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念願のステータス

ああ、曖昧だった設定をしっかりさせる時が来てしまった……。


 ライエルは21歳。俺は17歳。いや、そろそろ1年になるというのだから俺はもう18歳なのだろうか。

 どうでもいいが才と歳の違いはなんなのだろうか。ググれば分かるのかもしれないが残念ながらここは異世界。インターネットなど無い世界だ。まぁこれもどうでもいい話だ。

 それよりもライエルが言うに、カイは第二子だという。長男を4年前に生んだといった。つまり21の4年前というと21引く4で17だ。つまり17で第一子を生んだという事になる。

 妊娠期間は人族と変わらぬよとも言っていたから10か月ほどという事か? つまりライエルは16ほどの頃に旦那とこう……アレを致したというわけだ。

 フェンリスボルフの寿命は100年前後だとも言っていた。俺の世界で言う猫の1年は17~18歳ということもないらしい。人間と同じ速度で成長するとも聞いた。


 「ライエルさん、旦那さんって歳はいくつなんでしょうか?」


 「? 何を聞くかと思えば。今は34だったかの」


 はぁああああ!? つまり34引く4で30の男が16の娘に手出したというわけかコラァ! 犯罪臭がハンパないぞゴルァ! なんて羨ましい! 違う! なんとけしからん!


 「なんか腹立ってきた。旦那さんに会ったらいきなり殴りかかるかもしれん、先に謝っとくわ」


 「な、何故じゃ!? 何を怒っておる、鬼との戦いで、もはや夫より上回っていることは十分承知した。やめてたも」


 「モテない男子代表として黙っているわけにはいかん」


 「(話を逸らさねば)モテんとな? オヌシほどの者が女人に好かれぬとは思えんのだが」


 「怖がられてたし。俺自身その、女の子を前にすると緊張で上がっちまってまともに喋れなくなるし。なんとか喋ろうと必死になればなるほど顔が怖くなるらしいし」


 そもそも女の子との接点が少なかった。中学で既に身長が180近くあり、近所には不良が結構居るところだったせいかよく絡まれた。俺は降りかかる火の粉を払っていただけだったんだが、おかげで落ち着いて勉強も出来ず底辺校の不良男子校へ行くことになる。まぁ、もともと頭はいいほうじゃ無かったからな、勉強嫌いだし。空手やってる方が楽しかった。

 小学生の頃は恋なんて知らなかった。中学では芽生えはしたけど俺を取り巻く環境とこの図体で魔王とか呼ばれて恐れられていた。高校じゃ言わずもがな、男臭い世界で暴力の日々。とうとう相手を白目向かせて病院送りにしてしまい謹慎と相成ったというわけだ。


 「なんとも勿体ないのう、こんな益荒男(ますらお)を女どもは放っておくとはの。そういえば喋れぬと言いつつも私とは難なく喋っておるではないか」


 「ライエルはその、見た目オオカミだし、女の子っていうより第一印象が母ちゃんだったおかげでむしろ落ち着く」


 「クフフ、そうだったの。まだ私が未婚であったらのう……(人化してもよかったのだがの)」


 「ん? なんか言った?」


 「なんも言ってはおらぬよ」


 (なんせ人族の着物を持って来ておらなんだしな。ここで人化すれば小太には一糸纏わぬ私の姿を晒すことになろ)


 「てことで、旦那の名前教えてよ、フェンリスヴォルフ違いで殴っちゃったらヤバイしさ」


 「だからやめろと言うに! 今のオヌシには教えられぬよ。ぐぬぅ話を逸らせなんだ。それよりもオヌシ、腕輪を取りに行ったのであろ? ずっと見たかったのであろ? 念願が叶う時じゃ、はよう確認せよ」


 「おお、そうだった」


 アイテム内から一つ腕輪を取り出す。二つあったけど一つは完全に割れてたしな。これもひび割れてるけど大丈夫だろうか。


 「なんともランクの低そうな石じゃの、それでは詳しい内容が見れぬかもしれんぞ」


 「ランクとかあるんだ。まぁ少しでも見れるならなんでもいいや」


 とうとうこの時が来た。ずっと見たかった自分のステータス。

 腕輪のサイズが小さいと思ったけど、リングが少し広がり、手首部分までくるとフィットするように縮んだ。


 「うわスッゲー! 広がって縮んだ!」


 「そういう造りになっておるのよ。ほんに異世界の住人なのじゃの、そこに驚くとは見ていて新鮮だの」


 こっちではこれが普通らしい。さぁ、見るぞ。俺の力。あの不思議なスローや銀のオーラの秘密がやっと分かる。俺は万感の思いを込めて言った。


 「ステータス!」


 「声がデカいわ」


 「んー、オジチャうるしゃい」


 「おおおおお!?」


 無視して突然目の前に出てきた画面に驚きつつ眺めていく。





 盾地小太 (ショータ・タテチ) 18歳 男


 Lv 199(+25) しん属性


 体力:56200(+7060)


