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色心眼

ユアナ視点です。

 窓の外は茜色に染まり夕日が薄暗い部屋を僅かに差し込んできていた。学園のほうからは本日最後の鐘が鳴り生徒達が寮へと帰っていく。これから友達と町に繰り出し遊びに行こうとする者や友人と寮に戻っていく者。許可を経て修練場へ移り友人と共に自分の技を高める者。遠くから聞こえるそれぞれ楽しそうな声をこの部屋の主、ユアナの鼓膜を震わせていた。女子寮に近づく楽しそうな声を一抹の寂しさを感じながらも聞き流がす。


 昨日から泣きっぱなしで、今朝は一度鏡台に向かったは良いものの結局召喚できなかった悔しさで泣きだしベッドに突っ伏した。朝から寝ては起きてを繰り返し、今は眠気もなく涙も枯れはてた。手に握る <ユアナの使い魔> と刺繍されたハンカチをベッドに横になりながらボーっと眺めている。


 (これからどうしようかな)


 召喚に失敗し一日経てばステータス欄の 契約使い魔:無し という表示は消えるという。確認するまでもなくもう消えてるだろう。今まで使い魔の為だけに生きてきたといっても過言じゃない。魔法のみや魔道具造りで生きている自分なんて想像できなかった。


 ハンカチを握る手をじっと見てみる。そこには今にも消えそうな黒に近いグレーの色をしたオーラが見えた。


 ギフト……それは、この世界の人が最初から持って生まれるという能力。これを持って生まれてくる者は少ない上に秘密にしている人もいる。だからどれだけの人が持っているか確立が分からないもの。


 そして私も誰にも明かしていないギフトがこの色心眼しきしんがん。黒と赤のオッドアイである赤い目がその色心眼。そこに意思がある者ならばその心の感情をオーラで見分けることができる。元気で活発な者は大体赤いオーラ、落ち着きがあり思慮深そうな者は青いオーラを纏っていた。誰かに向ける感情のオーラも様々で、友人を視界に入れた人は黄色のオーラを放ち相手を包んでいた。ユアナに優しかった保母おかあさんからは優しい緑の色で包まれていた。


 でもこの学園の入園時の時は酷かった。


 「うわ、何だその目気持ち悪りー」


 「お前知ってるぞー、闇属性持ってるんだろ? ここは人間の来るところで魔族が来る場所じゃないぞー」


 この世界には竜族、人間族、魔族、獣人族、エルフ族がおり、闇属性は魔族にしか現れない。


 孤児院の子と知り合いだったのか知らないがその人のせいで目と闇属性の事が初日でばれて広まってしまった。その日一日は地獄だった。私に浴びせられる感情の色の波。嫌悪なのか恐怖なのかすべての絵の具を混ぜたような不快な色が嫌そうな視線とともに飛ばされてきて辛かった。


 その日以降赤い目に眼帯を着け、表情を隠しやすいのでツバ広の魔女帽を目深に被り人前で外すことは無くなった。幸いなのが眼帯を透過してまで色は来ないということだった。


 そして今私が纏っている色は黒に近いグレーの色。不安定で憂鬱な人が纏う色だったかな。黒が混ざり始めると危険な状態だったと思う。完全な黒は病気や悪を意味し死の色ともいえ、死ぬ直前ではオーラさえ見えなくなるという。マイナス的な感情は大体黒が混ざり始めるのだ。


 黒に近い上に消えかけている自分のオーラを見ても何も感じない、むしろ納得していた。無感情に眺めているとお腹がく~と鳴る。


 (お腹空いたな、けど……)


 昨日の失敗から今まで何も口にしていなかったし食欲も湧かない。使い魔のいない人生など考えられないしこのまま瞳を閉じればもう目覚めないかな。そうやって何もかも諦めようとしていた……。



 『かーーーーーーーーーーーーーつっ!! 』

 「ふひゃぁい!! 」


 

 突然大音量の声が聞こえ飛び起き勢いあまってベッドから転げ落ちた。尻餅をつき痛がりながらも、なに? なに? と混乱する。すると一瞬目の前に長身の青年が背中を向け仁王立ちした姿が見えた。その姿はすぐに消え見慣れた私の部屋に変わる。


 「幻覚? でもこの色は」


 今は部屋の中だがさっきまで青年が立っていた場所にはオーラが漂っていた。残照なのかな、赤いオーラだ。しかも視界一杯に満ちた大きさ、ここまでくるとやる気と気合に満ちている色だと思う。幻覚ではなく確かに見たということなのだ。


