02. 不便な出会い - 2
しばらくして私はこの仕事に対する不満を解消するためにカフェに到着した。 携帯電話はなかったが、パソコンでSNSのやりとりができ、レミサークル3年生代表の水原先輩との先約を持つことができた。 正午過ぎ、水原先輩はカフェの中に入ってきて私に手を振ってくれた。 それ以来、私を近くで見るや否や、ニッコリと笑い出した。
『今日のファッションは何? 隠しすぎじゃない?』
確かにそうだった。 今、私は黒い野球キャップと黒い綿マスク、そして黒い長袖コートとジーンズで全身を隠した状態だった。 水原先輩の反応は、毅然としていたが、昨日の仕事のせいか、なんとなくいらいらしていた。 水原先輩は私の向かい側に座って職員に注文を要請した。 結んでいた黒い革のハンドバッグを椅子の横にかけておき、職員と短く話を交わした後、私の方へ視線を向けた。
『SNSは確認した。 いったい何があったんだ?』
『私が全身を覆ってきた原因がそこにあります。』
半分、空っぽのカプチーノマグカップの後ろに、水原先輩は、私に視線を向けられず、眉をひそめた。
『それではS&Mについての情報を手に入れたのか。』
『大体はですね。まずリーダーが隣の偶光中学校で副会長を務めている女子学生という情報を得ました。 しかし、他校の生徒まで一緒に流入しているかは正確に確認できませんでした。』
『それなら、仙君はどう?』
『私もよく分かりません。 そのまま距離を置きながらついて行って 私が後ろに回る度にいつの間にか消えてて…』
舞台で藤井に劣らず元気な姿を見せていた高橋が、S&Mのためにこんなにストレスを受けるとは誰も思わなかっただろう。 一方、藤井はS&Mに対し、あまり気にしていない様子だった。 いつもにこにこしているだけで、なかなか不満を表そうとしなかったからだ。 藤井のことが気になるはず、水原先輩はちょうど藤井の方に視線を向けた状態だった。
『みろ君はどう? 追いかけてきたりするの?』
『私もいることはあります。 紫色の腕章をはめてあちこち歩き回る学生たちでしょう? 私はあまり気にしなくてよくわかりません。』
『高橋とはまったく違うケースだ。』
『心配する必要はありません。私の前ではただ憧れるファンなので、やたらに扱うことはないはずだが…。』
今いった言葉から、ぼくは藤井の心の見当がついた。 だから高橋の見せる行動がもっと切なく感じられた。 自分の立場もあまり良くなかったが。
『さっき話せなかったのですが、襲撃に遭い、携帯電話もなくしてしまいました。』
『え?まさかS&Mに奪われたの?』
『わかりません。昨日来た道を見回って交番にも行って来ましたが、結局見つかりませんでした」 それでただ来ました。』
すると藤井は、私に笑顔を見せながら驚嘆していた。
『常岡先輩、ずいぶん大雑把じゃないですか』
と言い、私はマスクとキャップをはずして、水原先輩に素顔を見せた。 1日経ったにもかかわらず、部分的に跡が残り、唇の間の周辺と額の真ん中が黒く日焼けした状態だった。 水原先輩の固い表情に私は横髪をかきながらため息をついた。
『えっ, どこか殴られたりしたの?』
『紫の腕章をした子たちにやられたんです。』
『まさかS&Mのこと?』
『はい。そこで、この場に何人か招待します。』
ちょうど、高橋と藤井がカフェの中に入ってきて、周りをうろうろした。 私は手を振って二人の関心を引いた。 水原先輩が後ろを向くやいなや、二人はこちらに近づいてきた。
『せん君とみろ君までどうしたんだい。』
『常岡先輩から言いたかったことがあると聞いて来ました。』
『S&Mに関する話だと聞いて、気になった点もあります。』
高橋と藤井はそれぞれ出て水原先輩の隣に陣取った。 と語る前に、私は高橋のほうをちらりと見た。
『今日もあった?』
『うん。二人くらい。』
『本当に根も葉もない小娘たちだね。』
その瞬間、藤井がきゃっきゃっと笑いながら私の顔を指した。
『先輩、顔はどうしたんですか。』
『これ?S&Mにやられたんだ。』
『あ…』
