覚えたての懐かしさ
今日ふと思ったことがある
わたし年をとったな
懐かしのメロディを聞いて感じた
別にしわくちゃのおじいちゃんやおばあちゃんじゃないけど
もう子供じゃないんだよな
若くないんだよなとはっきり感じた
自分でももう若くないってよく言う
その理由がやっと理解できた感じだった
テレビで見た昭和や大正の
見て覚えた懐かしさじゃない
肌で感じる懐かしさ
小さい頃は嫌なことも悲しかったこともあったけど
あの時をたしかに生きていたんだなって感じる
元号が変わっても何も変わらないって思っていたけど
時間はちゃんと流れてた
学校の校庭で転んだときのこと
テレビで流れるヒットチャート
CDを再生しては好きなアーティストを追いかけた
技術の教科書に載っていた肩掛けの携帯電話に
昔の人こんなの使ってたんだと驚いていたのに
折りたたみのケータイから息つく間もなく様変わりして
今は薄いスマートフォンを手に握り
ワイヤレスで音楽を聴いている
友達と流行の何かで盛り上がって
明日が待ち遠しかったりそうじゃなかったり
今日もどこかで子供たちが繰り返しているかもしれない
何気ない感情の行き来が
まったく違うツールで表現されるようになって
自分がもう新しくないと気づかされる
着物や古民家に感じる懐かしさとは違う懐かしさがあるって
今日やっと気がついた
自分の知ってて当たり前が古くなって
他の子たちの知らなくて当たり前が普通になる
ああ年をとったな
お父さんとお母さんの懐かしさが分からなかった
あの時の幼い自分を他の誰かに見つけた時
もう若くなくなったんだなと思い知らされる
時計の針が知らないうちに進んでいたこと
はっきりと感じ取った
懐かしいという感覚が今やっと届いたんだ