 フラフラと立ち上がり彼が立っていた場所へ向かいふと思い出した。


 (夢で見たゴブリンと戦っていた人に似てる? )


 一瞬だったため分からなかったけど体格と妙な服装で同一人物だろう。漂うオーラに手をかざすと感情が伝わってくる。このままではいけないと、生き抜くんだと、立たされた逆行に真っ向から立ち向かう力強い波動。一瞬全身がカッと熱くなる。枯れたと思っていた双眸から涙が一筋流れた。だがそれは悲しみではなく何かに満たされたときに流す涙だった。


 私は急き立てられるようにステータスを開き画面をスクロールする。その途中テンションが5/10に上がっていたが見逃す。そして探していたものが目に映ったとき息を呑んだ。



 契約使い魔:無し?



 「え? 無し?って」


 分からない。このような反応が今まであったかな、確かなことはもう消えているはずの表示が未だに残っているということ。今まで使い魔関係の勉強はずっとしてきたけどステータス画面でこのような反応が出るなんて知らない。


 「どういうことなの、分からない、分からない」


 混乱のせいで寒くもないのに体が震えだしてきた。でも自分には使い魔が居るのかもしれないという期待で顔が徐々にニヤけ始めていた。他人には見せられないなんともいやらしい顔になっていたがそんな自分の顔が遠くに映る鏡台の鏡を見て一気に顔が朱に染まり両手で顔を覆う。


 「やだ、今私すごい顔してた」


 でも一瞬見えた鏡に映った私のオーラに驚く。さっきまでマイナス思考全快のオーラだったのに対し、少ないけど赤いオーラが見えたのだ。


 もしかして私は召喚に成功したのだろうか。先生にこのステータスの反応を聞いてみようか。興奮覚めやらぬ思いで 無し? を見ていたらコンコンと扉をノックする音が聞こえビクッと体がはねた。

 

 「ユアナさんいますか? バーバラです、居ましたら顔を見せてくださいませんか」


(ど、どうして先生が来るの? はっ、そうだ今日は平日で私無断で休んじゃったんだった)


 明日聞こうか迷っていた先生がまさか尋ねてくるとは思ってなかったけど、連絡もせずに皆勤だった人が突然休んだら様子を見に来るのが普通なのかな。そのままハーイと出そうになり思いとどまる。入園時依頼周りのことなど無関心を装い、内心では傷つきながらもどれだけ疎まれようが(だから何?)と、クールを気取り隙を見せないように自分を保ってきた。そんな自分の姿を鏡で見る。


 泣きはらした顔、ボサボサの髪、皺くちゃの制服。なんともみすぼらしい隙だらけな格好。こんなのじゃ顔見せられない!


 「しょ、少々お待ちください」


 噛んだけどなんとか落ち着いた声を出し洗面所で顔を洗い軽く髪を梳かす。皺くちゃだった服に軽く水を染み込ませ手のひらに火の魔法で熱を発し服を伸ばしていく。簡易的なアイロンみたいで火属性があったのが助かった瞬間だった。急ごしらえの為荒くなったがこれ以上時間をかけると申し訳ないので諦めて扉に向かう。


 (無断で休んだこと怒られるかなぁ。バーバラ先生たまにすごく怖い雰囲気になるから苦手だよ)


 最後に他人の感情など見たくないため眼帯を着け、一度ふぅと息を吐き扉を開いた。


 「何でしょうか?」


 内開きのドアを少し開け縁に手を沿え除きこむように訪問者を確認する。少しビクつきながらもなんとか平静を装い普段のクールにじと目で無感情を必死で装う。内心ハラハラしていたけど先生には隠せただろうか。私の顔を見て先生は少し目を見開いて驚いた顔をして一歩引いた。


 「落ち込んでいると思っていましたが意外と元気そうですね。気分は如何ですか? 」


 何故引いたんだろう。一歩引かれたのに少し傷ついたけど表情に出さないように堪える。私の身長は150センチ程度なので160センチ以上はある先生を見上げる形になる。


 大丈夫ですと言おうと思った時。


 く~キュルル


 「!!! 」


 一瞬にして赤面になり顔を俯ける。


 (くぅぅ、こんなときに、は、恥ずかしい)


 こんな時にお腹が鳴ってしまうとは。あまりに恥ずかしかったけど話をしない訳にはいかないから涙目になりながらも先生の顔を見る。どう表現すればいいか分からない顔をしていたからこの時ばかりはどのような感情なのか眼帯を取って見て見たいと思った瞬間だった。


