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忍術師と魔術師の異世界観光日和  作者: 揚羽常時
ある意味異世界観光
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063 薬効煙


 プカーッと。


 薬効煙を吸っていた。


 縁側でのこと。


 春の月を見ながら、のんびりダラダラ。


「ウーニャー……」


 ウーニャーも……珍しく頭に乗っていて、ペシ、ペシ、ペシ、と断続的に僕の後頭部を尻尾で叩く。


「ぶっちゃけパパは誰が好きなの?」


「ウーニャー」


「ウーニャー! ウーニャーもパパ好き」


「嬉しいね」


 縁側で月を見ながら薬効煙を吸う。


「でもれんあい……だっけ? そんな感じじゃないでしょ?」


「そりゃまウーニャーを恋愛対象には見られないかな?」


「ウーニャー……」


「可愛いんだけど」


「本当?」


 コッチを覗き込むような虹色の虹彩。


 人型のロリっ子に変身して、頭をカーブして覗き込んでいた。


「人型になるときは頭から下りて」


「はーい」


 そんなわけでウーニャーはチョコンと隣に座った。


「ツナデは大丈夫なの?」


「仕事は上手くいってるみたいだけど」


「ちょーほー活動って大事なの?」


「そりゃね。情報は素早く適確に」


 国際情勢の基礎だ。


 ある意味で、軍事力の次に来る。


 ツナデの今の席はカウンターインテリジェンスだろうけども。


 フーッと煙を吐く。


「何でツナデが?」


「日本には諜報機関がないからなぁ」


 おかげで忍の家系が飯を食えるわけだけど。


「それにしても……か」


「お兄ちゃんならもっと出来るんじゃない?」


「否定はしないよ」


 鍛えられた。


 そこは違いない。


「けれど傍に諜報機関員を置くときは、その人間が全面的に信頼される必要があるからね。くだらないしがらみだけど、僕の血は混じっていない」


 あるいはソレがツナデにとっての救いなのか。


 そこはちょっと、わからない。


 いや、正確じゃないね。


 分からないフリをして接している。


「パパはツナデを大事にしてるよ」


「そう思う?」


「見る目が優しいもん」


「そこまで分かるんだ」


 ドラゴンの知性も馬鹿にできない。


「まぁね。僕にとってツナデは大事な人。でもそれはツナデに限った話じゃない。フォトンやウーニャーだって大事だよ」


「ウーニャーたちも?」


「嫌そうな目をしてる?」


「してない……ね」


「……………………」


 薬効煙をプカプカ。


「ウーニャー」


 ウーニャーは鳴いた。


「じゃあウーニャーとエッチなコトする」


「全力でお断り」


 条例違反どころじゃない。


 過去最大級の女児暴行だ。


 多分ソレだけで、僕の立場は死ぬ。


 あるいは心ごと。


「でもウーニャー何にもしてないし」


「別に能動的になれとは言わないよ」


 プカプカ。


「好きなように過ごして構わないから。フォローが必要ならするし、学びたいことがあるなら援助もする」


「学校とか?」


「小学校に途中編入ね……」


 まず以て異世界ヒロインズは戸籍を持ってないんだけど。


 うーん。


 どうしたものか。


 ちなみにスマホの契約は、ツナデ名義だ。


「なんなら勉強する?」


「ウーニャー。いいかもね」


 宜しいらしい。


 殊に特殊な物でもない。


 基本誰でもやっていること。


 ちょっと某ロボットアニメのエンディングテーマを歌いたくなった。


 いいけどさ。


 薬効煙を吸って吐く。


「こっちでは魔術使えないのに薬効煙はあるんだね」


「元々コッチの世界の物だしね」


 タバコと違って税金も掛からないし。


 脱法ハーブとは違い、安全性の高い商品だ。


 御庭番や伊賀甲賀や風魔に霧隠にも商売している老舗だ。


 所謂、


「忍の嗜み」


 と言えよう。


「ウーニャー。ハーブの匂いが芳しいね」


「一種のアロマテラピーかな」


 匂いは実感して肉体に影響を及ぼす。


 その意味で薬効煙は有効だ。


 某スパイ系のテレビゲームでも、狙撃をするときに精神安定剤を必要とした。


 僕はスナイパーライフルを使えないけど、オーラを使うにあたり、精神を凪にする手法は、その有用性を認めざる能わず。


「クスリっていうと危険な香りがするけど」


「別に害は無いかな」


 どこまで行っても精神安定剤だ。


 南無八幡大菩薩。


「ウーニャーも吸える?」


 必要ないでしょ。


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