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忍術師と魔術師の異世界観光日和  作者: 揚羽常時
ある意味異世界観光
459/512

079 湯豆腐


「はむ」


「はむり」


「はむ……」


「はむはむ」


「はむね」


「はむです」


 そんな感想。


 湯豆腐を口にして。


「ウーニャー! 良い匂い!」


「えとぉ」


 カノンがウーニャーを見る。


「ドラゴン?」


「です」


「です……」


「ですね」


「だね!」


「ウーニャー!」


「よねぇ」


「他にありませんし」


 袋だたき。


 一応隠すべきかとも思ったけど……まぁ一人に知られたくらいで、拡散する話題でも無いだろうと……結果放置しているわけで。


「はぁ」


 とカノン。


 栗色の瞳が揺れる。


「ドラゴン……」


 思案するようなカノン。


「何処で見つけたのでぇ?」


「インドの山奥です」


 ツナデは清々しいまでに嘘を吐く。


 たしかに、


「異世界に行ってました」


 は通じないけども……もうちょっとこう……特撮染みた言い訳をしなくても、論弁で誤魔化す程度のことは期待できたのよ……?


 マジで。


「それで湯豆腐の味は?」


「お姉様の愛を感じますぅ」


「お兄様は?」


「心砕きを感じるね」


「愛は?」


「それを僕に求めるの?」


「イッツお兄様ラブですから」


「カノンさんが愛してるってさ」


「ですぅ! お姉様の伴侶には私ことカノンが相応しいと思いますぅ! ぶっちゃけ男なんて性欲の塊で、抱かせてくれるなら誰でも良いんですよぅ!」


 ソレも否定できない。


「実際抱いたでしょぅ? ハーレムをぉ?」


 湯豆腐パクリ。


 うむ。


 暖まる。


「マサムネ様は誰も抱いていませんよ?」


「それが……難題……」


「だね!」


「ウーニャー!」


「お姉さんはそんなに魅力無いかしら?」


「えと。そう言う問題でも」


「……………………」


 カノンが不審げに僕を睨む。


「ガチでぇ?」


「何が?」


「こんなに美少女に囲まれて、手を出していないのぉ?」


「証言通りに」


 湯豆腐をハムリ。


 ダシが利いている。


 ついでに紅葉おろしも。


「ゲイ?」


「ソレも聞いた」


 そんな趣味は無い。


 女の子で十分だ。


 殊更男色に奔る余裕も無い……と言えば、ある種傲慢で、そっち方向の人に対する侮蔑にも取られかねないけども。


「単に責任が取れないから抱いてないだけ」


「責任なんて要りませんのに……」


 ツナデは悔しそうだ。


 これも何時ものこと。


「私だったらツナデお姉様に抱かれて仕上げますよぅ! ぶっちゃけたはなし抱いてください! 色々と社会勉強にもなりますしぃ!」


「謹んでごめんなさい」


 丁寧に介錯をするツナデだった。


「そんなにマサムネが良いんですかぁ!」


「お兄様は私の全てです」


「ついでに私の全てで」


 フォトンが追従する。


「リリアの全てで……」


「イナフの全てで……」


「ウーニャー!」


「お姉さんも愛してるし」


「私もです」


 ヒロイン勢揃いで意見一致。


 いやぁ。


 モテる男は大変だ。


 ぶっちゃけ大変なのは、ある意味でヒロインたちの方だろうけど……そこはやぶ蛇になるので突っつかないのが健全な処方。


「む……ぐ……」


 悔しげなカノン。


「とりあえず湯豆腐でもどう?」


 よそってあげる。


「美味しいですぅ!」


 ソレは良かった。


 心底から。


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