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生まれ変わったら飛べない鳥でした。~ドラゴンのはずなのに~  作者: イチイ アキラ


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第96話 再会――おかえりとお久しぶり。


 ……タキさんのお早いお戻りに、皆して呆気に取られていた。

「……おかえり」

 ロザリーさん、それ言っちゃう?

 ぶふぁっ、と吹き出したのは桑呀のどなたか。わかりみ。


 タキさんは「覚えていろ」ていう逃げ台詞だったけど、これはさすがに忘れられないかなぁ。しかもこんなすぐに再会ですとは……。

 ランエイさんなんか「エー……」て顔文字のお手本みたいな顔しちゃってる……うん、わかる。気持ち、わかる。彼だと猫耳付きの顔文字。かわいい。わかる。

 私もちょっと現実逃避み。


 タキさんは大地に落下した。

 墜落した、激突した、の方が正しいかも。


 そして私は。

 私を抱えたゼノンと護るように控えてくれていたガロンも。

 正直なところ落ちてきたタキさんとはまた違うところに。みんなと同じような顔文字しつつも。

 彼女に――びっくりしていた。


「ハーピーさん!?」


 三つの影。

 私はタキさんをむしろ落とした側に目が丸くなっていた。私たち三人はそんな顔文字だ。

 その一つは――いや、三つとも。

 それは三人のハーピーだった。

 彼女らはタキさんの頭と肩、翼、そして足をそれぞれの鋭い足の爪で抑えていた。爪食い込んで痛そう。その鋭く痛いのは私もちょっと経験ありだから。

 彼女らは空中で、さらに上空からタキさんに強襲した。

 まさか自分が上を取られることがと、タキさんは驚いただろうなぁ……。

 そして羽ばたくこともできなくなり、彼は地面に――落ちるしかなく。

 ピクピクしているから生きてはいるみたい。


 そのタキさんを抑えつけ、彼をクッションかわりにして彼女たちは無事だった。いや、ハーピーだからこういう狩りの仕方で獲物と落ちるのは平気なのかも。普段からの慣れかも。


 三つ子なのかそっくりな彼女らの、それでもその中のひとりに私たちは覚えがあって。


 あの半年前。

 一緒に脱出した仲間だ。

 

 足を抑えつける係りだった彼女も私たちに気がついて。

「ぴぃ!」

 と、可愛らしく鳴いた。

「お逢いしとうございましたぁ!」

 彼女はぴぃぴぃ鳴きながら私――と、私を抱えているゼノンにすりすり。

 私がちいさいから私に擦り寄るとゼノンにもなんだな。

「ハーピーどの、ご無事で……!」

 ゼノンとガロンもびっくり。でも嬉しいよ。

「ハウンドウルフさまと一角猩々さまも……!」

 彼女にはゼノンがあの子猿だった一角猩々とわかったみたい。あとから聞いたら、頑張って匂いを忘れないようにしていたとのこと。

 この半年間、ずっと。すごい。だから久しぶりに逢っても一目でわかったんだって。えらい。

 ゼノンは他種族から見ても本当に幼かったから、半年もあれば大きく成長していると考えてもいたそうで。そんな彼女もあとからゼノンがめちゃくちゃ進化していたことにびっくりしたけど。


「彼女がいつか話していたハーピーか?」

 ロザリーさんがなるほどと、うなずいて。

 タキさんはそのうちに捕縛されていた。まぁ、まずは病院だろうけど。

 桑呀の長の義弟で、この国でなにかと顔の利くゲンヤさんが兵士さんたちに説明してくれていた。

 いきなり現れた魔物が、私に明らかに懐いている様子にこれはハウンドウルフたちと同じくドラゴン関係か、と。

 彼は近くにいたロザリーさんとすぐさま目と目で会話。

 ロザリーさんに頷かれた彼は、さすがすぐに理解して。ハーピーたちも獲物(タキさん)が身動きできないと確認した後、ゲンヤさんに譲ってくれたそうな。

 ゲンヤさん、お仕事あったね。

 そして一緒のハーピーが私に甘えているところを微笑ましく見てくれてる。

 それに可愛らしいハーピーさんが可愛らしい少年と可愛いペンギンにすりすりしてるのは可愛いよね。ね?

 彼や桑呀の皆さんに私のお供たちが魔物と事前伝わっていたおかげで。

 彼らのおかげで私たち魔物がこの王城の中にいても捕縛されていないわけで。

 ……でも。

 ロザリーさんがひっそりと警戒してくれているのも伝わったり。だよね、獣人の国の中に人間と魔物が入り込んで騒動あれば――気をつけないと、私たちになすりつけられる。いろんな厄介を。哀しいけれどそうした嫌なのはどこの世界も同じ。



