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忍術師と魔術師の異世界観光日和  作者: 揚羽常時
ある意味異世界観光
473/512

093 ぞんざいな扱い


「あー、疲れた」


「ウーニャー」


 僕とウーニャーはカーペットに倒れこんだ。


 三十階建ての億ション最上階。


 フワフワのカーペットは、我が家のものと比べてしまえば、敗北と苦渋に満ちてしまうほど、悪魔的だ。


 さすが金持ち。


「行きでも思ったけど徹底しているね」


 地下の駐車場で乗り降り。


 メンインブラックが警戒して、エレベーターに乗り、最上階へ。


 そこからはメイドさんたちが仕事をして、僕らは茶を飲める。


 ここなら早々狙撃もされない。


 まずツヅラを殺すのはうまくないしね。


「無無明」


 ゴロゴロ~。


「ウーニャー」


 ゴロゴロ~。


「本当にコイツらは……」


 半眼のツヅラでした。


「春もうららな良い頃合い。如何にお過ごしでしょうか?」


「ウーニャー」


「今更ツッコむのも疲れますわね」


「信用していないって奴? まぁたしかにやる気は足りないけど」


「忍者なら忍術とか使えないんですの?」


「使えますぞ」


「敵をやっつけるんですよね?」


「護衛するだけなので。無力化程度はしますけど……」


「なんか派手にハリウッドアクションばりな活躍は?」


「阿修羅にお願いしてください」


 三面六臂。


「つまらないですわね」


「人生万事天中殺」


 くあ、と欠伸。


「本当に貴方って殿方は……」


「目の付け所が眉の下でしょ?」


「わたくしを誰だと思っていますの? 皆菱ツヅラですわよ?」


「知ってる」


 資料は一通り読んだ。


「ふふ」


「?」


 むしろ笑われた。


 微笑……微笑みか。


「このわたくしをここまでぞんざいに扱う男性は初めてです」


「天は人の上に人を造らず」


「一周回って新鮮ですわね」


「光栄な栄光」


「マサムネはわたくしをどう思っていますの?」


「霊長類」


「本気なら殺しますわよ」


 やれるものならやってみろ……でしょうか?


「僕としてはそんなに危険視できないかなぁ。君より酷いヒロインは結構見てきたし」


 ていうか我が家の屋敷は多分一国と戦争できる。


「おモテになるのね」


「有り難いことに」


「……むぅ」


 何ゆえそこで不機嫌に?


「マサムネは帰るべき場所を持っていますのね」


「それも有り難いことに」


「わたくしなら幾らでも甘やかしてあげますわよ?」


「そ」


「そこでぞんざいになりますの?」


「何と申せば?」


「皆菱で養ってあげると言っているのです。感涙すべきでは?」


「そんな義理も持ってないし」


「ウーニャーも?」


「ウーニャー! ウーニャーはパパが好き」


「ロリコン……」


「……………………」


 …………ちょっと殺意湧いちゃった。


「要するに惚れたの?」


 ウーニャーの適確な串刺し。


「違いますわ。惚れる権利を与えようとしているだけです。誰がこんな奴」


 さいでっか。


「惚れて構いませんわよ? 魅力的でしょう?」


「ウチの妹の方がもっと可愛い」


 アレはアレで難儀だけど。


「シスコン」


「兄馬鹿程度だね」


 さほどのコンプレックスは持っていない。


 おかげでヒロインの関係性がごっちゃになってるけども。


「しかし財閥令嬢も大変そうだね。もっと肩の力を抜いて生きれば?」


「そう出来るなら、しますけど」


「生まれの業は選べないしね」


 勝ち組に産まれただけ幸福ではあろうけど。


「薄っぺらい仮面劇場ですわ。この世は」


「皆菱の御機嫌を取らないといけない立場だしね」


「貴方もですわよ」


「僕は例外」


「自分で仰います?」


「駄目かな?」


「本当に分かっているんですわよね? 貴方は光栄にもわたくし皆菱ツヅラの護衛を仕り、わたくしに恋する権利を与えられたもうた存在ですのよ?」


「うれしーなー」


「恋情がこもっていませんわ!」


「でも僕と恋仲になると他の乙女から刺されるよ?」


「皆菱と知って?」


「理解は出来ないだろうけどね」


「ウーニャー? 消す?」


 護衛対象を消してどうするのさ?


 ドラゴンブレスはガチでヤバい。


「じゃ、筋トレでもしますか」


「ウーニャー。ウーニャーも重しになる」


「いい子いい子」


「……………………」


 なんか珍味を見つめる外国人のような目でツヅラに見られました。


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