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忍術師と魔術師の異世界観光日和  作者: 揚羽常時
ある意味異世界観光
479/512

099 いい加減収集がつかなくなってまいりました


「というわけでツヅラと申します」


「なにが、というわけで?」


 異世界ヒロインズ……揃って口をへの字に歪め申しまして……。


 そりゃ怒るよね。


 うんざりするよね。


 妬み嫉みのルサンチマン。


 で、


「一緒に暮らすことになったから」


 僕は明後日を向いて吐く。


 とても目を合わせては、言えない言葉だ。


 色々と寿命が縮む……この場合は、残存生命としてではなく、突発的な乙女の感傷によって……である。


 無念。


「カノンはどうするのかな?」


 フィリアが尋ねた。


「あっちはツナデストーカーだから、まぁ合算は出来ないよ」


 そ~ゆ~問題でもなかろ~けども。


「マサムネ?」


「何か?」


 今度はツヅラだ。


「ハーレムの皆様方。髪の色がカラフルですね」


 深緑。


 利休鼠。


 金髪。


 虹色。


 水色。


 赤色。


 まぁ多種多様だ。


「異世界人だからね」


「ジョークなら外してますよ」


「信じられないのも無理ないか」


 別に説得するつもりも無い。


「ウーニャー。パパの頭に乗っていい?」


「構わないよ」


 そんな感じでウーニャーがドラゴンに変じて、僕の頭までパタパタと飛び、ポスッと収まって、尻尾ペシペシ。


 僕は、何時もの如く、薬効煙を加えて火を点ける。


「えぇえ?」


 さすがにドラゴンは見たことないだろう。


 しかも人から変身。


 この場合は変態かな?


 かくあれかし。


「どういう理屈?」


「ドラゴン魔術。異世界では普通なんだけど、何故かコッチの世界でも使える。理屈は……仮説ならあるけど、別段興味もないかな」


「本気で?」


「正気を疑うなら精神神経科へどうぞ」


 皆菱財閥なら懇意にしている病院もありましょうぞ。


「ドラゴンって……」


「ま、そんなわけで、現代文明に慣れさせている最中」


「お兄様?」


「仕事は終わった?」


「ええ。滞りなく」


「良い良い」


「で、なんで護衛の対象を?」


「惚れられたんだからしょうがないでしょ」


「惚れたわけでは?」


「ないね」


「マサムネは意地悪ですわ」


「好きに見限ってくれて構わないから」


 そこは然る者追わず。


 パンと一拍。


 仕切り直し。


「で、今日の昼食は?」


「カレーです」


 まぁ大勢での食事なら安パイか。


「皆菱会長は何と仰って?」


 えー。


 その話引っ張るの?


「頑張れと」


「ツヅラ?」


「頑張りますわ」


「はぁ……」


 ツナデの溜め息。


 さて、じゃあ今度こそで。


「材料は? 散歩がてら買ってくるけど?」


「ではお願いします。ツナデも一緒に行きましょうか?」


「監督責任」


「でした」


 分かってて言ってるでしょ……ツナデ……。


「さてそうなると……」


 乙女たちに視線をやる。


「一緒について行きたい人」


「「「「「はい!」」」」」


 全員挙手で。


「中々難儀な御機嫌で」


「お兄様のせいですよ?」


「ソレ言わないで。胸に来る」


「ツナデは何処までも味方ですから」


「ありがとね」


 謝辞。


「ところでツヅラは学校は良いので?」


 お嬢様学校とは少し離れている。


 決して通えない距離じゃ無いけど。


「車の送迎ですから問題ありませんわ。むしろマンション地帯より、此方の方がのどかで車も安心して走らせられるとドライバーが」


 ならいいけど。


「にしても皆菱ツヅラ……ね」


「資金と権力には一応のバックアップは期待しても宜しいので?」


「そこはまぁ。他に取り柄もありませんし」


「じゃ、そゆことで」


 此度の議論はお終いでお願いします。


 本当に心臓に悪い。


 不貞不貞しさは失っていないけど、ヒロインの存在圧は、時に不機嫌の低下と共に台風を発生させる。


 南無。


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