 魔力:4346000(+545979)


 テンション:8/10(9/10)


 攻撃力:74020/92525(+11623)


 魔法力:347680/434600(+54597)


 防御力:62700/78375(+9846)


 魔防御:216026/270032(+33923)


 俊敏力:14200/17750(+2229)


 

 ギフト:3秒ディレイ


 称号:・修験者 ・ナイスガイ ・タフネス ・タフガイ ・マイトガイ ・筋肉バカ ・感動屋さん ・仙人




 「筋肉バカって……」


 「そこがまず気になるとはバカかオヌシ」


 「オジチャ筋肉バカー、アハハ」


 「ちょ! バカって言うな、バカって言った方がバカなんだぞう!」


 「しん属性と3秒ディレイが気になるが、それよりまだ続きがある、はよう下も見せぬか」


 「くっ、俺より画面近いぞライエル」


 俺は画面右にあるスクロールバーを下げていく。


 (パソコンみたいだな)




 召喚主:ユアナ・オープナー 未契約




 「ユアナ・オープナー……」


 「それがオヌシを呼び出した者の名前じゃの」


 「ユアナ……か」


 あの少女の名前がユアナなんだな。ずっと知りたかった名前がやっと分かった。


 (ユアナさん、いや、ユアナちゃん? いや、いっそユアナと呼び捨てにするべきか? いやぁ迷うなぁ)


 「何をニヤついておる、はよ!」


 「分かったって」


 



 取得魂


 ・ゴブリン 120体

 ・ハイゴブリン 1体

 ・チーターラビット 357体

 ・チーターラビットボス 1体

   取得可能スキル :俊足 全員が教授に賛成。


 ・ソードウルフ 678体

 ・カラメレオンテ 246体

   取得可能スキル :擬態 7割が教授に賛成。


 ・デンジャーホーネット 40562体

 ・女王デンジャーホーネット 40体

 ・ローリングソバット 478体

   取得可能スキル :超音波 6割が教授に賛成。


 ・マジリスク 124体

   取得可能スキル :石化の眼 5割が教授に賛成。


 ・スウィートハーツセン犬 7体

   取得可能スキル :酒造り 全員が教授に賛成。


 ・キシリトロール鬼 15体

   取得可能スキル :剛腕 全員貴方に逆らう気がありません。


 ・ハムハムベンガ 648体

   取得可能スキル :クラッチ 7割が教授に賛成。


 ・ペネトレイトダーツ 697体

   取得可能スキル :ペネトレート 8割が教授に賛成。


 ・ゴールデンゴーレム 544体

   取得可能スキル :金の精製 全員が教授に賛成。


 ・ミスリルゴーレム 121体

   取得可能スキル :ミスリルの精製 全員が教授に賛成。


 ・アリエンモナイト 420体

 ・スパイダースコーピオン 245体

   取得可能スキル :スパイダーシルク 5割が教授に賛成。


 ・デスキャディーゴルファー 878体

   取得可能スキル :エンチャント 7割が教授に賛成。


 ・ワイバンナイト 17275体

 ・ワイバンナイト七天将 7体

   取得可能スキル :竜の咆哮 竜のブレス 竜の眼 全員が教授に賛成。


 ・テラウザウルス 12体

   取得可能スキル :9割魔力無効 全員が教授に賛成。


 ・アネコンダ 1体

   取得可能スキル :癒しの光 渋々教授に賛成。

 ・アニコンダ 1体

   取得可能スキル :シャドウムーブ 貴方の舎弟希望。


 ・ブヒーモス 1体

   取得可能スキル :ライトニング 貴方の舎弟希望。


 ・レインボウバード 1体

   取得可能スキル :全属性基礎魔法 この身を捧げます。


 ・オニオニ 1体

   取得可能スキル :焦点縮地 次は語ろうぞ。


 「俺こんなに倒してたのか、ていうか取得可能スキルの後の文字がただの一言になっていってるんだけど、教えてくれるってことでいいのかな」


 「……」


 「どしたの母ちゃん」

 

