第7章 王立図書館の章 第89話 王立図書館最深部
「ここかぁ」
俺はサーリールに連れられて王立図書館に入ることが出来た。サーリールの知り合いの力だ。
「さあ、手分けして探すぞ」
俺はキサラと手分けして、それらしいタイトルの本を探す。サーリールはサーリールの目的がある、勝手に分かれて探し始めた。
エル・ドアンは今のところここに到ってはいないので一歩先んじていることになる。なんとかエル・ドアンより先に元の世界に戻る方法を探さないと。
「コータロー様、何か目的の本の特徴みたいなものはありませんか?」
「それは判らないな。ただ珍しい希覯書であることには間違いないんだが。もしかしたら巧妙に隠されているかも知れない」
「隠されている、ですか。本そのものが隠してあるんでしょうか?」
「そうかも知れない、そうでないかも知れない」
「どういうことですか?」
「本そのものが隠されている場合もあるけど、本が別の本に隠されている、ということるあるんじゃないか」
「そう言うことですか。ということは」
「そうだ、全ての本を開けてみないと判らない、ということだ」
それからは単純に物量作戦だ。
「サーリールも手伝ってくれないか」
声を掛けてみたがサーリールはサーリールで忙しそうだ、無視されてしまった。
「しかし、これでは埒が明かないな。サーリール、ここには毎日来てもいいんだよな?」
「ああ、私も少し通うことになりそうだ」
その問いにはちゃんと反応してくれた。ただ少し問題も有りそうだ。俺がここに通っていることを、いつエル・ドアンに知られてしまうか、というこだ。
流石に直接一緒に連れて行けとは言わないだろうとは思うが、頼まれれば断る理由を探さないといけなくなる。そもそも俺がサーリールのオマケなのだから、ということでは弱いか。
最深部には数万冊の本が所蔵されている。そこには禁呪魔法の魔導書も多い。勿論持出禁止であり写しを取ることも許されない。
俺が探している、元の世界に戻る方法が記された本(本当にあるかどうかは不明)を見付けても同様に持出禁止で写しも取れないのだ。
そして俺とキサラ、サーリールの王立図書館最深部参りは続くのだった。
最深部に通い出して1週間、相当危ない魔法が記されている魔導書を幾つも見つけたが目的の希覯書は手掛りすら見つけられていない。本当にあるのか?
「どうじゃ、何か見つかったのか?」
「館長、いつもありがとうございます。今のところ成果は全く」
「何を探しておるのか知らんが、まあ精々励むこと多。それにしてもサーリールはどこだ?」
サーリールの姿が無かった。魔法で転移した気配は無かった。そんな高位の魔法を使えば気が付かない筈がない。サーリールが転移魔法が使えることは知らないし、そもそも使えないかも知れない。
「さっきまでそこにいらっしゃったと思ったんですが」
キサラも俺も同じことを思っていた。もしかして隠し扉とか?ベタだが王道か。
「おーい、サーリール」
大きな声で呼んでみたが返事はない。
「参ったな、サーリールが消えたとなると、見つかるまで探す必要があるぞ」
それから三人で隅々まで探してみたが、サーリールの姿は何処にも無かった。
「本当に消えてしまったようだな」
「館長、隠し部屋とかはないんですか?」
「儂の知る限りはないな。まあ、ここのことをそれほど詳しく知っている訳ではないが。儂もほとんどここには入ったことが無いのでな」
「そうなのですか。館長が入ったことが無いとすると、ここの維持管理は普段どなたが?」
「誰も」
「誰も?」
「そうじゃ、ここは誰も管理しておらん。この部屋自身が自らを管理しておるのじゃ」
正直館長が何を言っているのか判らなかった。どういう意味だ?
「自らを管理、ですか?」
「そうだ。ここにはそう言う永続魔法が掛けられている。詳しくは儂にも判らんがな」
「その魔法のマナはどこから供給されているのですか?」
「それも含めて判らんとしか言いようがないな。ただ基本はここの結界永続魔法と同じものだと思うのだが、解析してもよく判らんのだ」
伝説級と言われているワンナー・ツースール館長が言うと自虐に聞こえる。
「館長ならサーリールのマナを探知できるのでは?」
「それもさっきからやっておるのだが何も引っ掛かって来んのだ。協力な結界魔法が掛けられているとしか思えんな。それも儂が存在を全く探知できないほどの。サーリールにそれほどの力が有るとも思えんが、儂もあ奴の全てを知っておるわけではない」
「館長とサーリールは古くからの知り合いだと聞きましたが」
「まあ、確かにそうだが、見知っているだけで識っている訳ではない」
「いずれにしてもサーリールが見つからないと、ここを閉じる訳にも行かないでしょう」
それからも三人で隠し扉の釦などを探し続けたが全く見つからなかった。これはどうも本人が自ら出てこない限り見つけられないのではないか。




