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樹の国01

 ナイフを持って襲い掛かってきた山賊の一人を迎え撃つ。


 振るわれるナイフをクナイで弾き返すと同時に懐に飛び込む。


 鳩尾に肘を埋め込み、


「がぁ……!」


 と呻く山賊の頭部を掴んで急激に引き降ろし、同時に膝蹴りを上部へと見舞う。


 山賊の顔面にモロに膝蹴りが入る形だ。


「つ……つよ……っ」


 折れた鼻骨から血を出しながら戦意を喪失する山賊の体を掴むと、


「…………!」


 僕は力を入れて立ち位置を反転させた。


 僕の背後から襲い掛かろうとした三人の山賊たちの刃物による斬撃は、仲間の体を傷つけるのだった。


 ドスッとかザクッと僕にやられた山賊が仲間の斬撃を受ける。


「ぎゃああああ!」


 と山賊の絶叫が聞こえてくる。


「「「っ!」」」


 三人の山賊が躊躇った。


 そしてその時には僕はもう動いていた。


 仲間に切られて絶叫をあげる山賊を蹴り飛ばして三人の山賊へと押しやると同時に、側面に回り込んで数の有利を無に帰す。


 つまり三人をいっしょくたに相手にするのでなくて……三人と一人ずつ戦う環境を整えたのだ。


 横一列に並んだ山賊の側面をつくことはそういう意味である。


 まず一人目の喉にクナイを少し刺す。


「ぐ……がぁ……!」


 出血。


 そして先ほどと同じく害した山賊と立場を入れ替える。


 次の瞬間、喉にクナイを刺された山賊は仲間の援護射撃である矢を体に受けて、


「げ……!」


 悲鳴を上げた。


 矢が飛んできたのは木々の陰からである。


 矢を射った山賊の動揺が僕の展開したオーラから伝わってくる。


 まぁ僕には関係ない事象だ。


 さらに次の山賊へと容赦なく襲い掛かる。


 仲間の血に濡れたナイフを持って呆然としている山賊の両目を潰す。


 ただしマンガみたいに二本指で突き刺したわけじゃない。


 ああいうのは素人さんの考えである。


 僕が行なったのは手刀を水平に繰り出すことだ。


 指先と爪が山賊の目を切り裂いて盲にするのだった。


「ぎゃあああああああ……!」


 目を押さえてうずくまる山賊を無視して三人目に向かう。


 三人目は既に精神的に立ち直っていた。


「死ね……!」


 と僕目掛けてナイフを振るうけど、どうあっても素人さんのナイフである。


 欠伸をしながらでも避けられる。


 ただしオーラで、隠れて弓を射る山賊の存在を探知し把握している僕は急激に身を低くしてみせた。


 目の前の山賊のナイフを避けると同時に矢が目の前の山賊に襲い掛かる。


 当然、


「ぐ……!」


 避けられるタイミングではない。


 胸に刺さった矢を信じられない眼で見る山賊の……その体勢を、正確には脚部を蹴って足払いを敢行する。


 倒れた山賊を蹴り飛ばす。


「……が……!」


 血を吐き呻いて山賊が気絶する。


 僕は筋力をフル稼働させると山賊の肉体を持ち上げて四方から襲い掛かる四人の山賊の一人目掛けて投げ飛ばす。


 それを受け止める山賊の一人。


 これで死角からの襲撃は無くなった。


 身をひるがえし、前方と左右からの同時攻撃に僕は対処する。


 左右の山賊はナイフを振るって僕に襲い掛かる。


 正面の山賊は斧を振りかぶった。


 僕は山賊の遺体を抱き留めた後方の山賊の方へとバックステップをする。


 それだけで襲ってきた三人の山賊を視界に捉えた。


 そして両手に持った二つのクナイを左右の山賊の筋肉に投擲する。


 時速二百キロを超える速度で俊敏にクナイが二人の山賊に突き刺さる。


 正面の山賊が斧を僕目掛けて振り下ろした。


 叩き割ったのは……僕の残像。


 僕は易々と斧を避けると、


「っ!」


 僕に向かって射られた矢を掴んで止める。


 木々の陰に隠れて僕に矢を射ってくる山賊の驚愕をオーラが正確に捉えた。


 さもあらん。


 僕にとっては朝飯前でも普通の人間には無理筋というものだ。


 そして握った矢で、斧を持った山賊の首に突き刺す。


「ぎ……あ……!」


 悲鳴をあげようとして吐血する山賊。


 それには一時的に意識を離し、僕はナイフを持った山賊二人の体に突き刺さっているクナイを回収する。


 ズバリと突き刺さったナイフを横に振って山賊の肉を切り裂き、ナイフを両手に再度装備する僕。


 ショックで気絶した二人の山賊には目をやらず、斧を持った山賊の首にクナイを突き刺す。


 それだけで斧を持った山賊はショック状態に至る。


 全ては一瞬の出来事だ。


 最後に後方の山賊に向かって構える僕。


「ま……待て……!」


 残っているのは目の前に捉えた……先ほどまで背後にいた山賊と、それから森の木々に隠れて矢を射ってくる山賊と、もう一人だけだ。


 そして目の前の山賊は明らかに僕という戦力に躊躇していた。


 すぐさまの暴力行為は無いだろうとタカをくくって僕はクナイを捨てると両手で印を結んで術名を発する。


「雷遁の術!」


 言葉は幻覚にとって代わり、目の前の山賊と木々の陰に隠れている山賊とを電気ショックで気絶に至らしめるのだった。


 まぁ幻覚なんだけどさ。

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