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01.理念

クリスマス。

それは独り身の男、或いは女、はたまたそれ以外のセクシュアリティの人々にとってはとても辛い季節の到来である。

街はカップルが醸し出す恋愛の雰囲気によって胸がムカつくほど気持ち悪い。

いつからクリスマスは、カップルに在らずは人に在らず。というようなイベントに成り下がってしまったのだろうか?

サンタやトナカイの存在感は隅っこに追いやられ、クリスマスの一つの風物詩という程度の置物にされてしまっている。主役は本来こちらだというのにだ。

街は煌びやかな電飾で装飾され、まるでそれが綺麗であると言わんばかりに(実際見た目には華やかなのだが)カップルが集う。

誘蛾灯に誘われた蛾のようにわらわらと、何処からこれほどのカップルが這い出て来たのだろうと驚愕するほどに。

腕を組み、肩を寄せ合い、白い吐息が相手に掛かるくらい密着した距離を獲得したいが為の口実であることはわかりきっている。お互いそれを望んでいるのだろう。

全くもって恋愛至上主義の嘆かわしい思想に染まりきった連中だ。

一通りイルミネーションや街の催し物を楽しんだ後は、お決まりのパターンで予約したディナーを食べにレストランへ。

そしてディナーを済ませた後にはこれまたお決まりのホテルの予約。綺麗な夜景を見ようとでも言って二人でちょっとお高めのホテルの部屋へと消えていくのだ。

夜に二人でする事と言えば何だ?もう口にする気もなくなるほど決まりきった行為しかしないだろう。


何が聖夜だ、そんなものは爆発してしまえばいいんだ。


夜明けにはつややかな顔をした女と少し元気が無くてやつれた男が一夜城から朝日を浴びて出てくるのだ。

それもひとつやふたつではなく、至る所のホテルからそれらが出てくる。

果たしてその光景を見た雀たちは何を思うだろうね。恥知らずのカップル達には鉄槌を下すべきだ。


…思えばバレンタインデーもそうだ。

本来の意味を忘れ、菓子会社の陰謀によって恋心を抱く女子が男子にチョコレートを渡すなどと言うイベントにいつの間にか意味を変えてしまっている。

僕のような独り身に慣れたものであれば兎も角、まだまだ純粋な青少年であればその日中気持ちが落ち着かず、そわそわして過ごし、一日が終わる前に絶望するのだ。

何故自分には一つもチョコレートが来ないのか。何故いけ好かないあいつには山のようにチョコレートが届くのか。

世の中の理不尽を呪い、自分の運命を呪い、こんな世の中などぶち壊してしまえば良いと悟った時、昏い情念の炎が腹の底から燃え盛るのだ。

そのような独り身の、陰鬱で昏い情念を誰が晴らすのか?


それが我々聖夜撲滅鏖殺団だ。


我らは見境なくいちゃつき絡み合い、あまつさえ公衆の面前で口づけを交わすような破廉恥極まりない連中を憎む。

特に、自分たちの世界を作り周囲の迷惑など知った事ではない、と言った風の面の皮が千枚張りな連中は滅しても足りないくらい溢れている。

一体どのような感覚でそういう行為に至れるのだろう?優越感か?それとも自分たちの幸せを皆に分け与えているつもりか?

お前たちのそういった行動は我々独り身にとっては極めて迷惑だ。

或いはどうでもいい、若しくは目にするのも不快なのでそういった行為は家かホテルでやっていただきたい。


我々はカップルを憎む。我々は恋愛至上主義が正義であるような世の中の風潮を憎む。我々は独り身である者の、捻くれた心を慰めるものである。

我々の活動に興味がある人達は、是非とも我が団に加わっていただきたい。

それこそが唯一の、哀しみを、憎しみを癒す為の手段なのだ。

我々は新しいメンバーの加入を待っている…。

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