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竜の国09

「ふおおおおおおおおおおっ!」


 僕は感動した。


 せざるをえなかった。


 場所は竜王谷。


 ドラゴンたちの本拠地と言ってもいい場所である。


 八千メートル級の山二つに挟まれた神秘的な谷の底である。


 そして上空を見上げれば幾体ものドラゴンが空を飛んでいた。


 赤、青、白、黒、黄、金、銀。


 様々な色のドラゴンが竜王谷の上空を飛びかっているのだ。


 神秘的と言って言い過ぎることのない光景だ。


「ふおおおおおおおおおおっ!」


 吾輩は猛烈に感動している!


 そんなわけで竜王谷の入り口から僕たちは歩いた。


 竜王谷は一種の観光スポットらしい。


 そんな風にフォトンから聞いている。


 つまり僕たちの観光旅行にうってつけの場所というわけだ。


 実際に飛んでいるドラゴンの群れを見るだけで感動している僕が言うのだから完全無欠に間違いない。


 ところで、


「フォトン」


「何でしょう?」


 フォトンが首を傾げる。


 僕は疑問を口にした。


「さっきから見るにドラゴンにも大きさの違いがあるようだけど、ちょっと大きさの幅がありすぎない?」


 飛んでいるドラゴンの中にも小さいのや大きいのがいるのだ。


 小さいドラゴンは二メートル級から。


 大きいドラゴンは二十メートル級まで。


 先まで居た村のドラゴン……レイフェルは五メートル級。


 迎えとしてきたレッドドラゴン二体が十メートル級。


「ええと……」


 とフォトンは悩ましげな表情を作り、


「ドラゴンには分類があるんです」


 そう切り出した。


「分類?」


 そんな僕の問いに、


「はい」


 頷くフォトン。


「小竜、中竜、大竜、神竜……そんな分類です」


「あー……」


 なんとなく解るような……。


「小竜は二メートル級のドラゴンを指します。最も数が多いのがこのドラゴンですね」


「…………」


 言われて空を見れば確かに二メートル級のドラゴンが一番よく見かける。


「小竜はバード級とも呼ばれる分類で、人化こそ出来ないものの、それでも飛行と吐息の魔術式を持った強力なドラゴンです」


「人化は出来ないの?」


「できませんね」


「へえ」


 僕は感心する。


「中竜はワイバーン級とも呼ばれる分類で、五メートル級の大きさを持つドラゴンですね。この中竜から人化の能力を持ちます」


「レイフェルがこの分類か」


「然りです。小竜でも十分に強いのですが中竜に至っては戦術レベルの戦力を持ちます」


「じゃあ大竜は?」


「十メートルを超えるドラゴンを指して大竜と呼びます。リンドブルム級とも呼ばれますね。このレベルになると戦術級どころか戦略レベルでの影響を持ちます。故に大竜は戦略兵器として重宝されます」


「重宝されるって……ドラゴンが人の言いなりになるの?」


「バーサスとして人間と契約するドラゴンも存在します」


「バーサス……ね」


「最後に神竜となりますが……ゲオルギウス級とも呼ばれる存在です。現存するのは七体のみ。これが何を意味するかは……わかりますよね?」


「つまり七属性の竜王たちってこと?」


「然りです」


 フォトンは頷くのだった。


 僕は上空を見上げる。


 相も変わらず忙しそうにドラゴンが飛んでいる。


「七属性の竜王はそれぞれ国家戦力と同等の力を持つとされています。特に光の竜王と闇の竜王はこの大陸最強の存在とされていますね」


「…………」


 僕は答えなかった。


 でもその凄さはなんとなくわかった。


 そもそもレイフェルからして圧倒的なプレッシャーを感じたのだ。


 ドラゴンがどれだけ強いのか……それはもう未知数ではあるけど同時に圧倒的だということもわかる。


「神竜……ね」


 そこまで言って、


「…………」


 僕はふと気づいた。


「神竜はけた違いに強いんだよね?」


「それはもう」


「ならさ……何で火竜王は殺されたの? 別の竜王がアイスブレスで火竜王の死体を保存してるんだよね? 何でそんなことになったのさ?」


 そんな僕の言葉にハッとするフォトン。


「そう言えば……何ででしょう……?」


 フォトンにもわからないらしい。


 ならば僕にわかる道理もない。


「それで? これからどうするんですお兄様?」


 これはツナデ。


「まぁ竜王谷を進んで宿を探すのが第一だろうね」


 さすがに北へと長く続く竜王谷を一日で踏破するなど不可能に近い。


 そんなわけで僕とフォトンとツナデとイナフは竜王谷で宿を探すはめになった。


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