表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忍術師と魔術師の異世界観光日和  作者: 揚羽常時
ある意味異世界観光
408/512

028 玉子かけ御飯


「ふおおお!」


 ガツガツ。


 ハグハグ。


 モグモグ。


 フィリアは感動したようだ。


 白米に卵をのっけて生醤油で味付け。


 卵と御飯をかき混ぜて、玉子かけ御飯のできあがり。


 QED。


「美味しいですね!」


「それは重畳」


 僕はサラリと述べた。


「こんな単純にして奥の深い料理があるとは……! 米も玉子も確かに向こうの世界には存在しましたが、何故この発想に至らなかったのか。生醤油。これが決定づけています! 此方の世界の調味料は万物に適合しすぎですね!」


 フィリアの感動は大した物だった。


「然程かな?」


 僕の疑問。


 ハグリ。


 モグモグ。


「ウーニャー?」


 ウーニャーの疑問。


「美味しいですね」


 フォトンが述べ、


「あう……美味しい……」


 リリアが感嘆とし、


「うまうま」


 イナフが夢中になり、


「本当に世界は良く出来ています」


 ジャンヌが論評した。


 そんなわけで玉子かけ御飯を食べ尽くす僕ら。


「ソッチは大丈夫?」


 ツナデにメッセを送る。


「一応は」


 メッセが帰ってくる。


「そちらの食事は?」


「玉子かけ御飯」


 沈黙。


「本当に?」


「フィリアの希望で」


「はあ。フィリアが」


 なんだか現実味がない。


 言外にそう言っていた。


「ツナデは食事とってる?」


「大丈夫ですよ」


 まぁそうなんだろう。


「毒も仕込まれていませんし」


「そりゃそうだ」


 政治家の密会。


 特秘事項だ。


 料亭側も気を遣う。


 所謂、


「見ざる」


「聞かざる」


「言わざる」


 を徹底した料亭らしい。


「そんなところで食事して、胃が痛くならない?」


「ツナデは然程でも。問題は相手方ですね」


「詳しくは聞かないよ」


「ラインで話すことでもないでしょう」


 ご尤も。


「それでは玉子かけ御飯を」


「楽しむよ」


 そんな感じのライン。


「おおおおお」


「ふおおおお」


 フィリアとイナフが絶好調の御様子。


 いやいいんだけどさ。


「これは世界共通なんですか?」


 ジャンヌが問うた。


「日本特有」


「にほん……」


「この国ね」


「凄いですね」


「島国だから業は深いね」


「ふむふむ」


 スマホで色々調べたのだろう。


 この国の裕福性についてはご理解頂ける物……と、思って貰えれば……こっちとしても助かるのだけど。


「マサムネ様は誠実なのですね」


「皮肉屋だよ」


 其処は誓って本当。


「けれど人を傷つける皮肉は言いません」


「僕もよく見られたいからね」


「そんなところが好印象」


「恐縮で良いのかな?」


「玉子かけ御飯。良く出来ています」


「文明の勝利」


「本当に?」


「他に何があるのさ?」


「マサムネ様の知識故と申しますか」


「この程度の料理は日本人なら誰でも知ってる」


 それも事実だ。


「だから日本人のマサムネ様は貴重なのでは? 少なくとも右も左もわからない私たちの導き手としては。実際にウーニャー様の外出にも尽力されておられますし、私たちも、その内……外に連れ出してくれるのでは?」


「そうかも知れないけど」


 否定は出来ない。


 けど易々と肯定も出来ない。


「楽しみにしています。マサムネ様の故郷の姿を」


「まぁそれなりにね」


 誤魔化す以外に、対処は無かった。


 玉子かけ御飯をもぐもぐ。


 甘味と辛みのハーモニー。


 単純にして完成された味。


 其処にはぐうの音も出ない。


 うーむ。


 デリシャス。


 南無八幡大菩薩。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