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忍術師と魔術師の異世界観光日和  作者: 揚羽常時
ある意味異世界観光
429/512

049 眠りに落ちる前に


「えへへ……」


 愛らしい声。


 甘えるような声。


 次いで艶やかな声だった。


「そんなに嬉しいかなぁ?」


 僕としては首を傾げざるを得なくて。


 風呂の後。


 リリアが僕と添い寝したいと言ってきた。


 承諾する僕。


 別に否やも無いものだけど……なんとなくヒロインとして……あるいは女の子として、場合と状況に追い詰められているのかな?


 そんな気もする。


「一緒に寝ましょう……」


「寝るだけでいいの?」


「寝るんですから……乙女冥利に尽きます……」


 そっちかよ。


 確かに僕はヘタレだから、その辺の押しには強いんだけども。


 ――言っておくけど、僕だって何も感じないわけじゃないよ?


 言って詮方なきことなれど。


「マサムネは……格好良い……」


「恐縮です」


「だから捧げたい……」


「何を?」


「人生を……」


「あーっと」


 重いよ。


 こっちは元高校生だぞ。


 結婚を前提に犯せってか。


「そこはリリアに任せるとして……僕以外でも三十五億人の男性が地球にはいるよ? 別に僕じゃ無くてもいいんじゃない? アイドルだってリリアを放っておかない」


 某事務所とか。


 言ってしまえば、異世界ヒロインズでアイドルグループ結成できるレベル。


 何?


 つまり僕がプロデューサー?


「ん」


 またキス。


 ただし軽めの。


「リリアは……マサムネが大好きだから……」


「正しいのかな……ソレ……?」


「大好き……」


 リリアにしては強い言葉。


「本当に?」


「その素っ気なさも……加点対象……」


 さいでっか。


「馬鹿言ってないで寝るよ」


「そうですね……」


 吐息をつく。


 眠りに落ちる、その前に。


「マサムネ……」


「何か?」


「リリアは……迷惑……?」


「有り得ない」


 それは断じられる。


「証拠は……?」


「リリアの胸は柔らかい」


「そんな理由……」


 重要なことだよ?


 多分……。


「別に資格とか要らないんじゃない? 何にせよ、何が大事で、何を捨てるのかは、個人次第なんだし。別に僕がリリアに言えた義理じゃ無いけど……リリアが大切に思っていることを大切すれば良いと思うよ。」


「じゃあマサムネのことを……」


「大切なら大事にすれば良い」


「眠っているところに……」


「ソレは止めて」


 いやマジで。


 夢精よりタチが悪い。


「でも……そんなマサムネが……愛おしい……」


「恐悦至極に存じます」


「何時もソレばっかり……」


「他に語るべき言葉もありません由」


 サラリと述べる。


「例えば……此処で自慰行為にふけったら……マサムネは引く……?」


 それとも釣れるか?


 そう聞いているのだろう。


「どうだろうね」


 答えとしては曖昧模糊。


 けれど本心でもあった。


「マサムネといるだけで……メスの部分が荒れ狂う……」


 所詮乙女なんてそんな物。


 そう言いたいのだろうか?


「リリアは欲求不満?」


「かも……しれない……」


「くあ」


 欠伸を一つ。


「じゃあ抱き枕にする」


 僕はギュッとリリアを抱きしめた。


「ふえぁわや……」


 狼狽えるリリア。


「温かい」


「ふえ……」


「じゃあ寝るから。おかずでもなんでもご随意に」


 そして人肌の温もりに包まれる。


 ソレは決して嫌じゃ無かった。


 むしろ安心する。


 僕に恋する乙女の人肌。


 それが温もりにならないのなら……その場合、世界の方が条理として間違っている……と言わざるを得ない。


「おやすみリリア」


「ふえぁ……」


 眠気には逆らえない。


 アドレナリンを調節して、徹夜も出来るけど、今は要らない。


 だからリリアを抱いて寝る。


 良い夢を見られそうだ。


 ソワカ。


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