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サクラアイス  作者: 黒崎 そらこ
1/1

聞こえない

プロローグ


「ピアノの音がわからない。」


眩しいくらいのライトに照らされて、黒い大きな物体と向かい合っているときだった。

天才ピアニストと呼ばれた青年は愕然としていた。

どんなに黒い大きな物体に自らの指を走らせても

青年の耳には一音も入ってこなかった。

叩きつけるように、身体を黒い大きな物体にのめり込ませるように、音を求めて指を走らせ続けた。

やがて、その手をぴたりと止めた。

「もう僕には音を拾うことができない。」

青年は、誰にも聞こえない声でぼそりと言った。

演奏をやめた演奏家に視線が集まり、しばらくの沈黙の後

会場内は騒めきに包まれた。

震えが止まらない指。

ピアノの音が拾えない耳。

会場内の空気を気にしてしまう心。


絶望。


それが青年の頭の中を駆け巡った。

青年は立ち上がり、そのまま舞台袖にのろのろと出て行ったのであった。

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