体の損傷ダメージのほうが遥かに上回ってるッ!!)
このままでは、装甲が剥げ落ちて心臓部のエンジンがやられてショートする。
「ならばーーッ!!」
すかさず俺はジャンプを試みる。
「ーー無駄だァッ!!
魔法剣は角度さえ変えれば、この通り射出する方向を自在に変えることが出来るッ!!」
「ーーッ!!」
斬撃の数々が、俺の魔導戦機の外装に次々と直撃する。
「恐るべき魔法剣だ!!」
これだけの物量を魔法で飛ばされると、魔法障壁の一切ないマジカルモンクのクラスジョブでは、それだけでかなり不利な闘いを強いられる。
(しかも、この足場が最悪だッ!!)
砂利を敷き詰めただけの平らな平地。
屈んでジャンプしようにも、大した踏ん張りが得られない。
「魔導戦機ネオの総重量は、およそ60tッ!!
この砂地でジャンプして逃げようにも、足場が沈んで高くは飛べまいッ!!」
(グレゴリオの言う通りだ……ッ!!)
機体総重量にして60tもある魔導戦機では、機体の重みで足場の砂がやられて沈んでしまう。
その重みで砂地が沈む分だけ、垂直跳びの要領で飛び跳ねるにも時間を要する。
魔法剣の速度と物量が、俺が飛び跳ねようとするよりも速く突き刺さっている。
(これでは大した飛距離が稼げないッ!!)
まるでアリ地獄に堕ちたみたいだッ!!
(かと言って長期戦になるのも不味いッ!!)
俺の拳は、短期決戦に特化した一発型の打撃スタイル。
ロマンこそあれ、手数の豊富さでは向こうのほうに軍配が上がる。
「貴様を丸裸にしてやろう、ターニャ・クライリスッ!!
グレゴリオ・バーン・スラァアアアアシュッ!!」
「うぁあああああッ!!」
外装のすべてが剥げ落ち、俺の魔導戦機ネオが裸になってしまった。
このままでは、ヤツを抑えられなくなってしまうッ!!
「良いのかよ? 俺を裸にしちまって?」
「なに? 良いも何も、外装も装備も焼かれて、全身が丸裸になったお前の機体に何ができる?」
「俺はな。裸のほうが強いんだよ」
眠っていた俺の息子が目を覚ます。
今こそ覚醒の刻。
「ターニャ・チンコ・スラァアアアアシュッ!!」
キュピーンとシードの種が一気に弾ける。
心なしか目が澄んでいる。
俺の魔導戦機ネオの股関から、うねり狂う一頭の竜種がその顎を顕にした。
「何だッ!? この攻撃はッ!?
我が魔法剣の斬撃が喰われているだとッ!?」
「俺のチンコは、凶暴です」
むくりと目覚めた俺のマジカルチンコソードが、次々と魔法剣を喰らい尽くしていく。
「クッ、なんて速さだッ!!」
「ピストンッ!!」
すべての魔法剣をピストンして喰らい尽くし、止めに思いっきり足場の砂地を叩く。
ドカンと言う衝撃に半径10メートル程のクレーターを生み出す。
「チンコで足元の砂を叩いて、浮遊力を得ただとッ!!」
飛び上がりながら俺はグレゴリオの機体を見下ろす。
「ボッキーッ!!」
股間から飛び出るマジカルチンコソードが真っ直ぐにグレゴリオの機体へとめがけて伸びる。
すぐさま機体を蔦で締め付けるように絡め取り、そのまま作った穴の中に叩き落とす。
「グオオッ!! チンコに私の魔導戦機ネオがやられるなどッ!!」
そう言ってグレゴリオは、真っ逆さまに穴の中へと堕ちていく。
砂地で出来たクレーターの中にホールインワンされたグレゴリオの機体を見下ろし、俺は不敵に微笑む。
それはまるで月面を眺めるように、月へと堕ちた魔導戦機の無惨な姿を哀れみながら。
ウィーンと言うキャタピラー音が虚しく音をあげて空回りする。
チンコで仕上げた斜面の勾配。
それがあまりにも急すぎて、這い上がろうにもグレゴリオは登って来れない。
「おのれッ!! この私がこんなクソふざけたヤツに負けるなどッ!!」
ギリギリと歯ぎしりをしつつ、グレゴリオの機体が空へと向けて手を伸ばす。
「ーーこれで立場逆転だなグレゴリオ?」
そう言って俺は、グレゴリオの機体に魔法チンを構えた。




