バッドエンドは変わるのか
完成度低いです。推敲して再投稿するかもしれません。
人に深く愛されたものは神が宿る。そんな話を聞いたことは無いだろうか?ここにあるのはかの名作、シェイクスピア著の『ロミオとジュリエット』。
この本はとある貴族の家で発見されたものなのですが、代々読み聞かせ、読書に使われ、修繕まで行われて保管されていたものだそうです。家に住んでいた人々、訪れた人々に愛されたこの本はなんと、登場人物に自我が芽生えたらしい。
その中身を少し覗いてみましょう。
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――side.J
「はぁ…」
私は溜息をつく。この後の展開は予想できているのだ。ロミオとは一生結ばれることは無い。私は死ぬ。いつからだろう。この展開を繰り返していることに気付いたのは。ここから飛び出してしまいたい。そう思ったことは数知れず。だがそれは許されない。
それはこの話に存在しない未来だ。
私はここでロミオの死を聞かなくてはならない。何回も何回も。それが私に課せられた役なのだから。
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――side.R
「はぁ…」
俺は溜息をつく。この後の未来を憂いてだ。ジュリエットが死んでしまう。何回繰り返してもジュリエットは死んでしまうのだ。じゃあ今すぐここを飛び出して彼女の元に向かえばいいって思うだろう。彼女が死んだという知らせが届く前に。だがそれは出来ない。許されない行為だ。
それはこの話に存在しない未来だから。
俺はここでジュリエットの死を聞かなくてはならない。何回も何回も。それが俺に課せられた役なのだから。
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そう、彼らは会いたくても会えないのですよ。何ででしょうね。きっと薄々気付いているんでしょう、これが話の中だっていうことを。自分たちは悲劇の死を遂げるのが役目であるということが。
会えばこの話を壊してしまう。自分の役を全うしなければ、どうなってしまうか分からない。神は彼らに自我を芽生えさせるというなんとも酷なことをしましたね。
これからも、彼らはハッピーエンドを迎えることはないのでしょう。この本を開く人が居る限り、何度でもこの結末を繰り返すんです。
あなたもそう思いますか?先ほど私は酷といいましたが、それは一般的な感覚であって、こうも思うのですよ。
「役を演じきることが出来る彼らは幸せ」だってね。
さぁ、いつか2人は結ばれることがあるのでしょうか?この本は違う結末を教えてくれるのでしょうか?