第9話『歪み』
「さて、そろそろ境界線です」
「つまり?」
「こちらの名前や目的などを見られるのですが、問答無用で魔法を打ってきます」
「馬鹿なの?」
「分かりません。誰にも分からないのです。ただ殺せ、と」
「はあ」
「どうしますか?」
「じゃあ私だけが行けばいいんじゃん」
「それはもう、死なないでしょう。ですが、って話は分かりますね?」
「仕方ないでしょ」
「……」
「ま、そもそも私はって話だから」
「それはどういう――」
意味ですか、と聞きたいんだろうけど。
見れば分かるでしょって話よね。
つまり――
「ほら、何ともないでしょ?」
魔法でいいのか分からないけど、何かが私の心臓を貫く。
だけど、何ともない。
ただただ、ただただ穴が開いただけ。
「……」
「この身体自体、そもそも半分不死身だから」
「仮に焼き尽くされようとも、何をされようとも、これがあれがある限り死なない」
「ただそれだけの話」
「……」
「うーん。反応がなくなっちゃったね」
「ま、中に入れて任せとこ」
半分気絶してるような、何とも言えない感じ。
「ボクが最初に貫くはずだったのになー」
アンジェリキを中へ運んだら天依に懐かしい話をされた。
「それはお互い様。天依の心臓だって私が最初に貫くのに、自分で貫いちゃうんだから」
「ボクなりの、あの時なりの行動で愛」
「ま、ともかくよろしく」
「もちろん」
結局1人で行くことになったけど、まあいっか。
よくある話、展開とかにはならなかったなあ。
仕方ないよね。
あ、忘れずにこの穴どうにかしなきゃ。
まあ心臓以外は散々実験に使ったけどね。
どうせ元通りに出来るのだから、切る、抉る、千切る、焼く、溶かす、折る、剥ぐとか色々したなあ。
懐かしい。
さて、こうしてる間に目的地へ着きそうだけど、諦めが悪いのか、何なのか分からないけど……飛んでくるのよね魔法。
その都度、切れたり、抉れたり、千切れたり、焼けたり、溶けたり色々起きたけど、まあ何ともないよね、うん。
見た目は森なのに、それなりに間隔があるのね。
それを縫うように魔法が飛んでくること。
器用だなあ。
「立ち去れ、化物」
そんなこんなで着いたけど、いや、着いたでいいのかな?
ま、着いて早々何か来て何か言われた。
「――! ――――、――」
何か喚いてるけど、ま、どうでもいいよね。
ほんと、どうでもいいよね。
うんうん、よしよし。
さてさてこれが例の竜ね。
氷漬けかな?
んーどうしようかな、連れてくればよかったかも。
「連れてくればよかったかもって?」
「選択肢多いなって」
「だからボクが来たよ」
「知ってる」
「連れてく?」
「小さくして? じゃないとこの大きさは、ね」
「どうせなら人にしちゃえば」
「増やすの?」
「いらない?」
「いるの? 欲しいの?」
「ボクはどうでもいいかな」
「私だって」
「んー選んでもらう?」
「わざと?」
「うん、わざと」
「で?」
「一緒にって」
「一致?」
「綯い交ぜだけどね」
「揃ってないね」
「生きてるもの」
「消えても変わらないんじゃない?」
「まあ結局は色々」
「でさ」
「ま、追々」
そんなこんなでちゃっちゃとどうにかして、人にしたらまあ、またかってね。
つまり、女ってこと。
で、そもそもってわけ。
反発と願いがこうなったそもそものお話。
「帰る前にさ」
「あー」
「永久機関止めない?」
「忘れてた」
「取れなさそうね」
「意外と。何か、ね」
「行こ」
「起きたー?」
「ええ」
「すごいよねー。借り物しなくても、だよー」
「よく分かりません」
「いらないでしょー」
「誰が、ということですか」
「さてさて、そろそろじゃないかなー」
「……」
「確かにそうかもねー。だけど、これもいいんじゃなーい?」
「特に、あの2人はですね」
「そりゃーねー」
「ほら、希望通り」
「おかえりなさい。ありがとうございます」
「それでー?」
「見たまま。出たら言って」
「あいー」
「あの」
「いつでも」
「いえ」
「ふーん」
「菫、行こ」
「いいのー?」
「このままですから」
「そっかそっかー」
「何もなかったのに、消えそう」
「菫がもらったもので1から1になったけど、だけど――」
「だけど可愛いドールはもうすぐだね、菫」
「意外と、って。もし、は0しかないかも」
「ボクだってあるの。けど、どこまでもだよ」
「分かっても不思議なもの」
「ボクも」
「ループで変わらない、けど特別で特別でも何でもない。ボクらはどうして」
「どこからは分かるけど分からない。私はないもの」
「そんな世界でルート。あなたも酷くて、最低……そして、これもだね」
「私も同じ。すればいいのにってね。どうせこれもあれもだけど」
「どこまでも、ボクらそう」
「私も。どこまでもあの時から変わらずにずっと」
「これがあるからね」
「今はよどんでしまうけど、来たらこれを」
「ボクらの眼を砕こうね、菫」
「うん、甘えるね」
「もちろん。愛してる」
「私も愛してる」
「にしてもさー」
「何でしょう」
「そこの2人はほぼというか話さないよねー」
「そんなもの、当たり前、丁度いい言葉や表現が見つかりませんが、そんなものなのです」
「忘れてしまいそー」
「そんなことないですよ。意外と話しますから」
「ほんとー?」
「あたしもガリーナもそういう習慣というか立場だから」
「こうやってあたしたちが後ろに控えるような状況だと、自然とそうなる」
「ですが、私とディミトラだけの時などは、よく雑談などしますよ」
「やっぱそんなものなのねー」
「ところで、何ですが。紗夜鳴さんはあの2人に関して教えてくれるのでしょうか」
「アンジェリキさん気になるー?」
「ヤーナさん――あちらでは天依さんが産まれた時の見た目、あの人の見た目が不思議に思うのです」
「びっくりでしょー」
「ええ。謎で謎で」
「まあ長ーくなるから一言で言うなら、愛、だねー」
「愛で左目がなく、かわりになぞの模様の義眼。そして、左肩から手首までの傷跡。それが起きるのですか」
「おっとー、そういうのはいらないというか、だめじゃなーい?」
「誰も彼も言ってない、ですね?」
「そうだよー。ま、考えたり気にしても仕方ないさー」
「よくないかもですね」
「ま、とりあえず……のんびりだー」
「Emâ'le sirbe srevrepe ugnala ls iame, Ive de rbran ut see cuode ugnala l――ってね」




