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第1話 生まれ変わったら飛べない鳥でした。
よしなに。
序章
この、おおぞらに~……と。
心の中で歌う。
熱唱した。
つばさがほしい。
いや、ガチで。
「……ペン」
思わず口からでる鳴き声。
いや――泣き声。
「どうしたの、ジュヌヴィエーヴ」
「……何でもありません、母上さま」
「そう?」
ああ、優しい母。
だがしかし、私の心は「何故? WHY?」でいっぱいだった。
母は青空に大きく翼をひろげる。そして今日のお役目に飛び立っていった。
鱗が陽光に反射してまばゆく、なんて美しいんだろう。大きな翼も、尻尾も、なんて――なんて立派なドラゴンなんだ。
その姿を見送り、ため息をついてしまう。
何故ならば――
「飛べない鳥は、ただのペンギンだった……」
生まれ変わったら飛べない鳥でした。




