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第73話 竜人さんと桑呀の長い付き合い。


 そういうことなら、と私とロザリーさんは快諾した。

 見るくらい構いませんとも。

 ロザリーさんはほら、私の拾い主だから。うん、保護者だから。こういうとき、いや、もはや彼女の付属品が私?


 そうして私はロザリーさんにいつものように運ばれてゲンヤさんたち一族の領域に行くことに。

 ゲンヤさんたち桑呀は傭兵職が多いので、つまり獣人国から出稼ぎに行くので。人間に慣れているからロザリーさんもお気になさらず、と言ってもらったしね。でも、やはり獣人ということで、出稼ぎでも差別は受けることもあり、わざと難しい戦いを配置されたりするときもある。

「だがまぁ、そんなのは実力で捻じ伏せるから」

 かっこいい。つか、それは、本当に実力あるひとしか言えませんぜ。

 ロザリーさんもゲンヤさんに頷いてる。ソロ冒険者もいろいろあるそうで。

 ゲンヤさんとロザリーさんががっしり握手してる横にはヒョウカさんが。

 今回、訪問メンバーはゲンヤさんは当然として、私とロザリーさんだけでなく。ヒョウカさんも。


 ランエイさんとベニユキさんの双子はヒョウカさん家でお留守番。さすがに逃亡者がうろうろしたら何だし、それにゲンヤさんが抑えているとはいえ、白いベニユキさんを狙っているかもな、一族ど真ん中。

 魔物のガロンとゼノンも目立つからお留守番。まぁ、この二人は何かあったら糸電話で連絡要員。いや、スマホもないこの世界で、ありがたいと最近しみじみする。この糸電話て呼んじゃってるけど、この能力。

 彼らはお留守番しながら……ヒョウカさん家の扉を直してるって。ありがとうねぇ(チラッとゲンヤさん見たけど、口笛吹いてた)。


 ヒョウカさんがついて来たのは、竜な私から離れたくなかった……のはあるっぽいけど、ゲンヤさんの義姉さんや甥っ子さんが気になったのもあり。古くからの付き合いがあるから。

「もともとは、ゲンヤくんのお爺さんと仲が良かったのです」

 そういえば長生きしてましたね。

「そして、ゲンヤくんのお父上とも昔、一緒に旅をしたこともありました」

 それはヒョウカさんの竜探しな旅を。

 世界を見てくるのは良いことだと、お爺さんの代からヒョウカさんに同行されていたそう。ヒョウカさんにはスポンサーでもあったそうな。だよね、旅費だいじ。

 ヒョウカさんは旅をしてないときは獣王国でそうした旅話や、幼い子供達の文字などの手習いとかして生活費や旅費になさってるそうで。でも近年は終末論的なお話しのせいで、ランエイさんみたいな若手には誤解されてて、哀しみの生活苦に……哀しみ……。

 ので、用心棒的なこともして船に乗せてもらったりとか。その辺りは昔からだけど、そうした事情で危険増えたからソロ旅になってきたんだって。


 うん、苦労なさってたんだね。でも傭兵も出す部族がついでの引率教師的に頼んだりするて――やはり、強いんではこの竜人?

 見た目は細くて眼鏡さんなんだが……。


「では、ヒョウカ殿にとっては、ゲンヤ殿はお孫さんのような?」

 ロザリーさんが関係図を脳内で把握されて問いかけた。私も同じように。

「ええ、おむつも替えたことございますよ」

 お、定番。

 でも今もう、見かけはゲンヤさんの方が一回りくらい年上に見えるので。それは、きっと……ヒョウカさん……。

 ヒョウカさんの旅にはゲンヤさんや亡くなったお兄さんも、子供の頃に付いて行ったことがあるとか。おかげで出稼ぎに出ても人間世界に戸惑わないで済んだ、と。

 そういう長いお付き合いなのだね。そりゃ、ゲンヤさんが扉壊して侵入してても慣れてしまっていたはずで。孫のいたずら感覚……いや、でも器物破損、駄目。躾さしておかんと! 私も甥っ子にゲンコツ落としたことありますし。姉の許可のもと。


「昔は、あの子も良く旅に付いてきたのでしたが……」

 あの子?

 私たちの首を傾げた様子に気がつかれて、ヒョウカさんはそのひとを教えてくれた。


「コウランといいます。今の獣王です」


 ――ぺあ?



扉「…ほっ」

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