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忍術師と魔術師の異世界観光日和  作者: 揚羽常時
ブレインイーター
492/512

アナザーカウンター02


「結構稼げるんだね」


「場合が場合ですしねぇ。そもそも派遣社員……というか人材がそこまで多いわけでもないので、魔術師は希少価値を持ちますぅ」


 それはそうだろうけど。


「魔術は神秘ぃ。神性の秘匿ですぅ。ですからあまり手が回らないのも現状の問題ではありますねぇ」


「人員を増やそうとは考えないのかしら?」


 フィリアにしてみれば、そこが不思議らしい。


「先述したフィジカルネメシスを引き起こす可能性を防ぐためにも、魔術は秘匿されるべきモノですぅ」


 ――まぁ。


 そうカノンは肩をすくめる。


「もとより現象矛盾が異界反動の結果ですから、そもそも人類……というか文明に明るくならないのも必然なんですけどねぇ」


「現象矛盾」


「異界反動」


「結局そこに行き着くわけですぅ」


「さっきから何の話をしていますの?」


 ツヅラは、まぁ、スルーの方向で。


「お姉様方は異世界から来たんですよねぇ?」


「今更ですね」


 フォトンがクスリと笑う。


 深緑のおさげが揺れた。


「では異世界の成り立ちはぁ?」


「聞きましたよ」


「誰からぁ?」


「巫女」


「巫女ナース」


 ジョークのセンスが古い。


「ゴッドゲイザーと言っていましたか」


 ツナデが思い出す。


 日本の女子高生。


 突発的に神を観測する。


 そして、


『神の居る世界』


 と、


『神の居ない世界』


 の二つに世界を分けた存在。


 この場合はエヴェレット解釈だ。


 そして、前者の世界から、後者の世界へ……空間破却を用いて、僕とツナデは魔術的に帰ってきたわけだ。


 異世界ヒロインズも同行して。


「ゴッドゲイザーに会ったんですねぇ」


「ウーニャー。知ってるの?」


「パーソナルデータとしては知りませんよぅ」


 ハンズアップ。


 そりゃそうだ。


「けれどもゴッドゲイザーの存在自体は知っていますぅ。っていうか在る意味で……世界破滅の因子ですしぃ」


「異世界が?」


「ですねぇ」


 ツナデが食後の茶を淹れる。


 僕は薬効煙に火を点けた。


 煙を吸う。


「ヤルダバオトが世界を破滅させると?」


「ヤルダバオト……ぉ?」


「異世界の神だよ~」


 イナフが簡潔に。


「いえ、まぁ」


 ――ヤルダバオト。


 巫女はそう言っていた。


「神在月の字面の意味は知っていますかぁ?」


「出雲大社の旧暦十月だっけ?」


「ですぅ」


 その時期になると、八百万の神様が出雲大社に勢揃い……とのこと。


 宗教は金になるね。


「要するに神様はいっぱいいるんですよぉ」


「神様?」


 ジャンヌの首傾げ。


「神在月では超常存在と呼んでいますぅ」


「ちょうーじょーそんざい」


 ツヅラのポカン。


「神じゃダメなの?」


 僕が興味本位百パーセントで尋ねた。


「結構居ますので、神……と呼ぶには有り難みも無くぅ」


「つまり」


 煙をフーッと吐く。


「異世界のヤルダバオトと同格が、この世界には多数いると?」


「そう相成りますねぇ」


 軽やかにカノンは頷いた。


「で、その超常存在を崇めるのが魔術師と云うわけですぅ」


「ふーむ」


 茶を飲みながら、ツナデが思案。


「結局異世界にしてもこっちの産物と?」


「ですねぇ」


 飲茶。


「で、神在月としては、あまり超常存在を確定観測して欲しくないんですよぅ。ぶっちゃけはた迷惑な行為には違いないんですからぁ」


 確定観測。


 要するに、


「量子的に不安定な神様を観測することで確定」


 並びに、


「エヴェレット解釈による世界の複数化」


 を無くしたいわけだ。


「ウーニャー。何でー?」


 ウーニャーも不思議らしい。


「まず以て、世界の超常存在を減らす事が脅威ですのでぇ」


「?」


 僕らは揃って首を傾げた。


 ――何かマズいことをしましたか?


「その反動を異界反動……アナザーカウンターを呼ぶんですよ」


 さっきも聞いたね。


 異界反動アナザーカウンター


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