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第5話 言葉の壁がないってイイネ!



 ――パサパサ……。


 それは弱々しい小さな羽ばたきの音。

 それが気になって、ぺったらぺったらと、荷馬車に近づいた。

 荷馬車の先にはまだ馬も何もついてなかった。

 まぁ、お馬さんにはこの岩場はさすがに狭いよね。

 きっと外につないであるんだろう。

「いや、馬だろうか……」

 ふと気がついたんだ。この世界、自分の考える――知ってる世界観が通じるんだろうか。

 何せ自分がドラゴン(の、ハズ)だ。

 ファンタジーの世界。

 馬ではない他の、例えばモンスターだったらどうしよう。そうなると出口にはまた難関が待っていることにならないだろうか。

 まぁ、荷馬車に繋がるくらいだから、人におとなしい種ではあるだろうけど……。

 パサパサという、音。

 そんなこんなを考えるとこれは、近づいても大丈夫な音だろうか。

 母上さまにもっと世界のことをお訊きすれば良かった。ペンギンなことに戸惑うばかりで……独り立ちした兄姉たちは今頃どうなされているのだろう。

 うん、頑張って巣に戻らねば。

 そんな決意しながら、ぺったらぺったらと、とうとう荷馬車にたどり着いた。


 パサパサ……パサ……。


「えっと……」

 その音は荷馬車の檻のなかだった。

 そんな予感は近づくたびにしていたのだけど。


 自分の他にも捕まっているモンスターがいる。


「あのー……」

 荷馬車に向かって小さく声をかけた。荷馬車には檻がいくつか乗っていたが、生き物の気配がするのは3つだろうか。他は、考えたくはないが、素材として…その、剥ぎ取り用のが……うう……。

 そう思うとまだ生きてるのがいるなら助けたいし、私も助けて欲しい。

 そうだ、助けが欲しい。今は藁にもすがるところだ。

 声をかけると、羽音がびっくりしたように止まった。

「あの、言葉わかりますかー……?」

 懸念がひとつ。

 はたして言葉が通じるだろうか?

 そういえば先ほど人間たちの声は理解することができた。そのことに今気がついた。

「あ、そういえば人間の言葉……?」

 でも私は母上さまや兄上さまたちとも同じように話をしていたのだけど……。

 ……ふむ?

 まあ、あとで考えよう。今はそれどころではないからね。

 言葉が通じるなら狩人たちとも会話をしたら、と少し思わなくもないが……でもな。私にとって彼らは誘拐犯だからな。

 生き餌から見世物にジョブチェンジな気配がするのね。

「あの――」

 だからもう一度、檻の方に話しかけた。

 すると何かが身動ぎする気配が――。


「……尊き小さな方よ」


 お返事来ました!

 しかも言葉わかります! やった!

 え、でも何かすごい事を言われたな?


「尊き小さな方よ。どうかお逃げなさい」


 間違いじゃなかった。

 尊き……?


「お小さい方よ。我らにかまわず、人間たちが気がつかないうちに」


 それははじめ聞こえた檻の隣からも言われたから。しかも逃げなさいと……心配された。

 お小さいには納得だからおいといて。

「あの、もっと近づいても大丈夫ですか?」

「……どうぞ」

 もうカンとか本能的なレベルだけど、声からは敵がい心は感じない。近づいてもいきなり檻の隙間から攻撃されたりとかはなさそう。

 私は決意して檻に近づいた。もっとも檻は荷馬車の上だから私にはかなりまだ遠い。何せお小さい方ですから。

 近づけば、檻の中のひとたちもこちらによって来てくれた。ひと、と呼んでしまうのは自分がモンスター寄りだから。

 そして岩壁の隙間の、月明かりの中で彼らに出会った。


「わんこ……そしてお猿さん?」


 つぶやくように、思わず口から出たのだが、彼らは苦笑したような気配のあと教えてくれた。

 自己紹介だ。


「ハウンドウルフ」

「一角猩々です」


 おぅ、犬と猿では月とスッポンなのだろう。きっと失礼なことを言ってしまったのかも。

 私もドラゴンではなくペンギンと言われたら……別に事実だし、かまわないか。


 ハウンドウルフさんは黒が混じった灰色の毛並みの狼さんだった。一角猩々さんはまだ小猿なようだが、淡い橙色の毛に名前のように額に小さな白い角ひとつ。

 さすがドラゴン(自分もそのはず)がいる世界。地球にはいない生き物だ。


 ならばさっきの羽音は?


 見あげれば、最後の檻の奥から月明かりが届くところまでそのひとも来てくれた。

「え、人間……?」

 ひと――人と、いう意味で使うことになるかと思った。

 でもすぐに違うとわかった。

 なぜならそのひとの胸元からは柔らかな白い羽毛に覆われていたから。羽毛は柔らかな女性的な身体の線を描きながら、足にたどり着くと猛禽を思わせるがっしりとした爪へとなっていた。

 そしてその両手にある部分は翼。

 私が望んでやまない、大きな翼。


「ハーピーでございます、尊き雛の方」


 鳥だ。

 ハーピーだ。

 お小さい方から雛になった。さすが鳥のモンスターさんは私がペンギンの雛形態だとわかったのかしら?


 生きてるひとが入っていた3つの檻。

 そこにはハウンドウルフさんと一角猩々さんと、そしてハーピーさんが捕らえられていた。


 いや、これ……――。

 犬猿、そして……雉?


 ……桃太郎? きびだんごないないよ……?

 


モン○ン、予約すべきか迷ってます。ゲームする時間あるかなぁ…

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