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忍術師と魔術師の異世界観光日和  作者: 揚羽常時
ある意味異世界観光
455/512

075 朝風呂


「ふい」


 風呂に入っていました。


 リリアとフィリアと一緒に。


 トライデントでお湯を注ぐ。


 一瞬で風呂が張られます。


「やっぱり反応しないのね」


「心は反応してるけどね」


「あら。嬉しい」


 ころころとフィリアは笑った。


「あう……」


 リリアの方は赤面して純情だ。


 とても可愛らしい。


「リリア?」


「なん……でしょう……?」


「高得点」


 利休鼠を優しく撫でる。


「あら、控えめなタイプが好み?」


 フィリアの視線が奔る。


「そだね」


 別に隠してどうなるものでもないし……実際にリリアは純情で、恥じらいを持って、愛らしいし……貪欲な他のヒロインよりも男心をくすぐるのは……まぁ致し方ないと申しますか。


「でもお姉さんのおかげで朝風呂に入れているのよ?」


「そこは感謝」


「じゃあおっぱい揉んで?」


「絶対いや」


「あら」


 クスッとフィリアが笑った。


「前回は揉んでくれたじゃない」


「いやまぁ揉めますよ? けれど今度はツナデと揉める」


「あの子は怖いわね」


 それは全面的に同意。


「そ……ですか……?」


 首を傾げるリリア。


 此奴は本当に乙女だ。


 羊の皮を被った羊。


 純情。


 可憐。


 処女にして天衣無縫。


「可愛い!」


 ヒシッと抱きしめる。


「はぅあ……! あわわ……!」


 赤面するリリア。


 その愛らしさ限界突破。


「僕と結婚しない?」


「出来るの……?」


「今は無理!」


 実際無理だ。


 ていうか結婚するにも手続きがいる。


 リリアは戸籍を持っていない。


「お姉さんとは?」


「妾で宜しく」


「いいわね」


 いいんかい……。


 心中ツッコミ。


「お姉さんとしては、フォトンちゃんとツナデちゃんが有力とみてるけど?」


「当たり」


「ふえ……」


「リリアも可愛いけどね!」


 ギュッ。


 スリスリ。


 ほっぺたでほっぺたを擦る。


「あぅあぅあ……っ」


「可愛いなぁ。可愛いなぁ」


 水着着用だけども。


 正直、性的に興奮する。


 シャドーボクシング後で良かった。


 ヒュッヒュ!


 ツー、ワンツー!


「えへへ……」


 リリアは忍ぶ様に笑った。


 それがちょっと悔しい。


 リリアはコンプレックスの塊だ。


 あくまで、


「――リリアの自己評価に限れば」


 と注釈は付くけども。


 自分を低く見る。


 虐げられても自分の責任と割り切る。


 いや、自分に押し付ける……が正しいか。


 正しさがねじ曲っているのだ。


 僕は知っている。


 知らざるを得ない。


 ――あるいはソレを人は共感と呼ぶのか。


 自分が矮小で、自分が酷く惨めで、だからある意味で不幸を招き寄せたのは自分で……ソレを人のせいにするのは間違っている。


 そこが根幹。


 加当の家で僕が学んだことを、リリアは異世界で学んだのだろう。


 卑屈。


 謙虚。


 何と言ってもいいんだけど……それが彼女を苦しめるのなら、分かってあげられるのは僕だけで、その意味でリリアのヒロイン性は高いだろう。


「納得いかないわ」


 フィリアのツッコミ。


 無論知ったこっちゃござんせん。


「マサムネは……リリアを好きですか……?」


「大好きだよ」


 優しい言葉は同情かも知れない。


 けれど否定も能わざりし。


「きっと大丈夫。世界が君に優しくなくても、僕が君に優しくする」


「はい……信じます……」


「むぅ」


 フィリア不満はスルーの方向で。


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