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忍術師と魔術師の異世界観光日和  作者: 揚羽常時
ある意味異世界観光
450/512

070 微睡んで


「くあ……」


 欠伸を一つ。


 僕はテレビゲームをしていた。


 朝の時分。


「こちらがこうで、時間にするなら――」


 珍しくツナデが朝から家に居た。


 キッチンとダイニングは慌ただしい。


 ヒロインたちが右往左往。


 僕はウーニャーを頭に乗っけて、イナフとゲームで協力プレイして、モビルスーツでモビルスーツを撃破する。


 さて、


「微睡み~」


 眠い。


 僕だけらしい。


 キッチンからは良い匂い。


「ウーニャー」


 尻尾ペシペシ。


「……………………」


 僕は薬効煙を吸っていた。


 ハーブの香りが漂う。


 ポチポチ。


 コントローラーを操作する。


「お兄ちゃん上手いね?」


「一日の長」


 他に無い。


 大型モビルアーマーを撃墜する。


「火を止めてください」


 ツナデの檄が飛ぶ。


 何をしているかと言えば昼食の準備。


 春らしい。


 ちょっと遅い気もするけど。


 けれどイベントはテンション上げないとね。


「くあ」


「眠そう」


「眠い」


 それも事実。


「ま、朝食は取ったし」


 コーヒーも飲んでるし。


「その内、目を覚ますでしょ」


「お兄ちゃんはソレでよくゲームできるね……」


「神経使わないし」


 それも事実だ。


「アクションゲーは苦手でも無いしね。フレーム単位の判断は出来ないけど、まぁそれなりに昔取った杵柄でもあるし」


 ゲームは現実を忘れられるので、良いツール。


 ある種の接待とも言える。


「ウーニャー……」


 ウーニャーも眠そうだ。


 けれど尻尾ペシペシは止めない。


 そんな感じでゲームは進む。


 それからツナデは外出した。


 仕事ではない。


 買い出しだ。


 春爛漫。


「……………………」


 コントローラー、ポチポチ。


「うーん。ジャスタウェイ」


「うわお。難易度最高をクリアしちゃったよ」


 イナフには驚くことらしい。


 別に良いけどね。


 暇潰しだし。


「もうちょっとイナフには修行が必要かな?」


「お兄ちゃんのレベル?」


「上には上が居るんだけどね」


「そなの?」


「さいですさいです」


 一応付け焼き刃だ。


 僕の技術は。


「うう。難しい」


「先に言っておくけど……ゲームが上手くなっても利益は無いよ? いや利益なんて要らないんだけど、もうちょっと生産的なこともできるし」


「ゲーム駄目?」


「いえいえ。楽しむことは良い事です」


 ただソレが非生産的なだけで。


「ウーニャー……ウーニャーも?」


「まぁそうだね」


「でも楽しいよ」


「楽しくないと売れないし」


 それも事実。


「ゲーム企画も大変だね」


「グダグダとか」


「たしかにゲームだけども」


 なんだかなぁ。


「南無八幡大菩薩」


 パンと合掌。


 そして欠伸。


 春に微睡んで。


 春眠暁を覚えず。


 春は眠りの季節だ。


「で、結局だけど」


 僕はキッチン組に尋ねた。


「料理は出来てるの?」


「はい」


 フォトンがはにかんで頷いた。


「そ」


 ソレなら良いんだけど。


「期待してるよ。プレッシャーになるかもしれないけど……まぁそこは気合いや根性、勇気と知恵で乗り越えて」


「美味しいって言って貰えるように頑張ります」


「期待大」


 紛う事なき本音だ。


 基礎として、そこに意思の那辺がある。


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