藤井の笑いが静まるうちに、私は、前のアイスティーのグラスから映った自分の顔を眺めた。
『S&Mの一人を相手に情報を得ようと意地悪したんだ。 それをS&Mの小娘たちが見たのか、 一度に入ってきて僕を無慈悲に攻撃したんだ。 足もむいたら全部傷だらけだ。』
ジーンズの右側を歩くとすぐに,ひざとすねの傷が私の一番痛くなったのはジーンズの右端だった。これを見た一同はその状況を間接的に実感したらしく深刻な印象を見せた。 だいたい片付いた後、私はジーンズを下ろしてマスクと野球キャップで傷口を隠した。 これを見ていた高橋は、衝撃に包まれたまま、少しずつ身震いした。
『どうしてこんなことになったの? 部員まで傷つけたくなかったのに。』
『大丈夫。あいつらが変なんであって、趣旨が悪いわけじゃないから。』
半分空っぽのカプチーノマグカップの後ろに、水原先輩は、私に視線を向けられず、眉をひそめた。
『それではS&Mについての情報を手に入れたの。』
『大体はですね。まずリーダーが横の偶光中学校で副会長を務めている女子学生だという情報を得ました。 しかし、他校の生徒まで一緒に流入しているかは正確に確認できませんです。』
『それならせん君はどう?』
『私もよく分かりません。 そのまま距離を置きながらついて行って 私が後ろに回る度にいつの間にか消えてて、それで…』
舞台で藤井に劣らず元気な姿を見せていた高橋が、S&Mのためにこんなにストレスを受けるとは誰も思わなかっただろう。 一方、藤井はS&Mに対し、あまり気にしていない様子だった。 いつもにこにこしているだけで、なかなか不満を表そうとしなかったからだ。 藤井のことが気になるはず、水原先輩はちょうど藤井の方に視線を向けた状態だった。
『みろ君はどう? 追いかけてきたりするの?』
『私もいることはあります。 紫色の腕章をはめてあちこち歩き回る学生たちでしょう? 僕はあまり気にしなくてよくわかりません。』
『高橋とはまったく違うケースだね。』
『心配する必要はありません。 僕の前ではただ憧れるファンなので、 むやみに扱うことはしないと思いますが。』
今いった言葉から、私は藤井の心の見当がついた。 だから高橋の見せる行動がもっと切なく感じられた。 自分の立場もあまり良くなかったが。
『さっき話せなかったのですが、襲撃に遭い、携帯電話もなくしてしまいました。』
『え?まさかS&Mに奪われたの?』
『わかりません。昨日来た道を見回って交番にも行って来ましたが、結局見つかりませんでした それでただ来ました。』
それに藤井は、私に微笑みを見せながら驚嘆した。
『常岡先輩、ずいぶん大雑把じゃないですか。』
『おぉ!先輩かっこいいです! 服もクールな感じがします。』
藤井は両指で内側に四角のアングルを取って状況を楽しんでいるようだった。 私は、藤井の容貌を毅然と受けとめて、軽く頷いた。 短い会話を終えた後, 私はカフェを出て高橋と足をそろえて行った。 タカハシのマンション正門通りと私たちのマンションに近いおかげで可能だった。 この状況がかなり好きだった。 タカハシを追い回す小娘たちと昨日私が少しでも見た小娘たちの姿も例えて見ることができる良い機会だったからだ。 わたしは高橋にいろいろ話しかけながらあたりを喚起していった。
『昨年もこんなことがあったのか。』
『いや、去年はいろんな学校の生徒が楽しく見に来る娯楽館みたいな感じだった。 それでレミー部員たちが行事準備に多くの時間を割いていたの。』
『そうか。私はあの時勉強ばかり昼夜を問わずしていたのに。』
『私もきみが勉強家だと思っていた。 それでレミに来るとは夢にも思わなかった。』
『勉強ばかりだからスペックが単調になると言うから。 おかげさまで、楽しく部活してるじゃん。』
『そうだけど…!』
その瞬間、高橋は身をすくめて目を細めた。 私も草木の搖れるような声でおおよそどんな状況になるかも予測する事ができた。
『紫の腕章?』
『うん、そうだと思う。』
『それでは私が後ろに立っているよ。 対話を交わすことにだけ集中してみよう。』
『わかった。』
