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忍術師と魔術師の異世界観光日和  作者: 揚羽常時
ある意味異世界観光
431/512

051 タクシー


 朝食後にテレビ。


 ゲームはお控え。


 モビルスーツのアクションゲームがコマーシャルで流れた。


「おお!」


 とイナフ。


 碧眼がキラキラ輝く。


 まるで聖女の浸る湖面の如し。


「お兄ちゃん!」


 言わなくても分かるけどね。


「アレ買って!」


「じゃあ一緒に買いに行く?」


「外出して良いの?」


「一人ずつ。かつ僕が監督してるなら」


「デート!?」


「そうとってもいいかもね」


 キラキラ。


 幼女の笑顔の愛らしさよ。


 そりゃ天元も突破する。


「他にもいろんなゲームソフトがあるんだけど……気に入った奴を全部買えば良いと思うよ。正直うちの資産は『いったい何に使うんだ?』ってレベルだし」


「自堕落を許すの?」


「こっちでは別に野盗も出ないしね」


「そなの?」


「安全安心設計国家ですので」


 だから、と付け加える。


「好きに過ごして貰って構わないよ。殊更、働こうとか思わなくて良いから」


 ていうか僕自身が働いていない。


 ツナデだ。


「ただ、出来れば戦闘能力は維持しても欲しいけど」


「うん! じゃあそうする!」


 ニカッと笑われた。


「デリシャス」


「何が?」


「イナフの笑顔が。ある意味でウーニャーと並ぶ邪気の無さ。君、一応年齢は積んでるんだよね? 幼女っぽい言葉遣いが端々……」


「エルフは成長遅いからね」


 ソレで済む問題かなぁ。


 少しの思索。


「じゃあ着替えて。服はあるから」


 実際に用意はしていた。


 ボーイッシュなコーデで纏める。


「外かぁ。やっぱりロボットが?」


「そ~ゆ~ところは文明音痴だよね」


 南無三。


 外出。


 後にしばし歩いていると、


「こんな舗装された道路が延々続くの?」


「国交省もヒマじゃ無いでしょうし」


「もしかして全部切り拓いたの?」


 どうなんだろう?


 はてな。


「ま、過去はともあれ、今はこんな感じかな」


「野生動物は?」


「時折自動車に轢かれる」


 ソレも事実。


 また南無三。


「ううむ」


「乗ってみる?」


「乗れるの?」


「お金を払えばね」


「護衛任務は?」


「この国では成立しないよ」


 どこと勘違いしてるかな?


「乗合馬車?」


「バスはそんな感じだけど」


 グッと親指を立てる。


 タクシーが止まった。


 歩道に寄せ、自動で扉が開く。


「おお!」


 またもキラキラ。


「乗って良いの?」


「幾らでもどうぞ」


 そして僕も乗る。


 行き先を告げると発進。


 ブロロロロォ。


 水平に景色が流れる。


「おお! おお!」


「お気に召した? イナフ」


「一応調べて確認はしたけど、見るのと乗るのとじゃ大違いだね。振動もそんなに無いし……これは舗装のおかげ?」


「車体の能力でもあるけどね」


 今どき衝撃緩和は普遍の技術だ。


 流れる対向車線を見届けながら、


「速いね」


 そこを認識する。


「たしかにね」


 異論は無い。


「スポーツカーはもっと速いんでしょ?」


「だね」


 車について、そんな知識があるのは意外だった。


 けどまぁスマホもあるし。


 調べるだけなら、苦慮も無いものだ。


「欲しい?」


「値段見たけどアレは無理だよ。正直な話、買える財力をお兄ちゃんやお姉ちゃんが持っていても、実際に買うだけで胃が痛くなりそう」


「たしかに」


 金貨が一枚で四万円前後なら、数千万円の買い物は向こうの世界でも破滅的だろう。


 買えるか買えないかなら買えるんだけども。


 用立てて貰う……という手段もある。


 もっとも僕らにはまだ必要ないのも事実。


 車自体は家に在るし、それは異世界ヒロインズも知っているんだけど。


「便利な世の中」


「否定はしない」


「これから向かう先にゲームがあるの?」


「ゲーム以外にもいっぱいある」


 そんなところだしね。


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