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忍術師と魔術師の異世界観光日和  作者: 揚羽常時
ブレインイーター
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ブレインイーターは乙女を喰らう09


 そげなわけで市立図書館。


 ジャンヌが護衛だ。


「こんなに紙媒体が乱立して良いのですか?」


「魔術学院もそこそこだったはずだけど」


「そうなんですか?」


「紙は木の属性だから魔術で量産出来るし」


「つまりしりつとしょかんとやらは木の魔術を?」


「いや。単純に文明万歳」


 適当に古典作品を薦めて、僕は高認試験の勉強。


 ペン回しをしながら問題を解きほぐしていく。


「こっちの世界でも勉強は必要なんですね……こんなにも色々なモノが享受できる世界なのに……」


「この国は恵まれている方だよ。自殺者数は多いけどね」


「これ以上何を勉強するんですか?」


「お酒の席の四方山話に最適だとは聞いたかな?」


「ふぅん?」


 首を小気味よく傾げるジャンヌ。


 萌え。


 ――それにしても結界か。


 僕の思うところはそれだ。


 異世界とはまた別の意味での異界。


「ていうか、今までの能力から逆算するなら……」


 ――――――――。


「こうなるよね」


 静けさが場を支配した。


 結界だ。


 隣で本を読んでいたジャンヌもいつの間にか消えている。


 僕の憂慮そのままに……ブレインイーターは襲いかかってたのだ。


 結果に取り込む。


 ソレは宜しい。


 いやまったく宜しくはないんだけど……そこはツッコミが野暮ってことでスルーして……つまり静寂の空間に関係者だけを取り込む理論があるなら、「そもそも僕だけをジャンヌやカノンを排して呼ぶことも出来るのでは」……そんな仮説が成り立つのだ。


 モノの見事にドンピシャ。


 明日は雪か雷か。


「さすがに動揺はしてくれないんだね」


「そりゃ少しは慣れるよ」


 愛らしい少女がいた。


 黒髪だが、どこか西欧風の顔作り。


 着ている服はゴスロリで、ちょっと強めの自己主張。


 年齢は概算でローティーンか。


 おおよそイナフと同じ外見年齢。


 どちらもが、多分外見年齢相応の実際年齢を持っているわけではあるまい。


 片やエルフで片や魔導災害。


 オーラを飛ばす……伸ばすが正しいかな?


 視界内の幼女と、それから視界外に二体のチャイルド。


 脳を抉り取られているのでまず間違いないだろう。


 概算的幼女は無病息災で脳を抉られていないし会話も明瞭……要するに魔導災害で今回の肝……ブレインイーターその人なのだろう。


「悪魔って感じだよね」


「可愛くないかなぁ? 結構気に入ってるんだけど……」


「もしかして捕食した人間に擬態できるの?」


「擬態と言うより変態かな」


「たしかに変態だ」


「エッチって意味じゃないからね?」


「ご謙遜を」


 十分に君は変態さ。


「で、まぁ聞くのも野暮だけど、何故に僕を狙うの?」


「一目惚れ?」


 何故にクエスチョンマークが付く。


 いやそりゃ自分の心を自分で一律制御できるならロマンスなんて無いわけで……その意味で人間らしい人間味を備えているのは確かなのだろうけど。


「チャイルドを通して間接的に僕を観察していた……でいいのかな?」


「そんなところ」


「下手すりゃ死んでたよ?」


「脳さえ無事なら心丈夫。それに神在月の介入もあったし、神秘の検閲はたしかに働いているからね」


 ご尤も。


 そこでカノン……というか神在月の介入を見極めるための前哨戦だったわけだ。


「もう一人の赤髪の女の子は何?」


「パイロキネシスト」


 他に述べることもない。


 こと魔性の浄化に関しては、僕たちの中でも頭三つは抜けている。


 その意味でこっちと隔離したのは敵ながら天晴れ。


「で、脳味噌食べさせてくれる?」


「まさか頷くとは思ってないよね?」


「痛くはしないよ?」


 ――そういう問題でしょうか?


 我ながら真剣に考えてしまった。


 いかん。


 相手のペースに乗せられている気がする……。


「とりあえず敵で良いの?」


「想い人なんだけど」


「ふぅむ」


 だからって「脳味噌を食べさせてあげよう」には繋がらないんだけどなぁ。


 ――〇ンパンマンじゃあるまいし。


「自衛くらいは許してくれる?」


「やっぱりそう言うよねぇ」


 相手方も話し合いで解決とは思っていないようだ。


 当然の帰結。


「さて」


 想像創造。


 こちらの超常存在に希う。


 続くは世界宣言……正確には言霊開放か。


 願いを口にすることで、具体的な魔術の発露に指向性を与える。


「ファイヤーボール」


「ウォーターボール」


 火球と水球がぶつかった。


「うわお」


 そりゃ流石に驚きもする。


 こっちの放ったファイヤーボールに適応するかのように水の魔術を放って相殺させてしまったのだ。


 その技術の論拠が那辺にあるのかは、未熟な僕ではちょっと分からない。


「こんな図書館で火を使っちゃダメだよ?」


「留意しましょ」


 言葉遊びと分かっていても、何かしら無情にも感ずる今日この頃。


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