表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれ変わったら飛べない鳥でした。~ドラゴンのはずなのに~  作者: イチイ アキラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/88

第13話 落下――新たな出会い。



 ――落ちる。


「ピィイッ!?」

 ハーピーさんが混乱してバタバタとやたらと羽ばたいている。


「ハーピーさんは逃げてぇ!」


 私が叫べたのは奇跡に近いよ。

 ハーピーさんはやっと自由になったんだ。お姉さんたちのところに帰りたいと言っていたばかり。

 また捕まったりしたら……。

 私は重力に逆らえず落ちていく。もちろんあがいたともさ。


「ぺぺぺ――っ!」


 一生懸命、羽ばたいた。

 このピンチに私のドラゴンとしての能力が開花しないか。主人公はピンチを得て、真の姿に――そんな甘い設定などは私にはなく。


「受け身!」


 もう思考を飛翔から着地に切り替えていた。ハッとしたのはその瞬間。


「ペンギンの身体で受け身てどうとればいいのさー!?」


 それは真のペンギンにもわかるまい。


 ――そして私は地面に激突した。


 超有名な超戦士の如きクレーターを作って……。






 ――不思議だ。生きている。けがもしてないようだ……。

 ――……ほうっておいた方が良いのではないでしょうか……。

 ――ですが、この者が落ちてきて奴らは引きました。

 ――鳥? に、つかまっていましたね。餌として巣に運ばれるところだったのでしょう。

 ――やはり捨て置けませぬ。安全なところまで世話してやりましょう。

 ――……ロザリー様がそうおっしゃるなら……私は触れませんわ。

 ――ええ。しかし、魔物の子供ならば、目が覚めれば自分から逃げましょう。



 夢かな。近くで声がする。

 夢――起きなきゃ。

 ハーピーさんはちゃんと逃げたかな。

 なんかまた餌に立場が戻った気がする……。

 いや、目が覚めたら夢だったてことはないかな。まだまだここは兄上さまたちの残り殻がある巣で……――。


 そんな現実逃避しながら目を開ければ、うっすらとした視界に入ってきたのは赤い糸の束……いや、髪?

 きれいな赤い髪。


「お、気がついたか? 大丈夫か?」

 私が目を開けたことに人間も気がついたか。

 そこにいた人間は、赤い髪と白に近い金色の髪の女性たちだった。

 ――あ、日本人じゃない。

 そんなことをまだぼやけるあたまで考えていた。どうも生前の記憶が強すぎるな、私は。

 赤い髪の女性は生前の私より少し若いくらいだろうか。私の日本人な目線からは外国の女性の年齢は難しい。

 外国からみたら東洋人は若く見えるというやつがあるけど、私は西洋人の年齢もよくわからなかったんだよね。

 たまにものすごい年齢不詳美魔女もいたりするし、その逆に高校生くらいかと思ったら小学生でしたな子もいるし。

 まぁ、それはお国問わずか。

 だからぼんやりと赤い髪の女性が二十歳半ばで、白っぽい金色の女性が十代半ばくらいかな、なんて考えた。女性というより少女と表した方がいいか。


 私はその赤い髪の女性に抱えるように持たれていた。

 荷物の用に担がれてはなかったよ。

 優しいな、この人。

 その持ち方と、雰囲気。私に向ける眼差しから。

 この人は狩人じゃないと、私の危機感が言っている。

 ……だから。


「……あ、はい。お世話かけます。ありがとう」


 私はかけられた声に応えて、お礼を言った。


「……。」

「……。」


 それからしばし。

 私は二人があんぐりとお口、そしてお目々をまん丸にしていることに首を傾げた。


 ややあって、二人はわなわなと唇を震わせて――


「「しゃべったァ!?」」


 と、驚きなさった。

 あれ、もしかしたら……この世界、我らモンスターと人間て会話しない?




さあ、ペンギンの旅が始まります。

ハーピーさんのひっそり必死な、ドラゴン求めてひとり旅も始まりつつ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] や…… 無茶しやがって…… 嗚呼、雉さんとまで離れ離れに
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