069 なんか度々見た光景
「ふい~」
「です~」
入浴。
なんか順次やっているみたいだけど、今日もです。
今日はジャンヌと。
もちろん水着着用。
「嬉しいです」
「僕との入浴が?」
「ええ」
「然程の存在かね?」
「きっと皆幸せですよ」
そうだといいけどね。
「ジャンヌも貸し借りとか気にしなくて良いからね? それにジャンヌを助けたのは実質的にフォトンだよ」
「ええ。無限復元。とても助かりました。あれこそ神のお導きでありましょうぞ。フォトン様がいなければ、私はまだあの国に縛られていましたし」
「じゃあフォトンとお風呂に入らないの?」
「マサムネ様は意地悪です」
「気付いていないフリは得意な方だけど」
「自覚があるのも困りものですね」
「自己評価は低い方で」
「……………………」
「なんで女の子たちが僕に惚れるのか。これはテーゼだよ」
「自分は見えませんしね」
「それもあるね」
実際僕は彼女らの心も読めない。
自分が彼女らにどう映っているのかも知らない。
――けれど乙女が「好き」を間違えることがあるのか?
そこもまた世界の不思議だ。
「一応言っとくけど……抱く気は無いからね?」
「同性趣味じゃ無いですよね?」
「さすがに不名誉」
んなわけあるかい。
「にゃ~」
ギュッと抱きしめられる。
「意外と大胆だね。ジャンヌ……」
「ここではヒロインの目がありませんので」
「そだけど」
ギュギュッと抱きしめられる。
ちょっと強い抱擁。
「お湯を沸かせるのは強みだよね」
別にトライデントでお湯は出せるけど、ジャンヌと入ると温度維持にも一役買ってくれるのは嬉しい誤算……というとジャンヌに失礼か。
「五右衛門風呂にしますか?」
「一人でどうぞ」
スマホを得てから、異世界ヒロインズの知識促進が甚だしい。
「良いお湯ですね」
「それね。まぁね」
「エッチな気分には?」
「なるけど。それを聞きますか」
「でも抱かないんですよね」
「その通り」
「責任が取れない……というだけで性欲のタガが外れないのは、青春男児として、あまりに無理がありませんか?」
「紳士だから」
「枯れるには早いと思いますけど」
「ハーレム作っても良いけどさ」
「作りましょう!」
「ジャンヌはそれで良いので?」
「だってフォトン様やツナデ様には敵いそうにありませんし」
……よく見てる。
それは覚れた。
「マサムネ様はズルい御方です」
「見限ってくれて良いよ」
「だからズルいって言うんです!」
へぇへ。
「嫌ってくれるくらいで丁度良いんだけど」
「ギスギスしますよ」
「いいんじゃない?」
別に万人に好かれようとは思っていない。
「うー!」
「にゃー」
ギュギュギュッと抱きしめられる。
そろそろ乳圧がキツい頃合い。
理性にも限度はある。
「股間は冷静ですね」
さすがにね。
ここで流されると一生モノだ。
ソレをヒロインが一人も残らず望んでいる…………っていうのが、僕的にはあまりに度し難い環境……あるいは状況か……ではあるんだけども。
「マサムネ様はヘタレです」
「はっはっは」
反論の余地も無い。
正解に限りなく近いのだった。
とは言っても、条例違反を犯す愚も無いけど。
「私ではエッチに不足ですか?」
「綺麗な身体でいてください」
「特殊プレイも出来ますよ?」
「裸で犬耳と尻尾をつけて外の散歩とか?」
「マサムネ様がリードを握ってくれるなら」
ダメだこいつ。
早く何とかしないと。
「えへへ」
笑うところ?
少しの疑念。
「おしっこも管理してくれますか」
「トイレに行け」
「つまんないです」
「そんなプレイはあり申さず」
「たしかに結構ノーマルですよね。マサムネ様」
「乙女の扱いは砂糖菓子のように」
繊細で噛みがたく……ほころんで甘い。
それが乙女でしょう?