 「何とも……いやはや、強くなるわけだの」


 ライエルが呆れたのか、それとも疲れたのかため息をついた。


 「画面見すぎて目疲れたのか? 水飲む?」


 「よい、それよりもこのワイバンナイトと七天将が気になるの」


 「ああ、これだよ、バカでかい広場に5~600体で隊列組んで一斉に襲ってきたの。初見の時は広場の前で入る覚悟が決まるまで3日は不貞腐れてたかな」


 「実際にその場に立たねば想像もできぬ光景だの。よく生き抜いたものよ」


 「口の中に水含みながら戦ってたからな、たまに強い個体が居たけどこれが七天将だったのかな? 周りと同じで我武者羅だったから違いが鎧の色ぐらいしか印象無かった」


 「このワイバンナイトは竜を崇め、守りし騎士のことよ。ワイバーンは竜の姿に似ておるが前足が無い。後ろ足と翼だけなのだよ。だからこそ前足を持つ完璧な姿である竜の元に集う。

 竜もまた自分を慕うワイバーン達を同胞と認め、自分を外敵から守ってくれるワイバーンに祈りを捧げた。すると翼はそのままに手が生え、人型となった。

 ワイバーンは喜び、さらに竜を守護しようと自ら鎧や武器を造り、竜の尖兵となった。そう言い伝えられている者たちよ」


 なんかすごそうな話だな。そんなふうに伝えられてた敵と戦ってたのか。


 「ワイバンナイト単体でも確かAランクはあったと思うのだが、それをまぁ1万7千とはの」


 「今メインで使ってる武器が彼らのだ。もう十分すぎるから今は殺さず修行の相手になってもらってる」


 彼らのおかげで多対一の修行は完璧だろう。集団戦闘の時みたいに自分のオーラを陣形みたいに変えて戦う練習をしたな。魚鱗(ぎょりん)とか鶴翼(かくよく)とか。

 まぁ結局俺一人だから最終的に方円(ほうえん)の陣(大将を中心として円を描くように兵で囲む陣形)に追い込まれるんだけどね。

 そこから長蛇(ちょうだ)(隊ごと縦に一列に並べる)で壁際まで突破して立て直す。昔やってたゲームの内容はもう覚えてないけど、隊列は覚えててよかった。


 「つまりこれだけの魂がオヌシの中に残らず入っておるというわけかの」


 「だろうね、倒す度にそう頭に流れてたからな」


 「多すぎると思うのだがの、取得できる魂も、顕現できる魔物も数体までとしか聞かなんだ。使い魔の器で決まるというがそれにしても……」


 ライエルはブツブツと何やら呟いている。まぁいいや続きを見よう。




 アイテム

 

 ・ボロボロのボトルベルト

 ・神竜の涙(原水)の入ったボトル

 ・折れた鋼鉄の片手剣

 ・魔石の割れた火の杖

 ・ゴブリンの耳 ×121

 ・ソードウルフの刃 ×624

 ・カラメレオンテの尾っぽ ×246

 ・デンジャーホーネットの針 ×40391

 ・ローリングソバットの牙 ×478

 ・マジリスクの目 ×124

 ・スィートハーツ純米大吟醸酒 ×2

 ・スィートハーツ大吟醸酒 ×2

 ・スィートハーツ純米吟醸酒 

 ・スウィートハーツ吟醸酒 

 ・キシリトロール鬼の歯 ×15

 ・ハムハムベンガの鱗 ×648

 ・ペネトレイトダーツの鱗 ×697

 ・ゴールデンインゴット ×544

 ・ミスリルインゴット ×121

 ・アリエンモナイトの貝殻 ×420

 ・スパイダースコーピオンの糸 ×245

 ・デスキャディーゴルファーの声が入った魔石 ×878

 ・オリハルコン片手剣 ×3745

 ・オリハルコン大剣 ×3948

 ・オリハルコン槍 ×4124

 ・オリハルコンの弓 ×5458

 ・オリハルコンの矢 ×109160

 ・テラウザウルスの牙 ×12

 ・神竜の涙(原水)の入ったアネコンダの革 

 ・神竜の涙(原水)の入ったアニコンダの革

 ・ブヒーモスの角 

 ・レインボウバードの羽 赤×20 青×20 緑×20 茶×20 白×20 黒×20 無色×20

 ・紅炎刀

 ・青氷刀

 



 こりゃ細かすぎて視難いな。後は各魔物達の魔石が倒した分書かれていた。

 ミスリルやオリハルコンという文字を見た時はゲームで出てくる強そうなヤツじゃんと思ったぐらいか。

 泉の水は神竜の涙っていうのか、これのおかげで俺はここまで生き延びたんだな。


 「お、おおおおオヌシ!」


 ライエルがえらく焦ったような顔で呼んでくる。


 「オヌシ、なんなのだこのアイテムは!」


 「え? いや、なんだって言われても、何なんでしょう?」


 「よいか、このアイテム、神竜の涙の原水は一滴ですら値段が付けられないほど高価な物じゃ。普通はこの一滴を水で薄めて飲用するものじゃ!

