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彼と彼女たち  作者:
プロローグ
8/37

中学卒業 2

 そこにいたのは、美少女だった。


 フェンスを背に立つ彼女は、両手を後ろに組み俺を待っていた。

 栗色のロングヘアーが春の風に靡いて、幻想的で思わず見とれてしまう。


 俺は彼女を知らない。


 知らない? いや、どこかで…………


 ただ、俺の疑問は彼女が発した言葉で解消された。


「……急に呼び出してしまいごめんなさい」


 俯き加減に謝る彼女を俺は知っている。しかも、最近まで一緒だった。


「………倉林、さん…?」


 コクンと小さく頷く彼女は、外見は違えどその面影は確かに倉林さんだった。


 彼女は三つ編みを解き、眼鏡を外していた。

 たったそれだけなのに、こうも変わってしまうのか。


「……何故、俺を?」


「あなたをここに呼んだのは、どうしてもあなたに伝えたいことがあって……」


「……え?」




 俯いていた顔をちょっと上げて。

「私…あなたのことが好きです」

 と告げた。



「………」

 俺は言葉を失った。




「……でも」


「え…?」


「まだ、私はあなたに相応しくない……」



「……だから……」




「私は私を捨てます」


 今度は顔を上げて、俺に向かって叫んだ。



「私生まれ変わる! あなたに相応しい人になって、そしてまたあなたに告白します!」



 春の風が俺らを包んだ。

 あの時と一緒……やさしい風。





「……それまで……どうか、待っていてください」



 彼女の顔は、覚悟を決めた、清々しい表情だった。






プロローグ ――完――

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