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第4章 雌伏の章 第47話 ロングウッドの森で修業を再開した

「師匠、っていうかヴェルドア・サンザールは伝説級魔法士だったんでクマさんも当然伝説級ってことになりますよね」


「なんだ、その伝説級と言うのは。我はロングウッドの森に来てから一度もここを出ておらん。外のことは判らんし、外の基準など知らんな」


 まあ、本人申告だが師匠の上だと言うなら修行を付けてもらうには申し分ない。


「それにしてもお前のそのマナの量はなんだ?」


「なんだ?と言われても。やっぱり多いですか?」


 色んな人から言われるが俺のマナ量は多いらしい。自分ではあまり他人のマナの量が探知できないので自覚がない。


「そのマナの量なら出来るかも知れんな」


「出来るかも?」


「そうじゃ。普通はマナの量が圧倒的に足りんので出来るものが居らんのだが、お前なら出来るかも知れん」


 このクマさんは何を言っているんだ?


「あの、クマさん、さっきから話が見えないんですけど」


「おお、そうであった。そのマナの量であれば今までヴェルドアとルナジェールしか成功したことが無いそれこそ伝説級の魔法じゃな」


「だから、それは一体どんな魔法何ですか?」


「それは勿論若返りの魔法じゃ」


 なんと、若返りの魔法だって。というか師匠とルナは若返っていたのか。


「そんなことが出来るのですか?」


「そうじゃな。見た目を一時的に変える変身魔法はそれほど難しい魔法ではないが時間制限があってすぐに元に戻ってしまうが若返り魔法は完全に心身ともに若返れる。経験や知識はそのまま、という超お得な魔法じゃな。但し、普通はマナの量が全然足りないので出来る者は居らんのだ」


 確かに60歳寸前の身体は最近は悲鳴を上げている。無茶な薬でマナ総量を増やしていたので、実際には身体はボロボロだ。死なない、その一点だけで今までやって来た。


「若返ったら、もっと色々な魔法も覚えられるんだろうな」


「そうじゃな、厳しく修行を付けてやることが出来るな」


「結局修行三昧か。まあ、いいけどな。それでその魔法は難しいんだろ?」


「かなり難しいな。ただ二人成功しておる」


 そうか、俺が覚える魔法士じゃないんだ。


「クマさんに任せれば大丈夫、ってことだな」


「そうじゃ、我に任せておけ。ただ準備には時間が掛かる。その間ルナジェールを探してもよいし魔法の修行をしてもよい。とりあえず少し待っておれ」


「判った、ぜひともお願いするよ」


 その言葉を聞くとナーザレス・ロングウッドことクマさんはどこかに行ってしまった。


 一人残された俺は、いつまで待つのか聞いてなかったことに気が付いたが今更どうしようもない。しばらくはこのア・レウラ・ムーロで修業を続けることにした。寝名を探しに行っている間にクマさんが戻ってきてしまうこともあるからだ。


 割と火や炎系の魔法は極めた感がある。ただ、ここでは炎系は練習できない。水や氷系なら大丈夫そうだ。風系も問題ない。雷系は無理だな。


 隠形や隠蔽魔法は確認してくれる相手が居ないので練習出来ない。壁抜けなら木を使ってできるか。思念系はこれも相手が居ないので無理だな。


 例の薬はまだまだあるので、マナの量はまだ増やせる。こうなったらいける所まで行ってみよう。


 数日はア・レウラ・ムーロ周辺で出来る修行に明け暮れていたが、なかなかクマさんは戻ってこない。準備に相当掛かるのかも知れないが、案外また道に迷っているのかも。迷ってる可能性の方が高いな。


 水や氷系、風や雷系は自分ではかなり極められたと思う。壁抜けも相当スムーズに出来るようになった。多分隠形魔法と組み合わせれば気が付かれないんじゃないかな。


 オメガに気が付かれないかどうか、試してみたいな。そういえばオメガはどうなったんだろう。師匠に会えて『赤い太陽の雫』の使い方は教えてもらえたんだろうか。まあ、あの師匠が素直に教える訳ないか。


 それにしても師匠が俺を探しに来てくれるとかの展開は無いのか。俺のことを忘れてしまったのか。それともやっぱり捕まったとか。まあ犯人じゃなかったことは確定していたのでそれは無いか。


 ロングウッドの森で、ルナに手伝ってもらって俺に修行を付けてくれる手はずになっていたはずなのだから、俺がここに居ることは容易に想像できると思うんだが。


 となるとやはり俺は師匠に見捨てられたのか。それはそれで寂しいもんだな。


 それにしてもクマさんは遅い。あれから何日経ったのか。


「なんだ、ここに居ましたか」


 突然声を掛けられて俺はひっくり返ってしまった。誰の気配も無かったはずだ。俺に気が付かれないでここまで近づけるなんて、相当なものだな。


「だっ、誰だ?」


「誰だはないでしょう。私ですよ、ルナジェールです」


 ルナだった。師匠は探しに来てくれなかったが、ルナが来てくれたのだ。俺は少し涙が滲んだ。


「ルナさん、探しにきてくれたんですか、本当にありがとうございます。師匠とは?」


「ヴァルドアとあれから会ってませんよ。シルザールで何かありましたか?」


 俺はそこからシルザールで見聞きしたことの一部始終をルナに説明した。


「そうだったんですね。ヴァルドアの無実が証明できたのであれば何故あの人はここに来ないのでしょうね」


「それは判りません。何か起きたのかも知れませんね」


「まあ、あの人なら少々のことなら切り抜けているとは思いますが。それでナーザレスはいったいどこに行ったのでしょう」


「俺に若返りの魔法を掛けるために準備をしてくると言い残して全然戻ってこないんですよ」


「ナーザレスが若返りの魔法を?」


「俺のマナの量なら出来ると」


「なるほど、確かにナーザレスは若返りの魔法を使えますが、あの魔法は掛けられる本人のマナの消費量がとんでもないですからね。確かにあなたなら可能かも知れません」


 ルナが若返りの魔法で今の見た目になっていることは触れないでおこう。見た目は15、6歳の少女にしか見えない。本人の希望でこの見た目まで若返ったんだろうか。


「そんなに準備ってかかるもんなんですかね?」


「そうね、確か1週間程度はかかった筈だけど」


 それならあと1日くらいで戻って来るかも知れない。但し迷ってなければ、ということだが。


「どうする?ナーザレスをここで待つ?それとも私のところに来る?」


「若返りの魔法は?」


「まあナーザレスなら成功するとは思うけど。今まで二人にしかかけたことが無くて二人とも成功はしているから」


 クマさんはなかなか優秀なようだ。







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