 「す、少し落ち込みましたがもう大丈夫です先生。昨日から何も食べていなかったのでお恥ずかしいです。明日からはちゃんと出席しますのでご心配なく」


 「そうですか、今まで皆勤で頑張っていたので正直立ち直れないのではと心配しましたが大丈夫そうですね。もうすぐ夕食の時間になります。しっかり食べて明日に備えてくださいね。そうそうシルビアさんも心配していましたよ」


 「シルビアさんが、ですか」


 「はい」


 どうだか、あの人は私が召喚する前に成功してたから私に自慢したいだけじゃないのかな。いつも教室で話しかけてくるけど自分のことばかり話す人。それに同じ火属性を持ってるせいか私のほうが強いだの、模擬戦しようだの、闇の属性も見せなさいだの。挙句の果てには眼帯を取ってその目を見せろまで言ってくる。人が一番気にしている所までズケズケと踏み入ってくるのでうっとうしいったらありゃしない。でも相手は侯爵の令嬢。性格はかなりお転婆だが逆らうと怖いというのもある。私も拾われたとはいえオープナーという家名があるけどこれは保母おかあさんが没落貴族の娘だったらしいこと。その養女として迎えられたためオープナーを名のっている。おかあさんは結婚せず両親も他界していた為オープナーは私だけになった。


 サザンフォートの南部に広大な領地を持つ侯爵家の令嬢、方や没落貴族の娘が孤児院を開き養女として迎えられた元平民の娘。どうして私に話しかけてくるんだろう、やっぱり黒髪と闇属性が珍しいからなのかな。


 「今日はちょっとした復習とこれからどの授業を専攻するかの話でしたので遅れなどは無いでしょう、あなたは優秀ですからね。ではまた明日会いましょう、お休みなさい」


 「はい、お休みなさい……あ、先生! 」


 「はい、なんでしょうか? 」


 背を向け歩き出した先生を呼び止める。危うく訊きそびれるところでした。それから先生に今まであったことを色心眼のことを伏せて話しステータスを開き 契約使い魔:無し? の部分だけを見せる。


 「な! こ、このような反応は私も初めてです。どういうことなのでしょう……過去にこのようなことは無かったはず。でも知らないだけで私の勉強不足の可能性もありますね。でも状況からしてユアナさんの召喚は完璧といえるものでしたし過去に呼び出されて契約せずに主を殺しそのまま逃げ出したあの邪竜アルフェルドの件以外では呼び出しから契約まですんなりブツブツ」


 先生は驚きその後はブツブツと私を置いてきぼりにして分析し始めた。その集中力に少し驚いたけどここまで考えてくれることに嬉しくなりました。


 いい答えを期待して顎に手を添え目を伏せ分析する先生を待っていると眼帯で隠れた右目が少しずつ熱くなってきた。


 「熱い、というか暖かい、こんどは何? 」


 痛いとか燃えるように熱いというのではなく暖かい、没頭してる先生を尻目に鏡台へ行き調べようと思い眼帯を取った。




 「……! 」




 もはや声に出ない。自分は鏡を見ていたはずだったのに眼帯を取った瞬間違う場所に立っていた。目の前にはさっき一瞬だけ見た背中を向けた青年、周りはどこかの洞窟の中なのだろうか少し薄暗い、でも壁がなんだか発光しているせいか広く見渡せる。そして彼に群がる大量のラビット系の魔物たち。どういうことなの、もう何がなんだか分からない。


 群がるラビットを千切っては投げ拳や蹴りで徐々に倒していく、だが不思議なことに地面が淡く光り新たなラビットが出現する。


 (何これ、こんな敵の現れ方なんて初めて見た(・・・・・)


 それでも彼は諦めずに戦い続けている。このままではジリ貧ではないだろうか。


 「おおおおお! 」


 彼は雄叫びを上げラビットを振り払いこちらを向いた。


 (!! )


 目が合った。彼もこちらが見えているのだろうか動きが停止していた。これは幻覚なの? 実際に私がそこに行ってしまったの? 疑問で頭の中がぐちゃぐちゃになってしまう。その中で一つ使い魔の勉強で予習していた部分を思い出していた。


 ・呼び出した後に契約した主と使い魔は見えない糸で繋がり離れていても心で意思の疎通ができ、今何処にいるのか分かる。


 契約したことでメリットとなる一つにこれがあった。未契約だけど確かにこれは何処にいるか分かるという部類に入るのかな。勉強だと文章だけだから実際に体験したことは無い。そしてこのように見えるということが、もしそういうことなのだとしたらこの人はまさか私の、


