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忍術師と魔術師の異世界観光日和  作者: 揚羽常時
ある意味異世界観光
423/512

043 花鰹


「くあ」


 欠伸。


 豆腐モグモグ。


 案外普通に朝食をとっていた。


 冷奴も異世界ヒロインズには珍しいらしい。


「ふお」


「ふや」


「ほう」


 など、驚きの効果が見て取れて。


「こちらの……薄い花びらみたいなのは……何ですか……? とても薫り高いのに……味は上品で……豆腐に良く合いますけど……。まるで味わったことのないような……」


「花鰹」


「はながつお……?」


「鰹節を薄く削った物。味噌汁のダシをとるときにも使われるよ?」


「今のところダシは即席を使っていますけどね」


 ツナデの敗北宣言。


 ワカメの味噌汁を一口。


 ああ。


 至福。


「かつおぶし……」


 目を白黒。


 ここでも文明のギャップが出ているようだ。


「別段然程の物でもないんだけどね。こっちでは普通に売ってるし。簡潔に手に入れられる代物だよ。殊更、有り難がるのは消費文明に追いついていない証拠かな? いや、リリアの驚きを否定するわけじゃないけど、なんかこう、文明的に?」


「はい……」


 素直に頷く彼女。


 豆腐をモグモグ。


 僕もモグモグ。


「ツナデ……美味しいです……」


「ツナデの功績ではありませんけど」


 それも事実だ。


 生姜と麺汁と花鰹と豆腐。


 全部スーパーで買える。


 揃いさえすれば料理ですらなかった。


 米をモグモグ。


「さて、じゃあ今日はリリアはヒマ?」


「だいたいヒマですけど……」


 だよね。


 屋敷が広いと言っても、限定空間ではある。


 ゲームもネットもスマホもあるので、やることがない……は避けられるにしても、もちろん相互関係に相性の良し悪しもあるわけで。


「ふんぬ!」


「ウーニャー!」


 幼女組はゲームに夢中。


 イナフとウーニャーね。


「リリアも外に出てみる?」


「良いの……ですか……?」


「フォトンとウーニャーは出てるし」


「そうですけど……」


「僕とじゃ嫌?」


「そんなことありません!」


 おお。


 挑発のつもりだったけど、案外強い言葉が出てきた。


 正確には誘発した。


「あう……」


 そこで萎縮するのがリリアらしい。


「じゃあ僕と一緒の外に出よう」


「えと……」


 チラリとツナデを見やる。


 二人の視線が交錯した。


「…………ん」


 コクリとツナデが頷く。


 ちょっと大人に成ったらしい。


「えと……では……お供します……」


「何処か行きたい場所ある?」


「近場でなら……幾つか……」


「じゃあ其処を回ろう」


「いいので……?」


「断る理由も持ち合わせていないし」


 これは事実。


「にゃー……」


 ぐうかわです。


 萎縮する乙女は高品質。


「スマホで色々調べたんでしょ?」


「音声認識……でしたか……? すごいですよね……。こんなちっちゃな機械が……人の声に……応えてくれるなんて……」


「スカイネット戦争」


「?」


「まぁともあれ」


 味噌汁をゴクリ。


「どこか行きたいところある?」


「その……スーパーとか……ダメですか……?」


「ダメじゃないけど……いいの?」


「ツナデが……買い物している……環境を知りたいです……」


 ははぁ。


 家事の一環ね。


「じゃ、そしよっか」


「いいので……?」


「可愛い女の子の願いは聞き届ける」


 男のマロン。


「マサムネは……優しすぎます……」


「そうかな?」


「自覚がないので」


 いやまぁ。


 先刻に、ツナデにも言われたけど。


「じゃあスーパーか」


「です……」


「利休鼠の髪はどうしよう?」


「帽子では……」


 そう相成るよね。


「やっぱり……珍しいんですか……? リリアたちの……髪は……。スマホでも……日本だと……黒髪が……いっぱいで……」


「だから個性とも呼べるんじゃ」


「こせい……?」


 いや、何でも無いんですけどね。


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