 それだけで体力は回復し、不治の病や傷、切り落とされた腕でも繋げながら飲めば元通りになるという。つまり死んでいなければ完全回復する幻の水じゃ!」


 至近距離ですごい唾とばして喋ってくる。あまりの勢いに内容の凄さがいまいち頭に入ってこない。


 「お、おおう」


 「その水はどれだけ持っておるのじゃ!?」


 「えっと、ヘビ革二つとボトル満水だから、約60tと500mlです」


 「なんとまぁ……」


 ライエルはのけぞる様に後ろへゆっくり倒れていった。


 「カアチャどうしたのー? おねむ?」


 「母ちゃんどうしたの? もしかしてモフモフウェルカム?」


 「違うわ!」

 

 ビシッ!


 蹴られた。ていうかウェルカムの意味知ってるのか?


 「世界のどこかである一定の期間だけ湧き出る不思議な泉。それは決まって少量、そして危険な場所でしか発見されないという。

 ()りに出せば一滴ですら巨万の富を得られるのじゃ。なんせ回復魔法や医者ですら治せぬ病も癒すのだからの。それをオヌシはどれだけ持っておるというのだ。その価値が分かったかの?」


 「……あー………」


 「それだけでは無い、他のアイテムも高価な物ばかりじゃ、軽く人生100回やり直してもお釣りがくるわ」


 「マジっすか!」


 「遅いわこの筋肉バカが!」


 「なんだとぅ! バカって言う方がバカなんだぞう!」


 「オヌシと話しておると疲れるの……」


 なるほど、俺はそんな貴重な水をこの一年近くガブ飲みしていたという事か。そりゃ病気にもならないわけだ。

 この水には本当感謝感激雨霰かんしゃかんげきあめあられだ。


 「まぁ、外に出たらこの水に関しては気を付けて使えよってことでいいでしょうかね?」


 「そうなるのだが、オヌシではなんだか心配だの。主であるユアナなる者がしっかりしていることを願うの」


 「外に出れたらね」


 「う……」


 最後の難関を思い出させてしまったようで、一瞬で気まずくなった。いかん失敗した。


 「まぁ俺頑張るから任せてくれよ。戦うだけしか能が無いような存在になりつつあるみたいだし」


 「自分で言ってて悲しくないのかの?」


 「もういいよどうでも、それよりもうちょい続きあるよ、見ようぜ」




 覚醒


 仙威(せんい):人の器である人殻(じんかく)(魂)を破壊した者。仙人。精神が肉体を凌駕した状態。肉体を無視して内なる魔力を無抵抗で解放可能。発動中は全ステータスの数値×10の効果。


 覚醒条件 :修験者の称号 :Lv100以上 :死んでも生きるを体現する。




 ??:???……。


 覚醒条件 :修験者の称号 :仙威 :Lv200以上 :???。





 「……俺仙人だったんだ」


 「オヌシ仙人だったのか」


 「オジチャ千人なのかー?」


 カイ君それは違うよ、俺が千人も居たら気持ち悪いよ。仙人だよ仙人。イメージだとヒョウタンみたいなツルッパゲの頭で白く長い顎鬚(あごひげ)で杖持った人だよ。


 「覚醒……、あの時のか。キシリトロール鬼にボッコボコにされてた時に、死んでたまるかって気持ちで意識保ってたんだよ。そうしたら胸の内側からガラスが割れたような音がして、頭の中で『覚醒します』って流れたんだ」


 「鬼との戦いで少し腑に落ちないところがあったのだが納得がいったの。内なる魔力をどんなに大量に持っていたとしても、それを外に引き出すには肉体という抵抗がある。そのせいで一度に出せる魔力には限界があるはずなのだ。小太はそれをたった10秒で全て開放して見せた。それはこの仙威の状態だったからだの」


 「俺が銀環って名付けてた状態がこの仙威ってことか。どうしよう……名前銀環から仙環(せんかん)とかに変えた方がいいかな?」


 「好きにすればよい。オヌシ自分のことなのに反応が薄くはないかの?」


 「十分ビックリしてるけど、今までの辛さを思い出したらこれぐらいのことは無いと生還できないだろうなって、妙に納得してる」


 そうなんだ、俺、もう人間辞めてたんだな。




 



