I love...【後編】
とりあえず、大好きな人が自分からはなれてしまうストーリーです。
私は木下ユカ。普通の高校生。いや、一つだけ普通とは違うかもしれない。
同性の先生、鈴木エリカ先生に恋している。
告白をして、なんと卒業後につきあえるという最高の返事がもらえた。
心の中は「早く卒業したい」それだけ。
そしてそんな私のいつもの一日もまた終わろうとしていた。
今日は3月18日。明日は終業式。
また一歩、先生に近づける
はずだった。
先生が今年離任する先生を淡々と読み上げる。
興味なんてなかった。
私にとっての先生はエリカ先生だけだもの。
その最後に、先生の名前が聞こえるまでは。
嘘でしょ?
私のこと待ってるって、いったじゃないですか。
なのに。
「先生!」足早に歩く先生を追う。
「答えてください!」答えてくれなきゃ、納得できない
「木下さん。」
エリカ先生がやっと口を開いた。
「ごめんね」
言葉が、出なかった。聞きたくなかった言葉。
...私に謝らないで。
私から去らないで。
壊れてしまう。私が。
ごく普通だった毎日に彩りを与えてくれた先生が私の前からいなくなる。
私の毎日がまたモノクロに戻ってしまうのが怖い。
でも私は気づいてしまった。
...私は先生にしてほしいことしかない。
なんで?先生にしてあげられることは?
先生のこと好きとかいって、本当は何もわかってないじゃん。
こんなの。こんなのないよ。
終業式の日。
非情にもその現実はかわることはなかった。
そのまま私はかえる。
それでいいの?
いやだ。
でも、怖い。
先生の口からはっきりと別れが告げられることが。
まだ桜が咲かない生暖かい教室で一人、私はたちつくしていた。
そんな教室にふと誰かの声が響いた。
「木下さん。」
声の主は一瞬でわかった。
私が今一番会いたくて、会いたくない相手。
...先生だ。
先生が私の方に歩いてくるー
...なんだかひどく暗い顔をしていた。
再び先生は口を開いた。
「私ね、病気なんだ」
...え?
心臓が、止まった。先生が、病気?
わからなかった。気づけなかった。
ずっと先生を見ていたのに、何も知ることができなかった。
私は無言のまま立ち尽くす。
「お医者さんからも、もうだめっていわれたの。悲しいけど、私、教師を辞めなきゃ。」涙声で先生はいう。
病気なんて。
胸が張り裂けそうな思いになる。
「ごめんね、急に」
...謝らないで。
先生は何も悪くないから。
先生は私のそばにいてくれた。
なのに私は先生に何もしてあげてないじゃないか。
今私が先生にかけるべき言葉は?
今私が先生にするべきことは?
...そんなの、決まってるでしょう?
ここに私がいて、先生がいる。
それが答えだ。
私は先生を抱きしめていた。
先生の温もり、におい、すべてを感じておくために。
私の温もり、におい、すべてを感じてもらうために。
私の肩に先生が顔をうずめる。
先生は泣いていた。私の腕の中で。
そんな先生がなんだかかわいく思えて、もっと強く抱きしめた。
「先生、一年間、そばにいてくれて、ありがとうございました。
大好きです」
まだ少し冷え込んだ春の教室に、優しく、優しく、私の言葉が響いていた。
私自身最近こういう出来事があったのでかいてみました