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忍術師と魔術師の異世界観光日和  作者: 揚羽常時
ある意味異世界観光
437/512

057 型稽古


「――――――――」


 僕は道場で型稽古をしていた。


 武闘の基礎だ。


 数千数万の型の動きを、身に染み入らせる。


「良くやるわね」


 フィリアが苦笑を浮かべた。


「まぁ。何時ものことだけどね」


「こっちの世界は安全じゃないの?」


「世界って言うか国がだけど」


 地獄にも等しい国際情勢はあるわけで。


 というかある種、ツナデも危ない橋を渡っている。


 あの身体で、筋肉を搭載しているのだ。


 どれほど至高の身体をしているのか。


 その証左とも呼べよう。


「おかげであっちの世界で会えたわけだから、お姉さんとしても強くは言えないけど……一日中やるつもりなの? その訓練?」


「んにゃんにゃ」


 素振りフリフリ。


「休憩しないと筋肉が強くならないし」


「じゃあ休息はとるのね?」


「だね」


 型稽古をしながら。


「じゃあお昼御飯食べたらお出かけしない」


「構わないけど」


 汗が滲む。


 あまり長物は得手じゃないけど、基本は身につくのだ。


「お姉さん、秋葉原に行ってみたいわ」


「何処でその情報を?」


「ネット見たらいつの間にか」


 オタク系のサイトを回ったのだろうか?


「スマホでも時折目にするし」


「ぐだぐだしてる?」


「少しね」


 時間の空費はソシャゲの良いところ。


「で、アキバね」


 さて、どうしたものか。


「何か目的が?」


「えーと……なんだっけ?」


 何か言葉を探しているらしい。


「うー」


 とか、


「むー」


 とか悩んだ後、


「聖地巡礼……って言うんでしょ?」


「なるほど」


 本来の意味ではない。


 俗事の意味でもない。


 本来の聖地巡礼なら、普通に文化的活動だ。


 俗事の意味でならサブカルの舞台を巡礼。


 秋葉原は、たしかにオタクの聖地なので、一種巡礼ではあろうけども。


「なんか楽しそうな街じゃない?」


「否定はしないよ」


 竹刀フリフリ。


「パソコンのゲームとか売ってるんでしょ?」


「そりゃま」


 別にアキバに行かなくても売ってるけども。


 ノーマルも十八禁も。


「あと電気関係?」


 元々そっちが主流だしね。


「パソコンとか売ってないの?」


「売ってございます」


「買える?」


「そりゃね」


 その程度は端金。


「うーん」


 何悩んでるか知らないけど。


「結構色々あるよ?」


「楽しみね」


「電車の乗り方は分かる?」


「調べはしたけど……」


 百聞か。


 たしかに。


「実際に乗ってみるのが一番か」


 ヒュンと回転。


 竹刀による薙ぎの一撃。


 その回転にあわせて、汗が飛び散った。


「わお」


 軽業だ。


「じゃあ雑巾掛けだね」


 そんなわけで後始末。


「昼食がてらにでも出かける?」


「都合は大丈夫かしら?」


「こっちは問題ないよ」


 雑巾掛け~。


「昼食はどうするの?」


「オムライス!」


「おむらいす?」


「スマホで調べてみると良いよ」


「いいけど」


 そんな感じ。


「それにしてもイナフちゃんもそうだけど、どうやったらそんなにストイックになれるのかしら。お姉さん感心……」


「まぁ幾ら鍛えてもトライデントには敵わないんだけどね」


「不意打ちすれば?」


「フィリアが敵方に回れば考慮しましょ」


「お姉さんはマサムネちゃんの味方よ?」


「そう言いますよね」


「本音なんだけど」


 それは知ってござんす。


「砂漠の緑化から始めましょうか」


「生産的ね」


「それがトライデントなら叶うからね。ところで」


「はいはい」


「汗掻いたからお風呂に入りたい。入れてくれる?」


「お姉さんに任せなさい」


 ウィンクするフィリアでした。


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