 「……つかいま? 」


 すると私のお腹を後ろから何かが貫き彼へと伸びる物が走った。それは腕の太さぐらいの一つの色だった。


 (まるで黒くくすんだ血の色みたい、これは……攻撃的な感情の色!? )


 初めて見るから分からない。どうやら彼から見て私の真後ろにラビットが居るのだろう。


 『あぶねぇ! 』


 すると彼がこちらに向かってきた。さっき見た綺麗な赤く気合に満ちた色が一瞬で変わる。体の表面は赤いオーラ、そしてその外側には視界を覆うほどのピンクとグリーンの色になった。


 (違うの! これは私じゃなくておそらく貴方に向けられた)


 必死で伝えようとしたが声にならない。伝えようと思ったらもう私は彼の腕の中に抱きしめられたからだ。私を包む感情の嵐。ピンクはたしか保護の色、他にも愛情の意味もあっただろうが私を守ろうとする状況なので今は保護だろう。そしてグリーンはおかあさんからしか包んでもらえなかった懐かしく優しい癒しの色。


 「はわわ! 」

 

 突然抱きしめられたことにパニックになる。目のすぐ前には何か文字のようなものが見える。反射的に抱きしめ返そうと手を回した瞬間彼は掻き消え、いつの間にか鏡台の鏡に映る自分が見えた。


 その姿はパニックで顔を真っ赤にし口をはわわと呟いたままポカンと開き固まっている。なんとも間抜けな姿だった。


 この世の中は町の外は魔物や獣にあふれている為屈強な異性が好かれる。男性の平均身長は165~170センチであり、それよりも背が高くがたいが良ければ良いほど頼りがいがあり女性にモテる。もちろん爽やかな中性的なイケメンもモテる部類だが、がたいが良い、高身長、周りを威嚇するほど凶悪な顔の人物が1番モテるのだ。後は性格の問題だが私が一身に包まれていた感情。


 情熱、愛情、保護、そして優しく癒される色に包まれた私は彼に全力で守られていた。ただでさえ感情の色など見えなくとも、がたい、高身長、凶悪フェイスの男性に抱きしめられて恋に落ちない女性はなかなか居ないのではないだろうか。


 さらに私は今も残照となった剥き出しの感情の色が見える。抱きしめようと上げていた手で自分を抱く。心臓がドキドキと鳴り止まないまま彼の姿を思い出す。夢の中でゴブリンと戦っていた姿。ベッドから転げ落ちた後に一瞬見た後姿。そして今のことを思いながら思わずステータスを開き震える指でスクロールしていく。


 (早く、早く見せて)


 震える指でスクロールがうまくいかない。もどかしく思いつつもやっと見たかった文字が目に映る。



 未契約使い魔:盾地小太



 それを見て目が見開いた。無し? から盾地小太になり契約が未契約に変わっていた。きっと名前なのだろうが読めない。でも確信に変わった。さっき抱きしめられたときに見た文字のようなものとここに書かれた文字が一緒だということ。つまり私が呼び出した使い魔は彼なのだ。


 思考がそこに行きつくと胸の鼓動がさらに跳ね上がり激しい運動もしていないのにはぁはぁと息が上がる。


 (やった!やったぁ、私成功してたんだ……やったよぉ、おかあさん)


 まさに感慨無量。あれほど悲しみに沈み涙を流したというのにホロホロと涙が流れ落ちていた。



 しばらく涙を流した後、落ち着いてきた頃にはたと思い出した。今部屋の入り口にはバーバラ先生が居たのだ。慌てて涙をぬぐい眼帯を装着しておそるおそる先生のほうを振り向く。


 「……大体人間を召喚するということが前代未聞なのではないでしょうか? 確かに年に一度世界の魔力が活性化し異世界と繋がりやすくなり召喚するのもその時であり一般的には精霊界から呼び出されると言われ力が足りなかった場合はこの世界の動物や魔物になるから人自体が呼び出されるということもあるのかしら……」


 先生、私がすごい体験していた間もずっと分析していたのかな。とにかく今の醜態を見られていなくてホッとしたわ。兎に角今あったことを話そうと思い先生に近づく。近づく私に気付き先生が分析の思考から戻ってきた。


