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竜の国17

 夜が明けて次の日。


「ふおおおおおおお」


 と僕は驚嘆していた。


 城があった。


 それも大理石の。


 正直竜王会議というからには七匹の竜王が居座るバカでっかくスペースをとった空間くらいに考えていたけど実際にはちがった。


 窓の大きさや城の高さなどを鑑みるにどうにも人間仕様らしい。


 お供の人化しているブラックドラゴンに問う。


「あんな小さな城に神竜クラスが入るの?」


 答えてブラックドラゴン。


「七竜王様は滅多にドラゴンの姿を取りません」


「なんで?」


「その必要が無いからです。竜王谷には常時百単位のドラゴンがいます。どんな賊が来ようと王を煩わせる必要はありません。また竜の国に戦争を仕掛けようなどと無謀な国もありますまい」


 納得。


「竜の国は大陸最強と言われていますからね」


 これはフォトン。


「最強か……」


 最強ね……。


 まぁ言われてみれば人間の軍隊でさえ大竜に劣るか良くて互角なのである。


 そんなものが十体や二十体もいれば喧嘩を売る人間もいなくなるってものなのかな?


 首をひねりながら竜王会議……谷に創られた荘厳なる城の門へと近づく僕たち。


 門番だろう……大竜四体が頭を地面に接するまで下げて僕たちに敬意を表した。


「ツナデたちは歓迎されているのでしょうか?」


「お兄ちゃんの頭に乗ってるモノが原因だと思うな」


 僕もそう思った。


 竜王会議の門が開く。


「真竜王ウーニャー様ご来訪!」


 とドラゴンの声が高らかと響き完全に門が開き切る。


「ウーニャー。行こうパパ」


「はいはい」


 僕は頷く。


 そしてウーニャーを頭に乗せている僕を先頭にフォトン、ツナデ、イナフが門を通り過ぎる。


 ブラックドラゴンさんは深く礼をして門から先に進まなかった。


 入れる権利を持っていないのだろう。


 それくらいは察せられた。


 出迎えてくれたのは青と黒と白と黄と金と銀の髪と眼を持った六人の男女だった。


 煌びやかな服装をした六人衆だ。


「真竜王ウーニャー様。多少の危機はありましたが無事お生まれのことまっこと感激で御座います」


「ウーニャー。ウーニャーの卵の運搬をした黒さんは罰しないでやってね」


 そう言ってウーニャーはパタパタと翼を羽ばたかせると、僕の頭上から離れて六人のカラフルな男女の近くまで飛び、それから人化して幼女となる。


 今日の服装は白いワンピースだ。


「では参りましょうウーニャー様。王座にこそウーニャー様には相応しゅうございます」


 そんなこんなで自然な形でウーニャーを城へと案内するカラフル六人衆。


「人化してるドラゴンなんだろうけど真竜王の出迎えがたった六人っていうのも少なすぎない?」


「いいえ。最大級の歓待ですよ」


「何故?」


「あの六人は七竜王だからです」


「ああ……そう……」


 言われれば納得。


 煌びやかな服装を纏った六人衆は一人を除いて敬意を払ってウーニャーを城の中へと導くのだった。


 一人、黒髪黒目の女性だけが僕たちをジッと見る。


 その視線は神々しささえあるのだった。


 おそらく七竜王の一角……黒竜王なのだろう。


「お兄ちゃん……」


 イナフがギュッと僕の服の袖を掴む。


 黒竜王のプレッシャーに気圧されているらしい。


「お兄様……」


 ツナデはその視線に危険なモノを感じたのか僕を守ろうと立ち位置を変える。


 ポツリと黒竜王が呟く。


「無限復元……セブンゾール……フォトンとはどれか?」


 上から目線の黒竜王の言葉に、


「私です」


 とフォトンが進み出る。


 おさげにしている深緑の髪の尻尾がヒョコリと揺れた。


「ついてこい」


 と黒竜王はそれだけ言って城の中へと入っていく。


「「「「…………」」」」


 僕とフォトンとツナデとイナフは無言で視線を合わせた。


 それから立ち止まる気の無い「ついてこい」と言った黒竜王の背中を追って城の中へと入るのだった。


 城の中は豪奢にして繊細……華麗にして荘厳だった。


 天井から柱……窓枠に至るまで様々な細工を施してある。


 一神教の神話の再現だとフォトンから教えてもらった。


「それで?」


 僕は城内を歩きながら黒竜王に問う。


「どこに向かっているのさ?」


「竜王会議の北門」


 簡潔な返事。


「その先に何があるのでしょう?」


 問うたのはツナデ。


「闘技場」


 闘技場?


 なんとなくコロシアムを連想する僕。


 戦えっていうのだろうか?


 誰と?


 まさかドラゴンとじゃあるまいな。


 そんな僕の不安は杞憂に終わった。


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