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第7章 王立図書館の章 第85話 ドアン教室に行ってみた

 部屋に戻るとサーリールが戻っていた。


「何か収穫はありましたか?」


 こちらが聞きたかったことを先に聞かれてしまった。


「校長の手配では無理だったようだが。ドアン先生が試したらしい。そっちはどうだ、何かあったか?」


「古い知り合いを訪ねてみたのだが、三人のうち二人は亡くなっていた。最後の一人には会えるには会えたんだが私のことを憶えていなかったな。あれは多分一種の病気だ」


 認知症のことか。この世界にも当然認知症はあるのだろう。


「ということは無駄足だった、ということか」


「いや、別の知人には会えた。元々ここに来るまでに会うつもりじゃなかった人物なのだがな」


「その人との話は上手く行ったのか?」


「まあな。とても偉くなっていたので大丈夫だと思う」


「偉くなってたって王都魔法学校の校長よりも上ってことか?」


「ああ、そう言うことになるね」


 校長よりも上となると本当に数が絞られる。


「その人に頼めば王立図書館の奥深くに入れるんだな?」


 サーリールの知り合いが誰でもよかったが問題はそこだ。


「王立図書館の館長ですら入れない所蔵庫があるようだ。そこに入れる可能性はある」


 どんな知り合いなんだ。あとはその所蔵庫で目的の物が見つかるかどうか、だな。


 それにドアンに知られないようにしなければならない。校長ルートで失敗しているのだから、それ以上の肩書を持った人物ルートを探している筈だ。ドアンならある程度は可能だろう。スピード勝負だ。


「で、いつ入れる?」


「まてまて、今日会って旧交を温めたところだ。いきなり王立図書館の最深部に入れてくれとは言えないだろう」


 意外とサーリールは常識的だった。


「それもそうだな。判った、なんとか早めになんとかしれくれ。ドアンに先を越される訳には行かないんだ」


 サーリール自身の目的は知らなかったが、こちらの目的は話してある。この世界にはあまり影響があるとも思えない話なので、どこまで真剣になってくれているのかは不明だが今のところ協力的だ、信じるしかない。


 少し時間が出来たので俺は久しぶりにドアンの顔を見に学校に行ってみた。相手の様子を伺う意味でも、一度で会っておきたかったのだ。


「ひさしぶりですね、コータローさん、何処に行ってたんたですか?」


 早速ドアンが話しかけてきた。腹の探り合いだ。


「ドアン先生、休んでしまってすいません。ちょっとシルザールまで師匠の会いに行ってたんですが結局会えませんでした」


 シルザールまで行って戻るには日数が足りないが移動魔法や飛翔魔法が使えるのなら十分間に合う。実はまだ俺は両方とも殆ど使えないんだが。修行しなければな。


「そうですか、それは残念でしたね。それでは戻ったんですから修行をまた頑張ってください」


 それだけ言うとドアンは授業もしないでどこかに行ってしまった。


「コータロー、何処に行ってたの?」


 教室に行くとサシャ・ネールが話しかけてきた。


 ノート・クリストは俺が推薦を受けた理由をちゃんとドアンに説明できたので同じく推薦で上級魔法士になっていた。それ以外のドアン教室の生徒はまだ誰も上級にはなれていない。


「ああ、ちょっと野暮用でね」


「野暮用って何よ。まあいいわ、ノートは上級になって期末で卒業してしまうんだけど、私も早く上級になりたいの。いくら言ってもノートは教えてくれないし、コータローもやっぱり教えてくれないんでしょ?」


「教えたりしても推薦はしてくれないだろう。上級への道は遠のくんじゃないか?」


「それなのよね。結局ノートもそう言って教えてくれないんだもの。ドアン先生にバレない方法はないのかしら」


「それは無理だろう、あのドアン先生だからな」


 王国一の魔法使いの名は伊達ではない。


「だよね。うーん、次の試験は受かれるかな」


「まあ地道に頑張れ。君たちはエリートなんだから」


「エリート?」


「ああ、凄く優秀な生徒、ってことだ」


「それはありがとう。それで結局どこで何をしていたの?」


 なんだ、そこに戻るのか。俺自身に興味があるようには思えないが。


「そんなことに興味があるのか?」


「何よ、内緒なの?」


「内緒だ、もう聞かないでくれるとありがたい」


 それでサシャは渋々引き下がって行った。


「コータローさん、戻られたんですね」


 今度はノート・クリストが声を掛けてきた。


「ああ、ノート、上級になって気分はどうだ?」


「気分も何も、特段変わったことはありませんよ。皆に色々と聞かれるのが割と面倒ですけれど」


「それは確かに面倒だな。でも君の能力は結構レアらしいから誇っていいと思うよ」


「レア?」


 ああ、何回もこれを繰り返しているな。こっちの言葉で言い直すのが割とストレスになる。


「珍しい、とか希少価値があるみたいなことだよ。優秀な筈の今のドアン教室の生徒の何にも君一人しか持ち合わせて居なかった、ということになるからね。俺にもキサラにも無かったことだから」


 ノートは少し気が弱い所があるので他の生徒からも色々と言われているのだろう。一人だけ上級に推薦してもらったのだから仕方ないとも言えるか。












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