表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/13

ざまぁ(いじめ編)

 さて、殺人未遂の濡れ衣を晴らしたところで、次は…


「確か彼女だったな。7月ごろにわざとぶつかってきたのは」

「は?なぜわざとだと」

「気配くらい分かるだろう。曲がり角の手前でじっとしていて、近づいたら勢いよく飛び出してきて、このままぶつかったら倒れてけがをすると思ったから、受け止めて気を付けるよう言ったが」


「そういえばディアーナお姉様にぶつかってきたの、こんな髪の方でしたわね」 と周囲のファンのお嬢様方。


「まあ、他のお嬢さん方でそんな子もいるから、気にしてなかったが、それにしては勢いがあったのでな。まさかとはおもうが、突き飛ばした、だのとはそれか?」


「で、罵られた、ということですが…、私が直接お話ししたのは一回ですわね。『婚約者の決まっている異性の方と親しくするのは軽々しく見られましてよ、お止めなさい』と」

「そうだ、それで彼女は悲しんで!」

「軽々しく見られるということは、遊び相手を探している遊ばれてもいい相手、と思われますけど、それでよろしいの? 知らずにやっているのなら、そういうことと教えてはあげるべきですわよ。

 誰もが婚約者と別れてまで一緒になろうとするとは限りませんのよ? 愛人、遊び相手志願と周囲に思われてもよろしいの?」

「……」 よろしくないんですわね…。


「私も一度だけですわね。ハティだけではなく他のお二方とも同じようなさっているので、付き合うにしても3人同時には付き合えませんし、いったい何がしたいのか、誰か本命がいるのかお聞きしただけですわ。

『貴女はいったい何をなさっておいでですの?3人を手玉に取るようなことをなさって。誰かとお付き合いなさりたいのならそうおっしゃってくださいな。こちらにも考えがありますので』と」


「それは脅しでは!」

「まあ、どこがですの? きちんと婚約を破棄するのなら、その手順や賠償など考えなくてはなりませんわよね?

 それ以前に結局本命は誰ですの。ドレスをプレゼントされた殿下ですの? ではあなたがなさってる婚約破棄はなんなのですの?」

「うるさい、とにかくおまえとはもうやっていけない!」


「そうですの。まあそれはよろしいですわ。

 あとは何でしたか。物がなくなったとかおっしゃってましたけど…、お聞きしてもよろしくて?」

「なにをだ!」

「物がなくなったのが、他者の悪意によるものであり、その他者が私たち、というのはどう証明されておりますの?」

「は、それはお前たちのせいだと彼女が…」

「ですからその内容を詳しく、と」

「……」


(はあ、やれやれ。今度は私のターンですわね。お姉様、打ち合わせ通りに)

「ふふ、アリス嬢って可愛らしい方ですね。聞いた話によると、殿下との出会いは荷物を目の前にばらまき、ルディーさんにはぶつかって、ハティには教科書を拾ってもらったとか。注意力も可愛らしい方ですわね。」

 ええ、ほんとうはそうではないのでしょうけど…、殿下達の気を引くためによくやっておりますからね。そしてそれを、殿下達にまとわりついているせいでよく目撃されておりますし。


「それの何が悪い!」

「それを許す方の前では結構ですけど…、許されない相手や場面もありましてよ。

 他国の要人にそのようなことをなされば、無礼侮辱ということで補償を求められましょうし、身分の高い許さない相手であればどのような罰を受けるかもわかりませんのに。

 本来ならそうなるであろう殿下方の前ですらそうですもの。そこまで身分の高くない同性の前では、もっとひどいのでしょうね」

「だったらなんだと言う!」


「ふふ、私ならまず彼女自身による紛失や破損を疑いますわ。そうでないというのならそれをまず証明してくださいませ。なくなったのは何でしたか?」

「たしかマナーの教科書が…歴史のもか」

「それはいつですの? で、どうなさいましたの?」

「確か10月の1週と3週の授業の後か。泣きながら無いと困ると言っていたから、新しいのをすぐに」

「贈ったんですわね…」


「マナーの? それはひょっとしますと…」

「ん? 教授、どうかしたのか?」

「いえ、水曜に2回の授業が終わって準備室におりますと、掃除人が誰のか分からないが落ちていたと教科書を届けてきたことがありまして。

 次の週の授業で、教科書があるか聞いてみても、みんな持っていまして不思議には思っていたんですよ」

「いわれてみれば私も、それくらいの時期でしたかね。こちらは届けてきたのは生徒でしたが、結局持ち主が出てこなくて…」


 あらあら、アリス嬢どうなさったの?びっくりした顔なさって。そうですわね。プレゼントされた後、古い教科書は焼却炉で燃やしたはずですものね。

 ふふ、お姉様さすがですわ。やりそうなことを先読みして、作っておいたレプリカを彼女が殿下に泣き付いたら即座に落し物として届けさせるなんて。


 周りの方々、今の話を聞いて遠巻きになってますわ。そうですわよね。被害妄想が激しく、妄想を元に権力者に泣き付く方などお近づきにはなりたくありませんものね。


「あとは確かイニシャルの入ったピンク色の特注の万年筆を…」

「あ、そんな感じの、植え込みの陰にあったの、落とし物として届けましたけど…、え?そんなに大事なものだったのに探してなかったんですか? ずっとケースで陳列されてましたけど」


 ええ、これは転んだふりをした近くの植え込みで拾われましたのよ。そのはずみで荷物を落としたのも何人も見ておりますわ。

 教科書といい、どうして探してないんでしょうね?

 ふふ、みなさん、うっかりさんかと見ておりましたのが、疑いのまなざしで見初めておりますわ。


「では、トパーズの指輪は?彼女の母親の形見だという」

「それはこれかな?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