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忍術師と魔術師の異世界観光日和  作者: 揚羽常時
ある意味異世界観光
454/512

074 そりゃね、まぁね


「こんなことに……」


 今日はリビングで寝ることになった。


 乙女たちの発案だ。


 布団を寄せ集めて、夜会。


 フィリアは酒を飲んでいた。


 どうやら缶ビールが気に入ったらしい。


「あとでちゃんと歯磨きすること」


 一応忠告する。


「で、結局何の催し?」


「マサムネ様を独り占めするのは、理屈的に無理筋ですから」


 そりゃね。


 まぁね。


「マサムネの……共有財産化……」


 ああ。


 なるほど。


「それで皆一緒に?」


「そう相成るね!」


 イナフは元気いっぱい。


「こゆのを悪平等って言うんだっけ?」


「妥協の産物ではありますね」


 嘆息。


 後にツナデが吐き捨てた。


 まぁ気持ちは分からないけど、想像するに、自分だけのお兄様でいられない現状が歯痒いのは、ツナデの因業と言えるだろう。


 実際問題、


 ――僕がツナデを本当に選ぶのか?


 それすら定かではない。


「ウーニャー! ウーニャーはパパと寝られて幸せ!」


 珍しく人型のウーニャーだった。


 虹色の髪を振り乱し、僕に抱きつく。


「いいんだけどさ」


 ウーニャーに関しては今更だ。


 何をするでもなし。


「ウーニャーちゃんはマサムネちゃんに近寄りすぎよ?」


「フィリアまで」


「ちょっと酔ってるかも」


「程々にね」


 僕も薬効煙を吸いたい気分だったけど、寝たばこと一緒で火災の原因になるので、この場では自重を己に課した。


 向こうでは幾らでも吸えたんだけど、こっちの世界ではあまり吸う機会も無いというか、確実に回数が減っている。


 そりゃね。


 まぁね。


 合法とはいえ、傍目にはタバコを吸っているようなモノだ。


 警察に見つかればしょっ引かれるだろう。


 脱法ハーブの関連もあるし、最終的に無罪にはなるけど、面倒はゴメンだ。


 要するに責任の問題。


「じゃ、電気消すよ」


 ピッとリモコン。


「おお」


 とイナフの感動。


 まだリモコンの利便性には驚くらしい。


 新鮮なのは、良い事だ。


「……………………」


「ウーニャー」


 布団に寝っ転がる。


 夜目は利いている。


 両隣はツナデとイナフ。


 フォトンとリリアが良かったんだけど。


 一番理性ある乙女だ。


 いや、挑発はされ申しましたけども。


 善悪の観念がしっかりしてると言いますか。


「お兄様……っ」


 ルンと弾む声。


「勝手に入ってこないの」


 僕の布団に。


「あん」


「何の嬌声!?」


 イナフが驚く。


「場外乱闘」


 端的に僕が答えた。


「で、結局パジャマパーティがしたいなら、男の僕は外れるべきでは?」


「でも恋バナしても、お兄様が格好良いとか、お兄様が優しいとか、お兄様とエッチしたいとか……そんな話にしかなりませんし……」


「なんて非生産的な乙女たち……」


「生産的ですよ?」


 子どもが出来るからね!


 知ってるから踏み出せないのよ。


「避妊すれば良いじゃないですか?」


 フォトンの言。


「膣外射精は避妊とは言わない」


 コンドームとか知らないでしょ?


「コンドームとか……」


 知ってるの!?


「恋愛に関して調べる過程で……」


「あんまり危ないサイトに行かないでね……」


「一応留意はしていますけど」


「ウーニャー? ウーニャー?」


「ウーニャーはまだ知らなくていいこと」


「ウーニャー!」


 ギュッと抱きしめられる。


「いい子いい子」


 頭を撫でる。


「フィリアとジャンヌは良いの?」


「お姉さんとしても一緒に寝たくはあるわね」


「私もです」


「結局ハーレムですよね」


 ツナデは黙らっしゃい。


「でもお兄様に否定できますか?」


「黙秘権を行使します」


 肯定したくないんだけど、否定も出来ないわけで。


 そりゃね。


 まぁね。


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