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忍術師と魔術師の異世界観光日和  作者: 揚羽常時
ある意味異世界観光
469/512

089 皆菱ツヅラ


 で、その日のうちにツヅラ氏の億ションへ。


「うーん。良いところに住んでおりますな」


 三十階建てのマンションの最上階。


 地震が起きたら死ぬね。


「ウーニャー?」


 ウーニャーは高層建築が珍しいらしい。


 まぁ三十階建ては中々見られない。


 カードキーでエントランスを抜ける。


 エレベーターで最上階へ。


 インターフォン。


『はい?』


「今日からツヅラ様の護衛となりましたマサムネと申します」


『…………』


 沈黙が漂った。


 ガチャリと扉が開かれる。


 黒髪黒眼の大和撫子。


 皆菱ツヅラだ。


「貴方がマサムネ?」


「さいですな」


 一応こっちのデータは閲覧してるはずだが……たしかにこんな若手が財閥令嬢の護衛もおかしな話だ。


「役に立つんでしょうね?」


「立たなかったら不幸ですね」


 別に命を賭して守るほどの対象でもない。


「ソレでやっていけるんですの?」


「相応の努力はしますよ」


 別段コッチもミッションインポッシブルを前提にはしていない……ていうかソレが前提ならそもそも話も振られていない。


「いいのですけど」


 不遜な声で彼女は言った。


「では失礼しても?」


「許可しますわ」


「ウーニャー!」


「こっちは?」


「名はウーニャー。護衛の一人」


「役に立つんですの?」


「まったく立たない」


 これも事実。


「じゃあなんで居るんですの?」


「世界平和のため」


「巫山戯て?」


「本気だけど」


 実際リードを握っていないと、こっちの方が不安だ。


「まぁ護衛してくれるならいいんですけど」


「微力を尽くします」


 そして部屋に入る。


「で、誰に狙われているんだ?」


「知りませんわ」


「会長と同じ事を言うのな」


「敵なんてそこいら中にいますもの」


 金持ちは金持ちで……相応の苦労を荷負うモノらしい。


「狙撃による警告はどう思っているので?」


「恐怖ですわ」


「さいでっか」


「防げるんでしょうね?」


「それはスナイパーに聞いた方が効率的でしょう」


 彼女……ツヅラは眉を寄せた。


「何か?」


「よくまぁズケズケと申しますわね」


「不興を買って?」


「いえ、むしろ心地よいですわ。こちらにヘコヘコしない人材というのも物珍しいですし。それだけの何かが貴方にあるのでしょう」


「さほど大層なモノはありませんが」


 謙虚ではなくそう思う。


「使用人は居ないので?」


「隣の部屋に陣取ってますわよ。幾ら何でもプライベートスペースには入れませんわ」


「僕は入ってるんだけど」


「最悪を備えて……ですわね」


「別に殺されても問題なしか」


「ありますわよ」


「そっちの都合では……でしょう?」


「ウーニャー!」


「…………そうですわね」


 半眼で睨まれ申した。


 一瞬だけオーラを展開する。


「盗聴器は無し……か」


「何で断言できますの?」


「企業秘密」


 殊更説明することでもない。


「ウーニャー!」


 ウーニャーは元気そうだ。


「身を委ねて良いのですよね?」


「護衛として相応の努力はしますよ」


「それが不安を呼びますわ」


「駄目だったら……まぁ化けて出てください」


「そうしますわね」


 真っ先に呪い殺す。


 ツヅラはそう言った。


「お爺様にも迷惑掛けていますわ」


「向こうも孫娘に心を砕いていますよ」


「ですか」


 嘆息。


「とりあえず」


 とは僕。


「さすがに三十階の部屋を狙撃は出来ないでしょう」


「そのために此処に居ますわ」


「じゃ、ここではどうにでもと」


「そう相成りますわね」


「問題は学園でしょうか」


 お嬢様学校。


 ツヅラはそこの生徒でした。


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