 これから獣王の死のお話があるのだから。



 私たちは獣王国の皆さんのお話が終わるまで、このお城で待機になった。まあ仕方無し。

 私たち。私と魔物たちとロザリーさん。

 お城の中庭みたいなところに東屋があって、そこで。

 今がほどよい気候で良かったと思いつつ。

 ……まあ、見張りも遠くにいるよね。

 魔物だから室内より外が良いだろうと気を使われてもいるんだろうな。

 途中で桑呀のひとがおやつもってきてくれて、現状も教えてくれた。

 獣王の死とタキさんのやったこと。そしてランエイさんの帰国や、桑呀の長自らの押し込み。もう少しで反乱扱いだった、それ。

 今急いで話合いが行われる準備中。

 なんとまとめ役はヒョウカさんだとか。ヒョウカさんは獣王コウランだけでなく、何人かその世代に教え子もいるから割とまとめ役に向いているとあとから知ったよ。

 その世代は今は獣王国の重鎮だったりしてね。


 ――だから、あとから私はこの時にヒョウカさんに言っとくべきだったんだと思ったんだけど。

 その時は、まさか自分が獣王国――いや……。


 獣王国の主だった部族の長が急いで集められていると聞きつつ、私たちはのんびりとハーピーさんたちと話を。

 私とはぐれたあとのハーピーさんの一人旅に涙していた。

 彼女がどう頑張って自分の住まい、お姉さんたちのところに帰ったかを。

 ハーピーさんは夜目がきかないから、そして私の近くにいるとても強い気配に恐れ慄き――一人で突貫しても敵わないと。きちんと考えた。

「それ、私か?」

 ロザリーさんですね、うん。

 けれどハウンドウルフさんと一角猩々さんと合流しようにもみつからない。ゴブリンもあちらこちらにいて地上に降りるのも危険。

「逃れた我々は、また人間に見つからないようにしばらく気配を殺して隠れておりましたから」

「その間に少しでも回復を、と……」

 そうだった。私が影で呼ぶまで数日間、ハウンドウルフのガロンがまだ子猿な一角猩々のゼノンを護ってくれていたんだよね。人間だけでなく他に魔物もいたりした。弱った魔物は他の魔物の――弱肉強食な世界。

 あと、影の糸電話の意外な効能。

 私の魔力が二人に伝わって、少しずつだけど回復させていたのだそうで。私グッジョブ。無意識だったけど。


 ……私の魔力てどれくらいあるのかな? 今のところ底が見えなくて怖い。

 

 でも、それで二人は時々私から離れても単独行動できていたのね。

 だけれども隠れた二人も見つからなくて。

 なので考えた末にハーピーさんは助けを求めて姉たちのところへ。それが一番良い結果となったのは、今現在。

 タキさんを仕留めた三つの影は、ハーピーの三姉妹だったというわけだ。


 けれどもそうしたらあれほど溢れていたドラゴンの気配が。


「あ、私が省エネ覚えたから」

 私の気配ダダ漏れなせいで獲物が取れなくて難儀してたんだよね。まさかそれがハーピーさんとさらにはぐれることになっていたなんて。

 でも彼女はおりこうさんだった!

 彼女は会話の中で「獣王国」と出てきたのを覚えていたのだ。

 なので姉たちと獣王国に来て、私を探していた。空を飛べる彼女らの方が私たちより先に着いて。


 そう、あの噂になっていた泣き声――女のすすり泣きとかは、彼女らが正体だったのだ。

 本当に、幽霊の正体見たりなんとやら……。

「やはりハーピー殿の匂いだったか……」

 ガロンが気になると探していたのはそういうことだったのか。ここにも匂い忘れてなかったすごいのが。

「あの時に話しておれば良かったですが、確証がなく……」

 それに私たちもあれこれしていたし、拠点もすぐにヒョウカさんの庵に変わったから。探す時間なかったのだもの。

 ハーピーさんたちもまさかそんな近くに私たちがいるかと思いもしなかったし、ガロンほど鼻も良くないからわからなかったそうで。獣王国で魔物は討伐対象だからそんなに大っぴらにも動けてもいなかったそうで。いまや寂れたお堂まわりに潜伏していたのもなるほど。私たちもはじめはそんな理由で潜伏しようとしてたのだし。

 でも、あの時――ゲンヤさんも原因探しにきていたのよね。ハーピーさんがゲンヤさんに見つからなくて良かった。いろんな紙一重だ。

 私もその間は省エネだったから。


 そして彼女たちは時折感じるドラゴンの気配に。

 私が発する度々に、慌ててすっ飛んで来ていて――まさに、今日。


 ようやく再会できた。


 ハーピーさん、頑張ったね!




 ハーピーさんの旅を語ると長くなりますので今は。彼女も出会いから半年、本当に頑張ったとほめてあげてください。賢い鳥さんです。

 あと、吹き出した桑呀のひととおやつもってきてくれたのは同じひと。


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― 新着の感想 ―
こんばんは! ハーピーさん合流うれしいですねぇ ドラゴンとは、巣はどこにあるのか、母や兄姉達はいずこに、この世界はどうなって…と謎も多く気になることも沢山ありますね のんびり続きお待ちしております!
今気づいた!ペンちゃん桃太郎だ!(遅い)
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