 「申し訳ありません随分と待たせてしまったでしょうか、って何かあったんですか? 」


 涙は拭っても泣き腫らした目元に気付かれてしまい先生が分析中に見たことを話した。


 「なるほどそんなことが、なんとも羨ま、コホンッ! なぜ召喚の時目の前に現れなかったのかは謎ですがおそらく未契約とはいえ主と彼の間に繋がりがあるのでしょう。ならば気を付けなければならないことがありますね。使い魔を得ることでメリットとデメリットがあります。そのデメリットをユアナさんは分かりますよね? 」


 「はい、主のテンションの数字がそのまま使い魔に反映されるということ。使い魔がどれだけ元気でも主のテンションが2/10だった場合使い魔も2割の力しか出せない」


 「その通りです。彼はどこかの洞窟で戦っているといいましたね? 未契約とはいえユアナさんのテンションが影響を与えないとは言えませんね。だからユアナさんは彼が最高のコンディションで居られるために元気でなければなりません。今のテンションはどれぐらいですか? 」


 そうなのだ。呼び出した後の私のテンションは2や1にまで下がっていた。彼はその状態でもゴブリンと戦っていたということになる。そう思うと彼に申し訳なくなってきた。私はなんて酷い主なんだろう。でもこれからは大丈夫なはずだ。もう一度ステータスを開いて見てみたら9/10にまでなっている。


 「9です」

 

 「9!? そ、それはすごいですね、人は眠るときは約2~4、普段は5~7です、戦闘中などは高揚して8~9になりますがその他でそこまで上がるとなると何かで興奮状態になっているということですよ」


 興奮状態、そう言われみるみる顔が赤くなっていく。その表情を見て先生は悟り納得したのかふぅと息をついた。


 「とりあえずおめでとうと言っておきましょう。危険なのは彼が戦闘中にユアナさんが眠っている時でしょうが彼を信じるしか無さそうですね。一刻も早く探しに行きたいでしょうけど酷な事を言うかもしれませんが授業には出てくださいね。彼のためにもあなたが主として弱かったら幻滅されるかもですよ? 探すなら授業後か前もって休日願いを提出してください」


 「……はい、分かりました」


 「それではまた明日会いましょう。お休みなさい」


 お休みなさいと告げ扉を閉めた。しばらく閉まった扉を見つめていたが体が徐々に震えだす。沸々と溢れ出す感情が抑えきれなくなり。


 「やったーーーーー! 」


 と叫びベッドにダイブしベッドにあったままの <ユアナの使い魔> ハンカチを掴み胸の前でギュッと握り締める。


 (私の使い魔私の使い魔私のつかいまーーーー! )


 キャーキャーと叫びながら妄想を爆発させる。


 (魔物の討伐に一緒に立ち向かう私と彼、前衛で魔物を蹴散らす彼の姿に見惚れる私、その隙を衝かれ魔物に襲われてしまう。それに気付きすぐさま駆けつけ魔物を倒す彼、怯える私を抱きしめ庇ってくれる。「もう大丈夫だよ」そして私は「怖かったようぅ」と彼にすがり付く。そして彼は「もう、いいかな? 」と呟きベッドに押し倒される。恥じらいながらも私はとうとうその言葉を呟く!「来て」)


 「やぁーーーーーん」


 顔を手で押さえベッドの上でゴロゴロと転がりだす。クラスメイトが今の私を見たらどう思うだろうか。普段はクールを装っていたけどあまりのギャップで別人と思われるかも。


 やっと落ち着いても今までしていた妄想にまた悶絶する。こんどこそ落ち着きベッドの上に立ち上がる。


 「捜さなきゃ」


 その顔はキリッとしておりちょっと前まで情けなく泣いていたとは思えないほど活力に満ちていた。きっと眼帯を外せば自分は真っ赤なオーラに包まれているだろうしテンションも10になっているのではないだろうか。


 ぐぎゅるるる~


 「あううう」


 お腹がいい加減何か食べろと盛大になってしまった。今のでテンション下がってしまったのではと心配になる。とにかく夕食食べに行こうと思い扉に近づいていく。


 「待っててね必ず捜しに行くから、どうかそれまで頑張って、私の使い魔」


 ユアナ・オープナー もうすぐ16歳


 これからどう捜すか考える。今現在分かっている情報はどこかの洞窟内、きっとダンジョンだと思う、それとゴブリンとラビット系の魔物が出現するということ。


 もう大丈夫、見ててねおかあさん……。

やっと書けた。自分の未熟さに呆れます。

読みにくかったらスイマセン。

感想や何か助言などあったら助かります。

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