052 電気店
そんなわけで到着。
近場にある大型電気店だ。
一階が駐車場で、二階からが本店。
「動く階段……」
エスカレーターね。
「乗るのに資格とか要るの? お金払わなきゃいけない系? はっ! まさかドレスコードとか……」
「必要ございません。ていうかエスカレーターにドレスコード在ったら商業的に立ち行かなくなるから」
僕は先に乗る。
ウィーンと上階へ運ばれる。
「待ってお兄ちゃん」
オドオドと彼女。
内装もまた煌びやかで、目に痛い。
中々見られない光景だろう。
「すご……」
とは気後れしたイナフの言葉。
けれど気持ちは分かる。
雑貨店とかもそうだけど、大型の店って何処かダンジョンの冒険に似る。
ありとあらゆるものが集まり、集合となし、しかも値段がついてこっちの購買欲に意識を向けさせるのだからお宝有りきのダンジョンとも言えようぞ。
いやモンスター出ないけど。
そげなわけで人が集まり、歩き、ざわめく。
「あ、スマホ」
最初に目に入ったのは携帯会社のスペースだ。
「ふぅん?」
――此処で買ったのか?
そう思ったのだろう。
「じゃあまずは」
「ゲーム?」
「マッサージチェアだね。基本的に僕は電気屋に行くと利用してしまう。あれは錬金術の産物だよ。あるいは悪魔と契約したのか」
「悪魔いるの?」
「いないけど」
そこはまぁツッコミ不可で。
「マッサージチェア……」
戦慄する彼女でした。
いや。
たしかに誇張しすぎたけども。
とりあえずはスペースに向かい、座る。
リモコンで操作。
イナフもリモコンには理解がある。
「肩と腰と足?」
「色々と揉みほぐしてくれるよ」
「じゃあ入力」
機械音。
ついでマッサージ。
「ああ。生き返る」
「おー、気持ちいいね」
二人揃ってゆったりゆらゆら。
悪魔の所業だ。
知恵の実万歳。
「あー」
「いー」
「うー」
「おー」
そんなわけで凝りを解して、ゲームコーナーへ。
「ここがパラダイス……」
マッサージチェア以上に、イナフには衝撃的だったらしい。
「パソゲーもあるのか……。ちょっと見ていくのもいいかな?」
ネットのサバゲーだったり色々と。
「モビルスーツの奴にも色々あるんですね」
イナフがハマっているのはアクションゲームだけど、他にもシミュレーション系列や、同じアクションゲームでも仕様の違う物はある。
「モビルスーツ……奥が深いです……」
「今日の処は二つか三つにしておけば? どうせプレイは集中するし、一気に買っても積むだけだよ?」
「ですね。では選別します」
ご随意に。
お金を渡しておく。
二万もあれば買えるでしょ。
それからパソゲーを眺め、
「プラモデルか」
そっちもあった。
結局何でもあるのだ。
大型の電気店は。
「どっちかってーと量産型かな~」
僕の好みとしては。
適当に見やりながら箱をとる。
「イングラムは量産型に入るのかな?」
多分違う気がする。
実際AVって名称に入ってるし。
「わお」
とはイナフの声。
僕を探していたのだろう。
そしてプラモデルの山を見つめて、感激の御様子。
「何コレ?」
「ガンプラ」
「モビルスーツ?」
「だね」
「玩具?」
「その認識で間違ってないよ」
「人形みたいな?」
「組み立てる形式をとるんだけど」
「組み立て」
「何なら一つ買ってみる?」
「いえ! 今はゲームに夢中です!」
それは宜しいことで。
「でも異世界では出来なかったんだよね~。僕が一個買っていこうかな? うーん、でも積んでしまいそうで怖い」
そげなわけでガンプラは次の機会に。
「じゃあお昼にしよっか」
「お昼ですか」
「お腹空いたし」
「にゃー」
にゃー。
「何食べます?」
「ラーメン」
およそ向こうの世界では食べられないよね。




