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第24話 荒れ地を緑に。



 ひっそり自分がもふもふ枠なんではと悩みつつ。

 しかもお役に立たない、かわいいだけのもふもふ枠ですわ。

「けっきょく、私て何なんだろう……」

 生まれ変わってから、そればかり問いかけている気がするなぁ。


「儀式ってどんな感じなのですか?」

 さて。

 どうやら物語に出遅れたもふもふ枠ではあるのは、もはや如何ともし難いわけで。悩んでいても仕方あるまい。

 ぶっちゃけ、お荷物の上で揺られるだけのさらなるお荷物な今現実。出遅れたのを挽回せねばならぬだろうかとも考える。

 まずは、もう少しヒロインさんの状況などを教わっておくべきでしょう。そのうち、自分の役割も御守り以外に見つかるかもしれない。


「儀式は……そうね、まずは祭壇でお祈りをするの。祈りの言葉に順序があるわ」

 ふむふむ。オーソドックス。

 かつての故郷の祭り囃子みたいなものとは違うのかな。


 そこでお話を聞いて、宗教的な違いも理解。

 世界が変われば常識だって違う。

 だからエリナさんもお国の端に追放だったのね。

 物語ではよく修道院行きなどがあるけどさ、エリナさんのお国にはそうしたもの存在しない。まぁ、もともと修道院は修行はあるだろけど、矯正施設ではないから納得ね。

 ……何だかテンプレから外れまくってるな、遅刻したもふもふ枠といい。

 だってそれにエリナさんの向かう場所が、神殿。うん、神様の奉り方も、宗教によって違いますわな。

 この国は自然崇拝に近いらしい。

 何でも数百年前はこの辺りは荒れ地で、神に祈り、緑を増やして頂いたと。

「え、人間が頑張って植林したわけじゃなく?」

「ええ。一夜にして森や緑を、人間が豊かに住める土地にしてくださったの」

「ぺぇ~……」

 すごいなぁ。

 ドラゴンがいる世界だから、そんな不思議も本当かもしれない。

 確かに空から砂漠が見えたし、はじめにいたところもそんな境な岩棚でした。話では昔はもっと砂漠は広くて、この辺りもそうだったとか。

「私が祈りに行くのは、そのこと。国の実り……あと森のことについてね」

「なるほど……実りは神様のおかげなんですね」

 私は日本育ちだった記憶あるからわかりやすかった。

 とくに五穀豊穣はね。食べ物作ってるのは人間でも、実りを神様に――自然に感謝ですね。

 自然に人間は勝てないものだから。農家産まれ、うなずくしかないです。

「……私の産まれは女神を国教にしていたよ」

 と、ロザリーさんがぽつりと教えてくれた。私が考える修道院ぽいのもあったと。

「まぁ、何年も帰っていないし」

 だから宗教的な違いもあまり気にはしてなく、エリナさんの護衛も問題ない、と。

「それに国が違えば文化や常識が違うのは当たり前だからな」

 ロザリーさんは冒険者として、すでにあちこちの国を渡り歩いたとしみじみしてる。でもその感覚て大事よね。

 ロザリーさんもやはりソロで冒険者しているからには、何かわけありっぽいなと……私はまたうっすらと感じつつ。


 ちなみに私は宗教にこだわらない典型的な日本人感覚が未だに。クリスマスにはケーキを食べ、盆暮れには休みを満喫し、歴史オタとしてあちこちの寺社仏閣に訪れ御朱印帳と、数年前から御城印も……――ああ、あれ、どうなったなぁ……。

 姉さんたちに部屋の後片付けさせてしまっているのかな……とほん。

 ……漫画の蔵書量と、ゲームのソフトはともかく、ハードの量にもドン引きされてないといいけど……。



 話はエリナさんの儀式についてにもどる。

 エリナさんは右手の人差し指に赤い石が付いた古い指輪をしていた。

 それは燻されたように鈍い輝きに歴史が乗った、なかなかの骨董品。

「古いし石も小さいから、義妹に取られなかったの」

 それはお祖母さまから引き継いだ、形見でもあるというお話し。

 大事なものなんだな。

「森の守人に受け継がれてきたものらしいわ」

 王族が儀式をするなら、その儀式場を整えるのと、儀式の進行をするのが守人の役割だとか。

「でも、守人が減って……私が最後ね……」

 ……うん。哀しいね。

 そうして文化や歴史が失われていくものは、ところ変わっても哀しいね。


あと、天使と悪魔や、神や妖精を合体させたりするゲームなんかもやっていますね、ペンギンの前。

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