030 フィリアと添い寝
「で、こうなるのね」
「ツナデちゃんもいないし。いいんじゃない?」
僕の私室にフィリアが居た。
添い寝の腹づもりらしい。
僕は薬効煙を吸っていた。
肺を煙で満たす。
「このライターだっけ? 面白いわね」
「確かにね。こっちの世界の先進的な御業の代表例」
ライター。
「水なら幾らでも出せるんだけど」
ついでに地震もね。
「まずはゴビ砂漠を緑に変えるところから……かな?」
「ごびさばく?」
そういえば向こうで砂漠は見なかったな。
在るにしても近場ではなかったのだろう。
大陸も一つしか巡ってないし。
煙を吸って吐く。
「それより性欲戻らないの?」
「エンプティです」
「もっと揉んだら注入されるかしら?」
さすがにそこまで絶倫ではござんせん。
色々と悲しいながらにエロティカルな展開こそ起こるものの……ぶっちゃけ自分を律する意味で僕の苦労性はそれなりの涙を誘うというか……言っておくが我慢にも限界はあるんだぞぅ?
「面白くないわ」
「笑わせるつもりで告白しているつもりもありません由」
「知ってるけどぉ」
「フィリアだけじゃなくて、他の女の子にも手は出してないし」
「フォトンちゃんやツナデちゃんも?」
「まぁ筆頭はあの二人だよね」
僕を世界から救ってくれたフォトン。
僕の味方であり続けたツナデ。
「フィリアの場合は一目惚れだったっけ?」
「そうね」
「フォトンもそうだし」
「召喚術に制限を設ければそりゃね」
「さほどの好男子で?」
「自覚が無いのも困りものね」
「それは恐縮で」
「というわけで、さぁ、一夜を共に過ごしましょう」
「素直に添い寝しようって言えば良いのでは?」
「ちょっと気分を盛り上げればワンチャンあるかなって? 連立方程式ならぬ恋立方程式にはテンションの二次関数が必要だってネットに書いてた」
「ネットの情報は鵜呑みにしてはいけません」
「便利よ」
「それはね」
実際に僕も使っているわけだし。
「おっぱい揉む?」
「ウーニャーの教育に悪いのでダメ」
「寝てるし」
すでにドラゴン姿で丸まっているウーニャーでした。
こいつもこいつでどうかしている。
「一番危ない爆弾を肌身離さずよね」
「他者に言われると、確かに危機感を煽られる」
「じゃあここはお姉さんで筆下ろしを」
「しない」
臨める兵闘う者皆陣列れて前に在り。
「そ」
案外あっさり諦められた。
「じゃあ寝ましょうか。夜更かしは肌に悪いし」
さっきの自分の言葉を思い出せ。
そしてその闇を見よ。
「添い寝~」
ギュッと抱きしめられる。
「うぷ」
乳房とおっぱいの間に顔が挟まれた。
柔らかさといやらしさと心臓の鼓動が伝わってくる。
「何してる?」
「顔。挟まれたいんでしょ?」
たしかに言ったけども。
「窒息しそう」
「大きなおっぱいは嫌い?」
大好きです!
――と言えば調子に乗るので、
「アイデンティティとしては申し分ないかと」
「おっぱいが欲しいならお姉さんに声を掛けてね?」
「ええ。そうしますよ」
「約束よ」
「書類は用意しませんけども」
「えへへ。そっか。おっぱい好きなんだ」
嫌いな男子がいるかどうか。
「舐めていい?」
「構わないけど」
では。
ピチャッとボタンの少し外れている胸の谷間に舌を這わせる。
「はぁんぅ!」
「ゾクゾクする?」
「ドキドキする」
照明を落としても声の色は良く読める。
ピチャ、ピチャ、ピチャ。
唾液が伝わって、パジャマの内側まで零れる。
「はあ。至高……」
うっとりと性的に興奮した声。
さらにムギュッと乳圧が。
山脈がプレートテクトニクスによって押し付けられ、谷間の僕を圧迫する。
それが嫌じゃなくて、聞こえる心臓の音は乙女の恋情を奏でている。
年上ではあるけれど、たしかにフィリアも女の子なのだ。
「……………………」
本能に従って胸の谷間を舐める僕。
「ん……あ……!」
ますます上気する艶のある声。
「さて」
僕は一体何をしていたのか?
性欲が絡むと常識を忘れ、性欲を晴らすと常識が追いつく。
興奮冷めやると、
「あはは」
「うふふ」
お互いにやってしまった感が空気として流れ申した。
南無。