 ステータスの内容はこれで全部だった。結局しん属性や3秒ディレイの内容は残念ながら書いていなかった。

 ライエルが言うには高純度のステータス魔石なら事細かく書かれると言っていた。この二つは外に出られたらのお楽しみだな。

 それよりも気になるのが仙威の下にあるもう一つの覚醒だ。ハテナマークで書かれているが、あと一つ条件がそろえば俺は何かに覚醒するのだろうか。

 今のままでも十分な気がするけど、どんなのか興味がある。


 「これで全てか。どうじゃ、自分のステータスを見て何か感じるものはあるかの?」


 「属性、3秒ディレイ、ハテナの覚醒が気になるぐらいかな。身体の数字は万超えてたりするけど、比較するものが無いからいまいち凄さが分からないね。

 レベル1だった頃の数字を知っていれば分かるだろうけど。ライエルは自分のステータス見たことはあるのかな?」



 「無いの」


 「じゃあ見てみる?」


 俺はそう言って腕輪に手を伸ばそうとした。


 バチバチ……。


 「ん?」


 そんな音が魔石から聞こえたと思ったら、ステータスを開いていたままの画面が急に歪み消えてしまった。


 「ああ! 壊れた? 限界きたのかな」


 「石がひび割れておるからの、まぁ全て見れただけよかったの」


 そうだな、念願を叶えてくれた腕輪を感謝の念を込めてひと撫でする。サンキュー。


 



 「さて、ステータスも見終わったし、そろそろ行きますか!」


 「むうぅ……。そうだの、行かねばならぬの。でなければいつまでもここから出られぬ」


 そこで俺は提案する。


 「ライエルとカイは俺のアイテム内に入っておいたほうがいいんじゃないかな」


 しかしライエルは首を横に振った。


 「鬼ではオヌシに任せてしもうた。これ以上小太だけに負担を強いてしまうのは気が引ける。今回は私も供に戦いたい」


 「そ、そうか? 無理するなよ、扉越しでもすごい威圧感漂ってるんだから」


 座り込んだ場所から遠くの壁にある扉を眺める。ここからでも感じる威圧感は鬼を超えるほどだ。ライエルが一緒に戦ってくれると言ってくれて正直ホッとしている。一人じゃ勝てる自信がサラサラ無いのが本音だった。


 「カイは小太の中に入っておいで。そこが一番安全だからの。小太もいいかの」


 「ああ、勿論だ」


 小さいながらも何かを感じ取ったのか不安そうにするカイ。


 「カアチャ……オジチャ……」


 「大丈夫だよ坊、私が必ず守ってみせる」


 「ああ、絶対二人を外に出してやるからな」

 

 母に舐めまわされ、俺に撫でられたカイはこそばゆそうに身をよじった。俺はカイを抱っこする。


 「おねがいします。オジチャ」


 「おう、まかせとけ! 中からしっかり見てな!」


 カイが消え俺の中に存在を感じる。これで準備は整った。二人は扉にゆっくり向かいそれぞれ気合を入れる。


 「呼おおおお」


 「フゥウウウ」


 とうとうこれが最後の戦い。生きて出るか死んで終わるかの分かれ道。でも怖くない。なんてったって頼りになる仲間が初めて隣に居る。


 (絶対に出てやる!)


 扉の前に着く。


 「いいか?」


 「うむ!」


 俺は扉を思いきり殴り開けた。




ここまで読んでいただきありがとうございます。

お酒が入っていないと書けない者ですのでたまに話が脱線することもありますがご容赦下さい。


あと、読んでいる方はお気づきになっていると思われますが小太は関西人です。

それは作者が関西出身だからです。幼少の頃に他県へ移り、関西弁は薄れてきてはいるのですが、両親はいつまでもバリバリの関西弁のおかげで会話しているとすぐ復活してしまいます。


そのせいで文章の中にどうしても関西弁が入ってしまうのに気付いたため、小太を関西人にすることにしました。『ウサギと少女と使い魔と』の終盤あたり。


時は遡り小太が消えて数時間後の某府某所。


ここで某府と使うことで大阪府か京都府のどちらかしか無いことに気付いた方もいるかもしれません。

関西弁が苦手な方は申し訳ありません。お酒が入っているとするする出てしまいますご容赦下さい。

引き続きがんばって書いていきますのでヨロシクお願いします。


後、前話のライエル母ちゃんの説教の件で、怒るのが早すぎるのではと思い、少し加筆修正しております。前よりは自然になったと思いますが、また目を通していただければ嬉しいです。




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