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彼と彼女たち  作者:
プロローグ
7/37

中学卒業 1

 奇跡の合格発表から何日か経ち、今日、ひよっこどもが旅立つ卒業式を迎える。

 ここ何日かは記憶が曖昧だ。


 それは俺が朝霞合格を決めて、想像を絶する歓喜に巻き込まれたからだ。


 以下、ダイジェスト版をお送りする。

 我が三姉妹の狂喜乱舞の世界だ。



 ――――愛姉ちゃん

『よくやったぁ我が弟よ! わっはははは~‼』

『ね、姉ちゃん! そんな叫ばないで、近所に迷惑だから! それに姉ちゃんのキャラ崩壊してるよ!?』

『めでたいわぁ!お赤飯炊かなきゃ!』

『何故!?』

『できたわぁ!早速ご近所にご報告ね~』

『やめて! 色々誤解されるからそれだけはやめて!』



 ――――栞姉ちゃん

『あきらぁ~ごうがくおめでどぉ~! ひっく…ひっく…お姉ちゃんすんごく心配だったんだからぁ! うぇえ~~ん!』

『栞姉ちゃん!? 何で泣いてるの!? 姉ちゃんもキャラ崩壊してるよ!』

『びぇええん! あぎらぁぁぁ!』

『うわっ!ちょ!抱きつかないで! ぐわ! 胸、当たってる!」


 ――――唯

『お兄ちゃんおめでとう…って! 何で栞お姉ちゃんに抱きついてるの!?ふしだらだよ!』

『ち、違っ! どう見ても抱きつかれてるのは俺だから!』

『むぅ~~‼ 唯だって! 唯だってぇ~~!』

『ばっ!何でお前まで抱きつくの!? や、ちょ、背中に柔らかいの当たってる! やめて! これ以上はやめて!?』


『…あらあら、凄い楽しそうね。私も負けてられないわ!』

『えぇ!? 愛姉ちゃんまで何言ってんの! ていうか何故脱ぐ!? や、や、や、ダメだって! いゃああ! 俺の頭に跨がらないで~~‼』



 以降、まさに酒池肉林状態。カオス。良い子には見せられないぜ。


 そんなこんなで、完全に疲れきって卒業式なんてのは全く頭になかったのだ。


 ゴメンな皆、泣いてるとこ悪いが、全然そんな気分じゃないんだ……



 そう悟りを開いていたとき、最後に歌を唱って卒業式は終わった。

 なんとも感動に欠けてしまった卒業式だった。



 ――――と落ちがついて終わるところだが、今回はまだ終われない。


 俺にはまだ行かなくてはいけない場所がある。


 それは、俺の下駄箱に入れられていた差出人不明の手紙。そこに綺麗な字で『卒業式後、屋上で待っています』と書かれていたからだ。


 誰だかは分からない。あれか、告白ってやつか? 俺みたいな奴を好きになってくれる人もいるんだな。ちょっと、いや、かなり嬉しいが。



 誰もいない廊下を歩き、屋上へ上がる階段を一歩一歩歩いていく。


 そして、屋上の扉を開いた。


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