高橋の後ろに立つ瞬間、人影はさらに大きく鮮やかに感じられた。 緻密なほど規則的な動きと周りの移動。 そして、紫色の腕章は、これ見よがしに隠そうとしなかった。 私はできるだけ振り返らずに高橋の現状を直接感じようとした。 前は、周りの視線で蔓延しているようで、紫色の腕章をつけた女たちは見当たらなかった。 高橋がある程度落ち着きを取り戻してきたころ,僕は話題を考え出した。
『そういえば、今回のお祭りの時、フジと一緒に午後のレクリエーションの司会を務めることになったよね?』
『うん。それも考えてみたら1ヶ月しか残ってないね。』
『去年のその頃には勉強ばかりして、お祭りもまともに見なかった記憶がある。 聞いたところによると、あの時も司会をしていたって…』
『そう。自陣だったのもあるけど、レミ先輩たちがちょっと押してくれたのもあった。 あの時はまだ1年生だったので未熟な点が多くて個人的に残念だった。 結局、先輩たちがリードするまま、ちょこちょこついて回るのに忙しかった。』
『でも今回は、舞台センスを増やしながら成長したじゃないか。 この前とは確かに違うんじゃない?』
それに高橋は首を振った後、空を見上げた。
『まだもっと練習しなければならない。 そうしてこそ、多くの人々が見る舞台に溶け込むことができるからだ。』
しばらくして、高橋は笑顔を見せると、マンションの正門前で短くあたりを回った。 私はその時やっと安心し、少しは緊張を解す事ができた。 もしやと思って振り向くと、紫色の腕章をつけていた女たちは、瞬く間に消えてしまった後だった。 わたしが野球の帽子のつばをつかみながら身だしなみを整えているうちに、高橋はわたしに近づいて目を合わせた。
『なんだよ?』
『まあ、きみはどうして舞台担当に選ばなかったのかと思って。』
『とんでもないよ。2年生の時に新入生として入った初心者にはそれはとても手に負えない。 それに、私はこの担当が適性に合っていると思う。』
『そう? やってみれば大丈夫だと思うよ。』
『今自分の心配することじゃないか。 また小娘たち暴れる前に家に入ろう。』
しまいまで疑った私は高橋がマンションの家に入るところまでついて行って、それからお別れの挨拶をした。 マンション団地を出た後、周辺を見回したが、さっきから全く見当たらなかった紫色の腕章。 嫌気がさしたのならいいが、私が高橋と一緒にいたからだろうと推測した。
すでに苦い経験をした私にとってくそ小娘たちはまだ恐怖の存在として刻まれていた。 正門からマンションのセキュリティガラスを通るその瞬間まで、私は警戒態勢を保ちながら眉をひそめた。
「ふぅ、ないね」
エレベーターを経て家に入った瞬間、姉が玄関の前を守っていた。 隣には空色のプラスチックの外観に、赤色の十字架が中央に大きく刻まれた救急箱のキットが半分ほど開いていた。
『けがはないか。 お姉さんがやってあげるよ。』
姉は両手に包帯と軟膏を持ったまま手がぶるぶる震えた。 実におかしくてありがたい姿だった。
『もう大丈夫だ。 自国は、学校に行く時は 全部なくなるから。 箱を片付けるのを手伝ってあげる。』
『私がやる!公延は部屋で休んでる。』
『それじゃ、先に入ってみるよ。』
『必ず部屋にいる!分かった?』
『分かりました。』
姉の手厚いもてなしに私は身の置き所もないまま、急ぎ足で部屋の中へ入った。 その瞬間、部屋の中に煙が立ち込めていた。 私はカーテンを引き,窓を開けて換気した。 昨日、放置しておいたゴミ箱が禍根だったようだ。 行き交う春風にわたしはマスクを脱いで机の上にほうり投げておいた。 そのように向かい風に当たりながら呼吸を整えていたところ。
「あれ?」
私はあわてて身をかがめ,背筋を伸ばして目だけを出したまま窓越しに眺めた。 紫色の腕章をつけた小娘の一人が、マンションの裏門の向かい側の街灯の後ろから身を隠していたからだ。
お読み頂きましてありがとうございます。
LAST CARD - https://blog.naver.com/vikoss456/222270228281




